囚人【レイカオル】

囚人と(ry
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二次小説創作ぶどー。 @uminosati

……本当に、最近はおかしい。 そう思い、今までの貰った紙飛行機を読み直していく。 最初は丸く可愛かった文字も……今は細々として震えている、頼りない文字に。紙飛行機は綺麗に折ってあったものが、今ではくしゃくしゃだ。 「何か……あったのかな……」

2015-03-28 00:59:57
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

そういえば、あの子は医者になると言っていた。その勉強が忙しいのかもしれない。だから、手が疲れてこんな風に……そう考えることにした。 手紙の一部にも 『最近、お医者さんの勉強が忙しくて……でも、お医者さんになるためと考えたら、頑張れるんです!』 と書いてあったから。

2015-03-28 01:04:34
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

……翌朝。僕は何故か副看守へと呼ばれた。 大きな扉の前に立つ。……手が震える。緊張しているという事が、嫌でも分かる。 大きく深呼吸をし、扉をノックする。 「入れ」 冷たい声が、扉の奥から聞こえる。 「し、失礼します!」 扉を開ける。中には、リョウさんとソウタさんだけがいた。

2015-03-28 01:10:37
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

護る人はいないのだろうか。そんな疑問を胸に抱きながら、2人の目の前に立つ。 「あの……」 ハッキリ言おう。とても怖い。特に、ソウタさんが。 ソウタさんは椅子に座ってて、リョウさんは机に軽く座っている。座っている、と言うよりかは乗っている、と言った方が近い。

2015-03-28 01:13:25
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

ソウタさんは……真顔で、何を考えているのか分からない。一方、リョウさんは苦笑い気味でこちらを見ていた。 「……囚人No.1022」 「は、はいっ!」 ソウタさんが口を開く。冷たい声、冷たい瞳。……あれだけの言葉を言っただけなのに、何故か体が震える。

2015-03-28 01:16:23
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

「お前、外の奴と繋がってるんだってな?」 「は!?」 僕より先に、リョウさんが反応した。一方の僕は、ただただ絶句していた。 「……その反応、図星か」 「は、ちょ、ちょっと待てよソウタ……コイツが、アイツだって言うのか!?」 「ああ」 ……2人の会話の意味が、よく分からない。

2015-03-28 01:18:15
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

「……っ、おい、1022!」 リョウさんに肩を掴まれる。 「嘘だよな!?嘘……」 僕は、何も言わない。ただリョウさんの目を見つめる。 「……は……お、おい……マジ」 「なーんて、ね」 被せるように、言葉を放つ。そして、ニコッと微笑みかけた。

2015-03-28 01:20:13
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

「僕が、外の人と?どうやって繋がるのでしょう?手紙?それとも、直接脱獄して?……ははっ、ここの刑務所の警備のかたさは、あなた方が一番よく知っているでしょう?」 呆気にとられているリョウさんを無視し、ソウタさんに、笑いかける。

2015-03-28 01:22:38
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

「……それが、お前の反論か」 「反論も何も……真実を言った迄ですよ?」 ねえ、リョウさん。と突然話題をふる。 「……え、あ、ああ!ソウタ、コイツがアイツのわけねぇよ!」 アイツ、の意味はよく分からないけど。どうやら信じてくれたみたいだ。

2015-03-28 01:24:15
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

「……いいだろう。ならば、確定的な証拠を掴むまで、だ」 「証拠?何のことやら……僕はこれで、失礼しますよ」 そう言い、無理やり副看守室を出ていった。 扉を閉め、その場にへたり込む。緊張した。 「……あ、今日はあの子に、会えるかな……」 そう期待し、あの場所へと向かっていった。

2015-03-28 01:26:46
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

その日。待ち望んでいた彼女が来た。 こ、ん、に、ち、は そう言って笑う彼女。……でも、何かが。どこかがおかしい。何となく違和感を感じる。 い、く、よ すうっ……と綺麗な弧を描き、紙飛行機は僕の手元へと届いた。 じゃ、あ、ね 届いたのを見届けると、彼女はさっさと帰ってしまった。

2015-03-28 16:55:49
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

「……おかしい」 部屋につくなり、そう呟く。 だけど、それよりも久しぶりの手紙が来たのだ。それを見なくては。 ワクワクしながら、紙飛行機を開く。 『お医者さんに、なれました。応援してくれてありがとうございます』 「……え?」 ……たったの、これだけ。これだけしか書いてなかった。

2015-03-28 16:57:37
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

しかも、字も震えていて……とても読みにくい。 「……もしかして僕、愛想尽かされちゃったのかな……」 とても心配になる。だけど…… 「お医者さんに、なれたんだね……よかった」 その事は、心から喜んだ。前からずっと手紙に書いてあった「お医者さんになる」という夢。それが叶ったのだ。

2015-03-28 17:00:41
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

「お祝いの言葉を書かなくちゃね」 紙を取り出し、丁寧に、心を込めて文を書く。そして、書き終わったやつを綺麗に折りたたんで紙飛行機にした。 「……今度は、いつ会えるかな」 紙飛行機を胸に抱きしめ、ポツリと呟いた。 それをずっと見ていた人が1人いた。だけど、僕は気付かなかった……

2015-03-28 17:04:31