「どの艦娘も朝目が覚めて服を着て歯を磨く」

Any @Any512

どの艦娘も朝目が覚めて服を着て歯を磨いて、提督のつまらん朝礼をききつつ作戦を頭に入れ、艤装をチェックして重い重い言いながら出撃して、深海棲艦を毒づきながら攻撃し、ボロボロの体で帰投して入梁し、何人かで反省会をしつつお菓子をたべ、消灯と共に床に入り、目をつぶって明日への決意をする。

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どの艦娘も、春には新しい面子に自己紹介をして桜を見てうたた寝をして、夏には訓練に汗を流し団扇を扇ぎ海で泳いだりするし、秋には紅葉を愛でて旅だった人たちを思い出し、冬には艤装を換装してコートを纏いマフラーをまく、そして春の訪れとともに決意を新たにする。

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艦娘も、直接言えないもやもやした気持ちを海に叫んだりするし、緊張してうまく喋れなくなったりするし、顔が熱くなって耳まで赤くなってるのを心配したり、あのこに哀しい顔をして欲しくないと思ったり、自分がどうなっても構わない程の衝動に突き動かされたりするよ

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艦娘も、砲撃の後には耳鳴りがするし、厳しい訓練の次の日は筋肉痛で死ぬ程だし、大破させられたり轟沈を見た後には心に傷を負うし、焼け野はらを見て罪悪感に押し潰されそうになるし、残った傷跡を気にするし、体重計で一喜一憂するよ

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艦娘も航海の安全を祈願するし、艤装に御守りを結ぶし、どうかあのこが助かりますようにと祈るし、お気に入りの装備や艦載機に願をかけるし、天命を悟ったりするし、故人を悼んで黙祷するし、起工日や進水日を皆で祝ったりするし、自分の命が意味があるものだと信じている。

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艦娘も、晴れの日には外に出たくなるし、逆に出たくなくなったりするし、曇りの日は頭痛が収まらなかったりするし、雨の日は出撃命令に勘弁してくれと思うし、風の日は提督にいっぺん航行してみろと言いたくなるし、雷の日は怖くて身を縮こませるし、雪の日には雪で軍艦を作ったり雪合戦をしたりする。

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艦娘も、青空に艦載艤の描く飛行機雲を綺麗だと思うし、深海棲艦の撒くヘドロを汚くて臭くて死ねと思うし、あのこと繋いだ掌を温かいと思うし、水柱で濡れた制服を気持ち悪くて寒いと思うし、遠くから聞こえるさざ波の音にホッとするし、突然鳴る警報のサイレンに不安感と恐怖をかきたてられる。

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艦娘も、工敞で整備員さんと話したりするし、港の漁船の漁師さんに手を振るし、司令室で居眠りする提督に悪戯するし、道端で地元のお婆ちゃんに挨拶するし、新聞配達員におはようと言うし、美容師さんに好みの髪型を伝えるし、鎮守府の資料室の司書さんに相談するし、妖精たちの囁きを聴いたりする。

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艦娘にも、朝から晩まで１日の生活があるし、四季それぞれの楽しみがあるし、どうしても守りたい大切な人がいるし、体調と精神状態の良し悪しがあるし、戦う為の信仰と信念があるし、その日の天気の好き嫌いがあるし、五感と喜怒哀楽があるし、そこに生きる人や一緒に戦う仲間との繋がりがあるよ。

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どの艦娘も、最後は殉職するか退役する。遺体の見つからなかった艦娘がどうなったかは、誰も知らない。