梁英聖 량영성氏の書評

『マンガ嫌韓流』は在日コリアンを題材にしたレイシズムのポルノであったといってもいいだろう。新作(マンガ大嫌韓流)も基本的にこの構造を備えている点は共通で新しさはない。だが旧作でさえ露骨に描かれなかった次の思想がためらいもなく展開されており、おぞましい。
3
梁英聖@『レイシズムとは何か』(ちくま新書11月7日発売) @rysyrys

必要から苦痛に耐え、山野車輪『マンガ大嫌韓流』を読了。醜悪の一言だ。これほど「同じ人間」という大前提を疑問視し、真っ向からそれを嘲笑する著作物がかつてあったろうか。『マンガ嫌韓流』に比べ数段酷い。差別煽動どころではない。朝鮮民族へのヘイトクライムと戦争の煽動といってよい。

2015-04-05 17:54:24
梁英聖@『レイシズムとは何か』(ちくま新書11月7日発売) @rysyrys

旧『マンガ嫌韓流』は、日本による朝鮮植民地支配完全肯定という歴史否定(修正主義)思想を、在日朝鮮人学生との「ディベート」を通じて寄ってたかっていじめることを通じて、最後に相手を「論破」し屈服・転向させるというストーリーであった。レイシズムと歴史否定煽動のマンガだった。

2015-04-05 17:55:57
梁英聖@『レイシズムとは何か』(ちくま新書11月7日発売) @rysyrys

『マンガ嫌韓流』は在日コリアンを題材にしたレイシズムのポルノであったといってもいいだろう。新作も基本的にこの構造を備えている点は共通で新しさはない。だが旧作でさえ露骨に描かれなかった次の思想がためらいもなく展開されており、おぞましい。

2015-04-05 17:56:50
梁英聖@『レイシズムとは何か』(ちくま新書11月7日発売) @rysyrys

1)「韓国人」(=朝鮮民族)がウソツキで確信犯として「反日」活動を続けてきた。2)韓国政府も国をあげて反日工作を展開してきた。3)ゆえに韓国・韓国人=敵である。4)だから日本人としてはこれを殲滅しなければならない。5)そのために立ち上がらぬ日本人も死ぬべきだ。

2015-04-05 17:56:57
梁英聖@『レイシズムとは何か』(ちくま新書11月7日発売) @rysyrys

p165-8には「公開ディベート」を強いられ「論破」された在日学生への日本人によるヘイトクライム・集団リンチのシーンさえ出てくる。新作はレイシズム煽動に留まらない。戦争・ジェノサイド煽動の内容が含まれているといって過言ではない。

2015-04-05 17:57:03
梁英聖@『レイシズムとは何か』(ちくま新書11月7日発売) @rysyrys

ただしこれらは切実で真面目なレイシズムと戦争への呼びかけになっているわけでもない。「マンガです」「表現です」という言い訳もふくめ、レイシズムを完全な娯楽として消費できる形式をいちおう整えようとしている。主な登場人物は排除型レイシズムを体現しているが主人公はそれに「疑問」も持つ。

2015-04-05 17:58:11
梁英聖@『レイシズムとは何か』(ちくま新書11月7日発売) @rysyrys

しかし本作は実際に極めて有害な作用を及ぼすだろう。とりわけ歴史や差別について学ぶ機会がなく、そういった話ができる友人や同じ在日とのつながりをもてない、在日コリアンの若い世代にとっては。現状では本作が当人の魂を殺すぐらいの力を持ってしまうだろう。

2015-04-05 17:58:54
梁英聖@『レイシズムとは何か』(ちくま新書11月7日発売) @rysyrys

だからこそ、社会がレイシズムを許さないというメッセージを出し続けることが不可欠なのだ。そして国と自治体は、反レイシズム政策(法と条例)を早急につくらないといけない。公的に「何が差別なのか」という基準・規範がないかぎり、マイノリティは自分を守ることができない。

2015-04-05 18:00:27
梁英聖@『レイシズムとは何か』(ちくま新書11月7日発売) @rysyrys

唯一幸いなのは本作がマンガとして全くつまらないという点だ。これは本当に助かった。

2015-04-05 18:00:46
梁英聖@『レイシズムとは何か』(ちくま新書11月7日発売) @rysyrys

なお言及できなかったが、本作は日本軍「慰安婦」(日本軍性奴隷制)に対する歴史否定が主な内容となっている。生存者を「売春婦」として一蹴し(たとえ形式的に「セックスワーカー」だったとしても実態が性奴隷であったという論点はスルー)証言を信頼に足るものでないと決めつけている。

2015-04-05 18:01:30