KAMONのたとえ話シリーズ 科学リテラシー編 ~「半減期」とは、体育館のグーパー大会である!

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KAMON @KAMON_Yammani

①こないだの授業で「放射能で半減期ってよく言うけど、なんで全減期を言わないのだ。半減期があるなら全減期だってあるはずじゃないのか」って話になったので、Twitter上にも投げておきます。後でtogetterにもまとめます。

2015-04-06 21:56:00
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②半減期のイメージは、小学校の全校集会などでやった「じゃんけん大会」がとてもわかり易い。じゃんけんでは手が3つあってややこしいので、簡単のためにグーパー大会とする。

2015-04-06 21:58:41
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③全員起立。あなた達は放射性物質小学校の生徒です。あなた達は手に野球のボールを一つ持っており、壇上の校長先生とグーパー大会をします。校長先生と同じ手を出したら勝ちでゲーム続行、違う手を出したら負けなので座りましょう以後のゲームには参加できません

2015-04-06 22:01:20
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④次に、あなた達が持っている野球のボールですが、これはグーパーに負けた瞬間に、適当な方向に一つ投げましょう。投げたらあなた達は手ぶらになり、もうボールは投げられません

2015-04-06 22:03:08
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⑤ここまでのアナロジーで、「生徒⇒放射性物質」「野球のボール⇒放射線」「じゃんけん1回⇒半減期」です。

2015-04-06 22:22:34
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⑥では、グーパーを始めましょう。生徒数は100万人、校長先生は1分に1回グーパーをするとしよう。1回めのグーパーで生き残る生徒は何人と考えられるか。もちろん、半分の50万人。このグーパー1回分が半減期である。すなわち、放射性物質小学校の半減期は、1分ということになる。

2015-04-06 22:31:30
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⑦負けた生徒はボールを放り投げてゲームから退場する。このボールは誰かに当たって、怪我をさせるかもしれない。ボールは放射線であり、「ある生徒がグーパーに負けた」は「ある原子核が崩壊した」に相当する。この時、「1秒間に何人の生徒が負けたか」を表す単位が、おなじみの「ベクレル」である

2015-04-06 22:35:28
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⑧グーパー1回めの時点で、1分間に50万人が負けたのだから、この時放射性物質小学校の放射能はおよそ8300ベクレルということになる(実際の計算はもう少し複雑)。

2015-04-06 22:37:08
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⑨さて、生き残った生徒は2回めのグーパーに挑戦する。次は何人負けるだろう。50万人? いいや。もちろん、半分の25万人だ。次は25万人の半分の12万5000人。このように、じゃんけんを繰り返す度に生徒の数は半分に減っていき、負けた生徒は1回だけボールを投げていく。

2015-04-06 22:39:48
KAMON @KAMON_Yammani

⑩さて、「全減期」である。グーパーを繰り返すことで生徒は半分になっていくが、1人の生徒が2分の1人になったりはしないので、最後の生徒が負けた時が「全減期」のはずだ。それはいつなのか。

2015-04-06 22:41:24
KAMON @KAMON_Yammani

⑪答えは「計算できない」。なぜなら、計算上はどんどん半分になっていくが、半分は何度繰り返してもゼロにはならないからだ。小学生のグーパーならば最後の一人を見届けられるが、実際にはこれは原子核だ。最後の1個が崩壊する瞬間を見ることは出来ない

2015-04-06 22:44:24
KAMON @KAMON_Yammani

⑫しかし、我々が注目すべきは、「生徒が放り投げたボールの数」であるはずだ。このボールは数個あたってもどうということはないが、10万個も20万個も(数はあくまでたとえです)当てられたら怪我をしてしまう。

2015-04-06 22:47:02
KAMON @KAMON_Yammani

⑬したがって、科学者は普通「1秒間に投げられたボールの数(ベクレル)」または、「投げたボールが人体にぶつかる数(グレイ)」「怪我をしそうなボールの数(シーベルト)」を測定し、どれだけ当たれば安全か、と言う話をする。最後の1人がボールを投げるまでの期間ではなく

2015-04-06 22:50:45
KAMON @KAMON_Yammani

⑭よく「半減期が長い/短いから危険/安全」という話があるが、これまでの話を考えるとそんな単純な話ではないことがわかる。見るべきは「生き残っている生徒(放射性物質)の数」及び「グーパー1回分の長さ(半減期)」両方である。

2015-04-06 22:55:20
KAMON @KAMON_Yammani

⑮例えば、ウラン238の半減期が45億年だから危険、という人がいる。確かにウラン小学校の生徒達はボールを抱え続けることになるが、それらのボールは45億年かけて少しずつ投げられていくのだ。自分に当たるボールの数など誤差のレベルである。

2015-04-06 22:57:24
KAMON @KAMON_Yammani

⑯逆に、半減期が短い場合、最初にバーっと大量にボールが投げられるが、すぐに投げるボールの数は半分になり、4分の1になり、8分の1になる。したがって、安全性を確認するならば、最初の生徒数(原子核の数)と崩壊が始まってからの時間を考えるべきである。

2015-04-06 22:59:52
KAMON @KAMON_Yammani

⑰…とまあだいたいこういう話をしました。「1人でもボールを持ってたら危険!」ではなく「致命傷になる量ボールが自分にぶち当たるかどうか」を考えましょうというお話です。

2015-04-06 23:02:08
KAMON @KAMON_Yammani

私は放射性物質の専門家ではないので、もっといい例えやツッコミ等ありましたら、よろしくお願い致します。

2015-04-06 23:03:45