モーリー・ロバートソン「だけどぼくは右派ではない」
安直な正義に駆られた人達の脱原発運動は、もはや世論も選挙結果も左右できないほど弱体化しており、これ以上追撃する必要はないという認識です。古賀茂明さんのブームも1ヶ月持たないと予想しています。この節目でぼく自身の立ち位置について以下、説明しようと思います。
2015-04-07 11:06:20本来こういうことはツィッターで説明すべきことではないのですが、書籍・電子本にまとめたところでそんなものは誰も読まず、結局マスメディアの表舞台での発言だけがインパクトを持った結果ひとり歩きするので、やむなしという判断でここに書きます。
2015-04-07 11:07:51人間は見解が変わっていったり矛盾していったりするものなので、あまり主義主張を「イズム」で押し出すのは好きではありません。自分は「○○派」といった時のその都度の四捨五入をし、マジョリティーだったり自分がターゲットとしている層に媚びるという行為そのものに、身も心も汚されます。
2015-04-07 11:09:30ツィッター上で気持ちいいぐらいに偏った断定を書き込み、後で炎上して「まずい」となった途端にツィート削除、中途半端な謝罪、あるいはアカウントを消して逃亡みたいなことをやっている発信者たちを日々見ていると、むごたらしいとしか思えません。そこまで自分を落としてでも目立ちたいのかと。
2015-04-07 11:10:47そういうこともあって「立場表明」に嘘くささを感じており、これまでは比較的おとなしめにやってきました。出馬する、特定の本や講演会をプッシュするという明確な目的があるなら、期間限定でイシューを打ち出していくことにもメリットがあります。ただ「言論界のカリスマ」を狙うのだけは避けたい。
2015-04-07 11:12:24最近、繰り返し「あなたは保守論客、右派なんですか?」と尋ねられているので少しお答えします。まず、保守のように見えたのは左派のさまざまなデマゴギーと戦ってきたからです。朝日新聞の「吉田町書」事件以降、本格的に左派が崩壊しつつある今、その戦いも完結しそうな予感。
2015-04-07 11:14:442011年3月11日前までは「世界の情報をリアルタイムで仕入れるツールがあるのだから、ITってすばらしいよね」という路線で、サブ・カルチャーのディレクトリ(言わば、店)を受け持っているぐらいの意識でした。世の中の複雑な問題や意見がまっぷたつに割れるトピックについては、俯瞰が基本。
2015-04-07 11:16:02その俯瞰する中立性は自分自身のアーティスト活動にも深く関わっていました。要するに政治に首を突っ込むと新しい音楽が天から降ってこなくなる。清志郎みたいな人は例外的にずっと反体制の政治的な戦いと歌が一致した「幸福」な人だったんじゃないかと思う。反対に坂本龍一さんはかわいそうです。
2015-04-07 11:17:48ぼくが1980年代から2000年ごろまで心酔していたジョン・ケージというアメリカの作曲家がいます。実際に1983年から1990年の間に何度も会って話をしていたので、原理主義的な「使徒」と化していました。ケージのために「和音や音階のある音楽は一切放棄する」と宣言して30年間貫いた。
2015-04-07 11:19:11そのケージなのですが、1960年代の反戦運動の熱気に乗って、毛沢東の文化大革命を礼賛し「まもなくアメリカの若者の間から革命が起きる」と公言していた時期があったようです。彼の講演録にあります。ところが後の年代に「まずい」と思ったようで一切毛沢東には触れなくなりました。
2015-04-07 11:20:38ぼくがジョン・ケージに衝撃を受けたのは、実際に目の前にすると宇宙につながった存在、菩薩であるかのようなオーラがあったからです。加えて東洋の知である禅と欧米の前衛を合体させるブリッジであったことに、心の底から感激しました。日米ハーフですべてと戦う自分には、これしかないと。
2015-04-07 11:22:06ただ、ケージも相当に自分自身のイメージを狙って作っていた節があります。「禅の音楽行者」みたいなメッセージが現代音楽の世界で大流行し、影響力を持ったために以前のより左翼的で過激な部分をひそめ、哲学者・スピリチュアルで静かな天才という方向にイメチェン。
2015-04-07 11:23:47こういうジョン・ケージのイメージ戦略の変遷を理解するためには自分自身が成長する必要がありました。J-WAVEを通じてセレブリティーとなり、ファンの一人ひとりから個別、ばらばらの期待を投影されつつ感動を夜な夜な再生産し、ポップ・グループもシュトックハウゼンもかけながら。
2015-04-07 11:25:35ストーカーにも遭いましたし、J-WAVEへの抗議でコーナー自粛や謝罪訂正、選曲やトーク内容、演目の制限…企業の事情と取っ組み合いをするうちに著名人・有名人がユニバーサルに向き合わなくてはならない世界の「縮図」を理解するようになりました。それでやっとケージのファンから脱却。
2015-04-07 11:27:30といったわけで徐々に自分のバランスを見つけて一回内的に「完成」させていたのが2010年ごろ。アートのインスピレーション(内面の自由)と表現活動(外への発信)のバランスを保ち、どちらかというとひっそりやっていくつもりでした。しかし3.11をきっかけに状況が一変。
2015-04-07 11:28:58特に強めに政治を意識することなく原発関連の仕事を受注していたことがまず反原発の活動家(主に匿名アカウント)に掘り起こされ、さらされる。ついで父親がかつてABCCで研究員をしていたことを掘り起こされ、血筋による「戦犯」扱いをあちこちで受ける。リアルでもあったんです、それが。
2015-04-07 11:30:19そこで反原発を取り囲む熱狂や、そこに便乗して元から怪しかった面々が商売を始めるさまに反吐が出そうに。行きがかり上参戦し、戦略的にデマゴーグたちを切り崩していく作業に身を投じました。衆院選で脱原発候補が軒並み敗北したときには「ジャスティス!」と叫んだ感じで満足感がひとしお。
2015-04-07 11:32:57でも、本来原子力にそれほど関心がない。だからその後も放射能やエネルギー政策を真剣に勉強したことなど、一度もない。イランや北朝鮮、中国の核開発問題は外交・地政学の観点からより強い興味を持てるので、そちらの研究にリソースをあてがっています。
2015-04-07 11:34:28本音を言うとこの先日本国内で原発がどうなるか、興味が薄い。日本国民が決めればいい。現在の状況を見る限り、とりあえず再稼働をして日本中を原子の火がともるクリスマス・ツリーにして時間を稼ぎ、復興が進むに連れて徐々にエネルギー消費を減らす、他のエネルギー源を開発する、ぐらいかな?
2015-04-07 11:36:33推進も反対も強くできるほどリスクとベネフィットを理解していない。だから強い意見がない。だけどデマゴギーに対しては、自分がやられた分、鼻が利く。まっとうなエネルギー議論は左派・右派を問わず吟味するけど「電力は足りている」から「EM菌」系に至るまでいんちきはその都度、各個撃破です。
2015-04-07 11:38:10反原発運動は最初から左翼陣営・全共闘のリバイバルといった色合いが強かったため、結果として左翼との戦いになってしまったけど、本来はデマや大衆扇動そのものとの戦いだった。この流れで自分が次第に右派と重なるように見られていったことも十分意識している。だけどぼくは右派ではない。
2015-04-07 11:39:26たとえば、今ある資料や素材をもとに判断すると(1)移民は必要だし、1000万人ぐらいの外国人がこの先、新たな日本人になる流れは止められない(2)したがって後ろ向きに生粋の日本人の血統にしがみついたり、日本の文化を絶対変えてはいけない金科玉条にするような思いを抱いても時間の無駄。
2015-04-07 11:40:56(3)日本社会の構造の中に根強い男尊女卑やマイノリティー差別があり、さまざまな方便住み分けなどでこの問題を議論の俎上に載せないよう、歴代の大人たちが共謀してきた。だがグローバルに透明度が要求される今、不都合な討論は積極的にしていかなくてはならない。毎日がヒロコ・タブチさんです。
2015-04-07 11:42:46(4)大麻ですがアメリカでフル解禁に向かう流れができています。日本の大麻取締法は時代遅れで刑が重すぎる。医療大麻あたりを認めて徐々に解禁する流れを作ったほうが先進国のスパイラルに入れると思う。欧米で解禁され行く背景を国民が理解し、最適解を判断すべきであり、隠蔽すべきではない。
2015-04-07 11:44:25(5)同性婚や同棲カップルの養子縁組、IVFチルドレンに関しては、問題が見つからない限りイケイケドンドンのスタンスです。あと、従来のLGBTの枠組みは、コミュニティーの内側に閉じこもるタコツボと化しているのでジェンダーやセクシャアリティーを根底から再定義した方がいい。
2015-04-07 11:46:50