塑性=plasticityから始まる、practicalな構造力学講座

まとめました。
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Flying Zebra @f_zebra

マーガリンがプラスチック云々と聞いても、そりゃ弾性体(elastic)なわけないんだから塑性(plastic)なのは当たり前でしょうとしか… 土質力学では塑性指数(index of plasticity)というのは馴染み深い概念でして。

2015-04-08 12:37:16
Flying Zebra @f_zebra

鉄筋コンクリート橋梁なんかの塑性ヒンジはplastic hingeだけど、樹脂製のヒンジじゃないからね。普段は剛結されていて、地震なんかの荷重(弾性域を超える荷重)が掛かった時に回転方向だけ拘束がなくなるような壊れ方をすることで構造物の破壊を最小限にする構造のこと。

2015-04-08 19:47:10
Flying Zebra @f_zebra

駅のホームに掛かっている屋根の支柱とか、建物の張り出し部分を支える柱の根元で、大きなピンで固定されたヒンジの形になっているものがある。子供の頃、動くわけでもないのにわざわざヒンジになっているのが不思議で仕方なかった。実際に、小さなボルトで動かないよう固定してあったりもするし。

2015-04-08 19:47:35
Flying Zebra @f_zebra

高校物理までの知識では、この疑問は解消しなかった。構造力学を理解するには部材の内部に働く力(静力学)を知る必要があるが、高校までの力学で扱うのは外力による運動などの動力学までだからだ。静力学もなかなか面白いので、高校で教えないのは少しもったいない気がする。

2015-04-08 19:48:13
Flying Zebra @f_zebra

応力は圧縮したり引っ張ったりという軸方向の力だけど、静的な力には曲げたりねじったりしようとするモーメントと呼ばれる力もある。こちらは適当な訳語がないのか、「モーメント」以外の言葉は聞いたことがない。

2015-04-08 19:50:53
Flying Zebra @f_zebra

構造力学では最初に安定と静定を学ぶ。3本脚の椅子は脚の長さが少し違ってもガタつくことはないけど、4本脚ではちゃんと作らないとガタついてしまう。これは、平面は3点だけで決まるのにもう1点あると平面が1つに決まらないからだ。このような構造を不静定構造という。3本脚なら静定構造だ。

2015-04-08 19:52:09
Flying Zebra @f_zebra

不静定のものを無理やり固定してしまうと、部材内部に局部的な応力やモーメントが掛かってしまう。過大な外力などが掛かった時も、固定された不静定構造では内部の応力は均等には掛からず、応力やモーメントの集中部ができやすい。そうした集中部から壊れてしまうこともある。

2015-04-08 19:52:55
Flying Zebra @f_zebra

不静定でもちゃんと計算して不要なモーメントを残さないようにすれば問題ないのだけど、応力やモーメントの状態は荷重によっても変わるし、それ以前に造る途中では完成形とは全く違う状態になる。もちろん仮設の支保工なんかで支えたりするのだが、厳密に計算するのは結構大変だ。

2015-04-08 19:53:43
Flying Zebra @f_zebra

そこで、回転方向は拘束せずに力を逃がせるようにヒンジにしておいて、完成してから軽く固定するということがよく行われる。ヒンジなら、モーメントはゼロになるので曲げ破壊は心配しなくてよくなる。

2015-04-08 19:56:02
Flying Zebra @f_zebra

固定するのは、ちょっとした風などでいちいち動いていたら内装や配管なんかがずれたりするのを防ぐためで、地震など大きな荷重が掛かった時にはちゃんと動くようにガチガチにはせず、緩めに固定する。これも一種の塑性ヒンジだ。

2015-04-08 19:56:46
Flying Zebra @f_zebra

他にも、詳細な計算が面倒というか、要求性能とコストのバランス上割に合わないような場合に構造計算を簡単にするために普通は動かない箇所にヒンジを設けることもある。コンピューターを使ったFEM計算がお手軽にできるようになる以前は、大規模な構造物でもよくあった。

2015-04-08 19:57:20
Flying Zebra @f_zebra

プラスチックの話から随分ずれてしまった。構造力学を修めると、普通は目に見えない構造物内部の応力や曲げモーメントが「見える」ようになる。子供の頃の小さな疑問を解消する以外にそれが何か役に立つのかどうか分からないけど、「理解できる」ことはそれだけで楽しいじゃないか。

2015-04-08 19:58:08
Flying Zebra @f_zebra

(もしかして、ヒンジってあまり普通に使う言葉じゃなかったのかな。蝶番みたいに1方向だけ回転するヤツね)

2015-04-08 20:06:04

コメント

neologcutter @neologcuter 2015年4月8日
静定といえばトラス構造物(三角形を連結させた構造物)、橋梁ではよく見ますね。
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BudgieR @BudgieR 2015年4月8日
昔に勉強したっきりで、よく覚えてないのだけど、応力には軸方向のもの以外にせん断応力というのもあったと思います。別の話でしょうか?
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Flying Zebra @f_zebra 2015年4月10日
梁(はり)に曲げモーメントが掛かっている時、梁の内部には軸方向と垂直の方向にずらそうとする力が働いています。これがせん断応力です。さらに、梁のある断面に着目すれば曲げの内側には圧縮応力、外側には引張応力が働き、真ん中のあたりは中立になっています。H鋼や鉄道のレールなどが上下の幅が広く中央が薄い形になっているのは、曲げに対する抵抗力(断面2次モーメントといいます)を損なわず、なるべく断面積を小さくする工夫なのです。
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Flying Zebra @f_zebra 2015年4月10日
コンクリートの柱や壁などが過大な圧縮力を受けて壊れる時、圧縮方向に対して斜めに破壊面が生じます。阪神大震災の時、高層ビルの倒壊はありませんでしたが、中層階の内壁にX形の亀裂を生じたものが見られました。これは、一軸圧縮では軸方向に45°の面でせん断応力が最大となるためです。
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