【お玉さんの読書マラソン】「名探偵図鑑完読作戦」第5部

お玉さんの読書マラソン企画「名探偵図鑑完読作戦」第5部です。青山剛昌『名探偵コナン』単行本の付録「世界の名探偵」で紹介された名作を読んで「名探偵」を勉強し直そう!というお取組みの続き。第5部は、番外編の吉敷竹史から隅の老人、ルルタビーユ、三河町の半七、棟居弘一良、今西栄太郎、ギデオン・フェル博士、合田雄一郎、スティーブ・キャレラ、火村英生、朝吹里矢子までを紹介してらっしゃいます。(杉下右京は映像作品のため除外)
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お玉と毒のぬまち @ottama709

さて「名探偵図鑑完読作戦」番外編 ぼくらのソウカツ「ほぼ日刊吉敷竹史レビュー」 本日は吉敷竹史の活躍する短編をザザッと紹介します。 と言っても、ちゃんとした短編集は一冊のみ。短編全て合わせても七本しかなかったりします(>人<;)

2015-04-09 02:08:24
お玉と毒のぬまち @ottama709

その一冊の短編集『光る鶴』は今のところ吉敷シリーズの最終作品(2002年発売の『吉敷竹史の肖像』に短編を一本加えて2006年に文庫刊行された)になるわけでホンマはこのマラソンの大トリなるはずなのですが、自分の中のワースト作品なんすよね『光る鶴』 「涙」の後にレビューしたくないんよ

2015-04-09 02:09:29
お玉と毒のぬまち @ottama709

というわけで以下の七本が吉敷短編の全貌となります。 「発狂する重役」 「展望塔の殺人」(『展望台の殺人』収録) 「土の殺意」(『毒を売る女』収録) 「Y字路」(『踊る手なが猿』収録) 「光る鶴」 「吉敷竹史の肖像」 「電車最中」(『光る鶴』収録) さぁ、レッツ、ソウカツ♫

2015-04-09 02:09:58
お玉と毒のぬまち @ottama709

「発狂する重役」 す、すごいタイトルだ。 ある日、重役が発狂した。どうして? この事件の経緯を焼き鳥屋で出会った謎の奇談収集家に淡々と語って聞かせる、そんなお話。 重役はチョイワル、エロガッパだったのよ。こ、こんな会社あるかぁΣ(゚д゚lll) ……僕も、重役になりたい

2015-04-09 02:10:21
お玉と毒のぬまち @ottama709

「発狂する重役」 偶然の連鎖、なんだけど、やはり島田荘司のこれ以後の偶然の多様を考えるとパンチが弱い。 幽霊っぽい女の子が何かチョロそうだ。けど、重役、どうしてあんな行動に移っちゃうのかなぁ。日記の強奪だけで充分じゃないのかしら?

2015-04-09 02:10:53
お玉と毒のぬまち @ottama709

「発狂する重役」 吉敷刑事が不思議そうに語って、実はこんな内容なのですよ〜♫ と明かすそんな構成なのでカタルシスが少ないのよね。 要素のアレコレを割り切りすぎてしまっているので、都会の怪談の雰囲気を残すようなラストなのに、……あまりキマってないように思えるよ

2015-04-09 02:11:22
お玉と毒のぬまち @ottama709

「展望塔の殺人」 大好き! こちらも再読して評価がすごく変わった作品というか、島田荘司の「社会派推理小説」とジャンルで絞ったら、おそらく一番か二番かの作品じゃないかしら? 『Yの構図』の「いじめ」、『灰の迷宮』の「学歴社会」、そしてお得意の都市論がキレイに凝縮されて彩られてる

2015-04-09 02:12:16
お玉と毒のぬまち @ottama709

「展望塔の殺人」 今現在の時間軸で行われた殺人事件の動機を吉敷刑事が捜査している最中に、過去のどエライ事件にブツかってしまう、というお話。 過去の事件が思いっきり社会的問題を孕んでいるが故、それを調査する人物は事件の本質に対して無力にならざるを得ない、という構造の使い方が上手い

2015-04-09 02:13:18
お玉と毒のぬまち @ottama709

「展望塔の殺人」 過去の事件の探偵役を吉敷刑事と別の人物に置くことで、果断容赦なく敗北させられる = 社会の闇を気兼ねなく放出させることができるのだ。 思いっきりの絶望感と後味の悪さを読者に与えた後に時間を飛ばし現代、吉敷竹史に別の事件で犯人を逮捕させるわけなのね

2015-04-09 02:14:35
お玉と毒のぬまち @ottama709

「展望塔の殺人」 ラストで犯人が語る捩れまくった動機の吐露。問題が解決したかのようで、全然解決していないがため沸き起こる奇妙な読後の余韻。 過去の事件と対峙していないのでこの作品もあんまり吉敷刑事は目立ってないけど、それ以外が濃密すぎる短編なので、全然OKだわ

2015-04-09 02:15:29
お玉と毒のぬまち @ottama709

「土の殺意」 「展望塔の殺意」が吉敷短編ナンバーワンならナンバーツーはこちらかな? これはあまり詰め込まず、とあるワンアイディアをいろんな方向から切り取りアプローチしてみた作品。 社会問題と意外な動機と皮肉なオチの三拍子が良い感じで決まっているよ♫

2015-04-09 02:15:55
お玉と毒のぬまち @ottama709

「Y字路」 あまりにミエミエな短編。絶対、コイツが悪いヤツだろ! ってヤツがクソ悪かった、という短編。 まぁ、コチラの読みがドンピシャで当たっていくので、読者としてはそこらは楽しいのかもしれないのだけど……、「展望塔の殺人」や「土の殺意」を読んだ後だと、あまりのアレっぷりに……

2015-04-09 02:16:52
お玉と毒のぬまち @ottama709

「光る鶴」 僕の中での吉敷シリーズのワースト作品。先に述べた通り吉敷竹史シリーズの最新作に当たるので、普通の読者は『涙流れるままに』の後にコレを読むことになるわけだけど……、「涙」のあの苦闘を全否定するかのような、再審に対してのハードルの低さにイラッとさせられる

2015-04-09 02:17:34
お玉と毒のぬまち @ottama709

「光る鶴」 また全島田荘司作品の中でもナンバーワン級のクソ女が登場し、もうどうしようもないクソ女なので「殺されてもしゃあない」という気持ちにさせられてしまう = 思考誘導されてしまうのが、何かイヤ。 冤罪犯が逮捕された後のあの女性の行動が、よく考えると、変すぎるんじゃね

2015-04-09 02:18:07
お玉と毒のぬまち @ottama709

「光る鶴」 あと物語の時刻表の出し方があまりにも下手なのが……(>人<;) あそこで本格ミステリ的なカタルシスを見せたいのなら、犯人の行動を追う過程(物語の途中に)時刻表を挿入しておくべきだし、エンタメミステリとしての状況の突破口とするならば、あまりにドラマが薄い。薄っぺらい

2015-04-09 02:18:39
お玉と毒のぬまち @ottama709

「光る鶴」 冤罪の扱いがあまりに軽い。 作中のミステリ状況の成立ために、ある一部分では魅力的に書かれている人物たちが、作者の都合の道具になっている。 逆転の見せ方が下手。 といったところがあまりにツライ。 『涙流れるままに』を読んだ後ならそのツラさは三倍増しよ(>人<;)

2015-04-09 02:20:00
お玉と毒のぬまち @ottama709

「吉敷竹史の肖像」 ……島田荘司って、あまり学生運動とかには興味を持っていないのかなぁ……? あの国には興味シンシンだったのに……。 吉敷竹史が警察官を志すキッカケとなったエピソードだけど、あの時代の空気感があまりに希薄で、どう反応していいか分からないわ?

2015-04-09 02:20:57
お玉と毒のぬまち @ottama709

「吉敷竹史の肖像」 あの警察官が後の中村さんだった、とか挟んでくれたら読者の憑き物もスッと落ちてくれるはずなのに、そんな工夫やサービスは無いのね。 短い枚数なので吉敷青年の感情の揺れ動きにページが割けず、突発的で無軌道な暴走を見せつけられている。読者に対してあまりに優しくない短編

2015-04-09 02:22:13
お玉と毒のぬまち @ottama709

「電車最中」 えーと、吉敷刑事と留井刑事『飛鳥のガラスの靴』で再会してるよね。そこで、かなり重要な事件へのヒラメキを得ていたよね。 ……(>人<;) シリーズの最後の最後で足を使って証拠品を探すお話になってしまったよ。 アレを持ち帰った理由がヒドイ

2015-04-09 02:22:57
お玉と毒のぬまち @ottama709

というわけで、吉敷シリーズの短編では「展望塔の殺人」がもう飛び抜けていて、「土の殺意」くらいまでが評価の対象内かなぁ、といったところ。 もう『光る鶴』は、吉敷シリーズの継続に対してのモチベーションの低さがかなり見られて、読んでて悲しくなっちゃう。悲しい涙流れるままに。

2015-04-09 02:23:52
お玉と毒のぬまち @ottama709

あっ「発狂する重役」はエロいんで、そういった理由ではオススメかな? あーあ、オレも重役になりたいなぁ〜

2015-04-09 02:24:51
お玉と毒のぬまち @ottama709

というわけで、ザザッと走りましたが吉敷刑事短編はおしまいです。 次回は長編に戻っての……、はい、アレですね。 ううむ、どうしようかな? とアタマかかえてしまいますね(´Д` ) ではでは pic.twitter.com/oQlfeV2NjL

2015-04-09 02:25:59
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お玉と毒のぬまち @ottama709

そして『三つの棺』の続きを読むマン

2015-04-09 02:26:48
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