2
いやしの本棚 @ayagonmail
ユルスナール『火』を入手した。フォロワーさんにおすすめされたのだが、これ、すごく好きだ。惹かれる言葉がたくさんある。そして危険な匂いがする。見当違いなのかもしれないけれど、ちらっと塚本邦雄の小説を思い出したりもする。
いやしの本棚 @ayagonmail
あなたは死者のゆくあの虚無の中にいっぺんでくずれ去ることができる。そのとき両手を私に遺していってくれたら私は慰められるだろう。(中略)かすかな満足のすすりなきを洩らしながら、私は子供のように頭を憩わせる、(続)
いやしの本棚 @ayagonmail
(承前)私の運命であったものの星と十字架と絶壁とに満ちたその二つの掌の間に。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より
いやしの本棚 @ayagonmail
六日があり、六ヶ月があり、六ヵ年があった。六世紀があるだろう…… ああ、時をとどめるために死ぬ…… ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 写真:グレゴリ-・クリュードソン「オフィーリア」(detail) pic.twitter.com/0opWW8yD4x
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
とある地域があり そこでは年月は夏至を侵さない 太陽はいつまでも真昼をつくり 完全な季節がそこに従う その夏は夏に始まり 幾世紀の六月 幾世紀の八月を終える その意識は正午だ ―エミリ・ディキンスン作品番号1056より
いやしの本棚 @ayagonmail
幽霊はこわくない。肉体をもつというだけの理由で、生者はおそろしい。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 写真:ジュリア・マーガレット・キャメロン「Florence Anson」 pic.twitter.com/q6x27k5jxC
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
どこに行けば救われる? あなたは世界を満たしている。あなたから逃れるには、あなたのうちに逃げこむしかない。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 絵:Quang Ho「深みへ」 pic.twitter.com/yz25pUx8KV
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
彼は私を、死からも、悪からも、罪からも、救いませんでした。というのは、人が救われるのはそれらによってであるからです。あのお方は私を幸福から救い出したのでした。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 絵:アルノルト・ベックリン pic.twitter.com/C2aHrI13FH
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
@ayagonmail 絵のタイトルは「Trauer der Maria Magdalena an der Leiche Christi」で、死せるキリストを悼むマグダラのマリア、というような意味でしょうか。
いやしの本棚 @ayagonmail
ぼくの額は星に触れ、虚空に吹く風は、裸になることを妨げるような稀な思い出をぼくから吹きとばしてしまう。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 絵:マックスフィールド・パリッシュ「Daybreak」 pic.twitter.com/X5d9FBZrG4
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
もはや肉体には、自分がもって生まれた地獄としてしか、棲まなくなる。そして自分の内奥に、そこで自分に再会するほかはないような迷宮をこしらえあげる。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 写真:Neda Rački pic.twitter.com/pxOp3RTzlB
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
死は逃亡の廊下を彼岸へと延長するに過ぎない。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 写真:Desiree Dolron「Xteriors XV」 pic.twitter.com/3Ley8O6Psx
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
何もこわくない? 私はあなたがこわい。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 写真:Robert Hutinski「The Mirror」 pic.twitter.com/sObAEjiUMs
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
ユルスナール『火』も、永遠に読み終わらないタイプの本だと思っていて、毎日ページを繰っては眩暈のするような美しい言葉の世界に浸るのだけど、「パイドーン あるいは眩暈」の結びの部分などシルヴィア・プラスの「エアリアル」にも繋がっていく。疾駆、解体されながら飛び去る肉体、自由になる魂。
いやしの本棚 @ayagonmail
ナルキッソスは彼であるところのものを愛する。サッポーは女友達の中に、彼女でなかったところのものを、苦い心でいとおしむ。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 写真:The Nude by Félix Nadar pic.twitter.com/IiotIpqodK
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
彼女は虚空に向かって絶望のドアを開ける。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 写真:アン・ブリグマン「Minor, The Pain of All The World」 pic.twitter.com/26YqPEV1tu
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
幻想の果てに行きつきながら、人はなおも罪けがれなき幼年というものを他人に仮託する ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 写真:Félix Nadar pic.twitter.com/bG2T6wJgcz
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
ユルスナール『火』の最後に収められた「サッポー あるいは自殺」は、ボードレール『悪の華』における禁断詩篇「地獄に堕ちた女たち」なんかより、リアルというか読み応えあるというか、悲しい。サッポーが悲しくて惨めで、彼女について語るユルスナールの文体は、あくまでかっこいい。
いやしの本棚 @ayagonmail
私たちの間には、愛よりももっとよいもの、共犯性がある。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 写真:「Four Women Asleep」 pic.twitter.com/8Th3mRucfa
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
@ayagonmail 眠っている4人は、Lee Miller, Leonora Carrington, Ady Fidelin and Nusch Eluard。レオノーラ・キャリントンの画集にあった、印象的な写真。
いやしの本棚 @ayagonmail
敗北だけが鍵を見つけ、扉を開く。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 写真:Richard Avedon for vogue, 1968 pic.twitter.com/SG0McU1XKt
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
死は、最も純粋な者だけがそれにあずかることのできる聖別の儀式のように思われてきた。大多数の者は解体する。ごく少数の人間だけが死ぬのである。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より
いやしの本棚 @ayagonmail
もはや自分を与えないこと、それはもっと自分を与えることだ。自分のいけにえを与えることだ。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 絵:ジャン・クーザン「エヴァ・プリマ・パンドラ」 pic.twitter.com/pyqx5fDUSl
 拡大
いやしの本棚 @ayagonmail
ヘッドライトに射抜かれるこの夜の中を彼女は進む。 人間理性の対極に位置する自分の星、墓を通ることなしには到達できぬ星を求めて、彼女は旅立つ。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より
いやしの本棚 @ayagonmail
夜、時おり人が一つの心臓のそばにいるように、私は事物の神秘的な核心のそばにいる。 ―ユルスナール 多田智満子 訳『火』より 写真:Desiree Dolron「Gaze - Christa」 pic.twitter.com/9ICsjDbeWc
 拡大
残りを読む(37)

コメント

ログインして広告を非表示にする
ログインして広告を非表示にする