ノー・リグレット・イン・ヒズ・ライフ(仮題) #2

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金蝙蝠 @kinnkoumori1

◆◆◆◆◆◆男性器◆◆◆◆◆◆

2015-04-14 14:12:54
金蝙蝠 @kinnkoumori1

(これから投下するのは、ニンジャスレイヤーの二次創作小説になります。既にスリケンでのTL汚しを行いましたが、我慢ならぬという方はお手数ですがリムーブ、ブロックをお願いします)

2015-04-14 14:14:09
金蝙蝠 @kinnkoumori1

前回 ノー・リグレット・イン・ヒズ・ライフ(仮題) #1 - Togetterまとめ togetter.com/li/802114 togetter_jpさんから

2015-04-14 14:15:07
金蝙蝠 @kinnkoumori1

ノー・リグレット・イン・ヒズ・ライフ(仮題) #2

2015-04-14 14:15:39
金蝙蝠 @kinnkoumori1

ネオサイタマ某所。廃ビルの一室。 1

2015-04-14 14:16:19
金蝙蝠 @kinnkoumori1

元は真っ当な会社の応接室だったであろうそこは、今は薄暗い照明と、使い古されたソファや事務机、電源の入っていないUNIXなどが並んでいた。ソファーにはくたびれたスーツ姿の男が、やや緊張した様子で座っている。 2

2015-04-14 14:16:58
金蝙蝠 @kinnkoumori1

男の顔にはメンポがあった。ニンジャである。かつてソウカイ・シンジケートの内部粛清を主な任務としていた彼は数日前に中国地方から帰ってきてからのことを思い出していた。 3

2015-04-14 14:17:49
金蝙蝠 @kinnkoumori1

任務から戻り、ネオサイタマに降り立った彼を待っていたのは、シンジケートの支配する街ではなかった。巨魁ラオモト・カンの死。シンジケートの崩壊。ネオサイタマの死神。ザイバツの電撃的侵攻。そして、ラオモトの遺児であるチバを頂点とするアマクダリ・セクト。 4

2015-04-14 14:19:23
金蝙蝠 @kinnkoumori1

余りにも多くの事が、彼がいない間に終わってしまっていた。合流した部下達からの情報を聞いた後、どうにかセクトの末端とコンタクトを取り、傘下に入ろうとしていた。それが承諾されるか否かの回答をこうして待っているのだ。 5

2015-04-14 14:21:01
金蝙蝠 @kinnkoumori1

シンジケートの危急の秋に駆けつけなかった失態を鑑みれば、最悪の場合セプクもあり得るだろう。 最低でもケジメはせねばなるまい。それでも部下達と共に逃げ出さなかったのは、ひとえにラオモト・カンへの忠誠ゆえであった。 6

2015-04-14 14:22:21
金蝙蝠 @kinnkoumori1

ソファに腰を下ろして30分は経った頃だろうか。奥の部屋に繋がるドアがノックされた。「ドーゾ」ニンジャが応えると、オペレーターらしき表情のない女が入室した。女はニンジャの前に立ち、抑揚のない声でアイサツした。「ドーモ、ハーフウェイ=サン」 7

2015-04-14 14:23:25
金蝙蝠 @kinnkoumori1

ニンジャは眉根を寄せた。呼ばれた名前は記憶にないものだ。「ドーモ、いや、私の名は」「ラオモト=サンは今後この名を使うように、と仰っていました」「なっ……」絶句するニンジャを余所に女は書類を机に置いて「書かれている地域の管理が今後の貴方の任務です。それでは失礼します」 8

2015-04-14 14:24:50
金蝙蝠 @kinnkoumori1

言い終わるや立ち上がり、女は部屋を出て行こうとする。「待て!」「何か?」「何か、ではない!せめてラオモト=サンに一目!」「ラオモト=サンはお会いになりません」女はあくまで平坦な声で返した。ニンジャは慌てて続ける。「遅参の咎めは?否、これではあまりに」 9

2015-04-14 14:25:44
金蝙蝠 @kinnkoumori1

「その書類にあることが全てです。上納金の支払いをお忘れになりませんように」ピシャリとそれだけ告げると、女は今度こそ部屋を出て行った。ニンジャは薄暗い部屋の中で、追いかけて詰問することすら忘れ、茫然と立ち尽くしていた。 10

2015-04-14 14:26:51
金蝙蝠 @kinnkoumori1

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2015-04-14 14:27:10
金蝙蝠 @kinnkoumori1

トコナメ・ストリート。ここは主に出世コースから外れたカチグミ・サラリマンや可能な限りの出世をしたマケグミ・サラリマン達が居を構えている。格差社会極まるネオサイタマにあって、極めて珍しい中流の町であった。 12

2015-04-14 14:29:36
金蝙蝠 @kinnkoumori1

スラムの治安の悪さも、カチグミ居住区特有の陰謀の臭いも、ここにはない。停滞と諦観が漂う代わりに、なんら事件の起きぬ場所だ。精々が違法薬物をキメ過ぎたヨタモノやフリーランスのヤクザが迷い込んでくる程度である。ザイバツの支配領域からも遠い。 13

2015-04-14 14:30:29
金蝙蝠 @kinnkoumori1

現状維持を望む従順な町内会や商業施設からカネを集め、大半をセクトに送り、一部を己の懐に入れる。簡単な仕事だ。管理にニンジャを配置する必要など全くない。閑職である。 14

2015-04-14 14:31:13
金蝙蝠 @kinnkoumori1

ハーフウェイ自身はあずかり知らぬことであったが、彼の加入に際してアマクダリの上層部は熟考を要した。それなりの古参であるため、加入を断れば今後の旧ソウカイヤ人材の獲得に支障をきたす。未だ手勢はいくらいても足りぬ。 15

2015-04-14 14:32:05
金蝙蝠 @kinnkoumori1

しかし、掃除屋という経歴もまた、前線において他のニンジャとの不和の引き金となりかねない。さりとてフリーランスやザイバツにくれてやるにも知り過ぎている男である。故に上層部は彼に対して不名誉な名を与えるという懲罰と、閑職に追いやることで判断を保留とした。 16

2015-04-14 14:33:45
金蝙蝠 @kinnkoumori1

加入から数か月後。ハーフウェイはいつも通りトレーニングと見回りを兼ねたジョギングの中で不運にも彼に見つかってしまったヨタモノをスリケン殺した後、公園のベンチで缶コーヒーを片手に休息をとっていた。サボりである。  17

2015-04-14 14:34:46
金蝙蝠 @kinnkoumori1

ザイバツがその影響力を失ってから、セクトは急速な膨張を見せた。今やメガコーポの重役がアマクダリ紋のタイピンをつけていることも珍しくはなくなっていた。そしてセクトの成長と反比例するかのように、ハーフウェイは情熱を失っていたのだ。 18

2015-04-14 14:35:50
金蝙蝠 @kinnkoumori1

彼が何もせずとも、かつてのシンジケートに迫る規模をセクトは有しつつあった。重金属酸性雨が一時止んだ、鈍色の空を見上げながらハーフウェイは嘆息した。(このまま、ここで朽ち果てるのもよし、か……)  19

2015-04-14 14:36:43
金蝙蝠 @kinnkoumori1

幸い、あの後も以前の部下達はついてきてくれている。ストリートの管理にはやや持て余すほどの面子であった。彼らの給与も支払えている。ただ、腕が鈍っていくことに危機感を覚えていた。(とはいえこの先、活かすことがあるだろうか)紫煙を空に放っていると、ふと頭上に影が差した。 20

2015-04-14 14:37:16