『美術手帖』5月号「日本のアート、最前線!!」「ポスト3.11を生きるアーティストは、美術を更新するか?」についての個人的な所感

『美術手帖』5月号「日本のアート、最前線!!」「ポスト3.11を生きるアーティストは、美術を更新するか?」についての個人的な所感 http://book.bijutsu.co.jp/books/2015/04/20150418.html 続きを読む
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nukisuke @nukisuke

美術手帖5月号「日本のアート、最前線‼︎」。副題にポスト3.11とあるように、2011年と表現者の様々な距離が測れる内容になってると思います。毛利悠子さんインタビュー、百瀬文さん記事構成(聞き手は佐々木敦さん)など担当してます。ぜひ。 pic.twitter.com/9nS7jRvPpt

2015-04-16 00:30:43
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nukisuke @nukisuke

美術手帖5月号。蓮沼執太さんと松井茂さんが交わしたメール往復書簡も読みどころの一つ! 音楽から生じる協働性とその編成について、これまであまり明文化されなかった内容になってます。また桜井圭介さんによるパフォーミングアーツのコラムも3.11以降の身体のあり方を考える上で示唆的です。

2015-04-16 00:56:42
nukisuke @nukisuke

【本日発売】『美術手帖』5月号「日本のアート、最前線!!」が本日発売、ということでちょっと個人的な所感を書きます。副題に「ポスト3.11を生きるアーティストは、美術を更新するか?」とあるように、今回の記事の多くが東日本大震災となんらかのかたちで紐づいた内容になっています。(続

2015-04-18 08:28:49
nukisuke @nukisuke

カオスラウンジ黒瀬氏、Chim↑Pom卯城氏の対談(前半後半で1万5000字超え!)はもちろん、千葉正也氏、毛利悠子氏、蓮沼執太氏のインタビュー、桜井圭介氏によるパフォーミングアーツコラム、服部浩之氏によるコミュニティー(アート。地域アートという呼称は使ってません)コラム、(続

2015-04-18 08:34:26
nukisuke @nukisuke

作家の生の声を伝えたいと企図した3つの座談会(絵画#1 今井俊介氏、高橋大輔氏、小牟田悠介氏/絵画#2 今津景氏、坂本夏子氏、近藤亜樹氏/リサーチ〜系 下道基行氏、ミヤギフトシ氏、佐々瞬氏、飯山由貴氏)でも震災以降の意識が強くあります。もちろん距離感の取り方はさまざまで(続

2015-04-18 08:39:13
nukisuke @nukisuke

震災以降の社会状況に対して直接的にリアクションしようとする姿勢もあれば、むしろ距離を測ることで美術の問題へと接続しようとする姿勢もあります。そこに共通するのは、ポスト3.11の状況において、表現することがいかに自身の生存(作家としての、人間としての)とつながっていくのか(続

2015-04-18 08:42:15
nukisuke @nukisuke

という問いではないかと思います。実際的に若い作家を集中的に紹介する企画が美術手帖で行われるのは、約5年ぶりのはずです(金氏徹平さんの平面作品が表紙でした)。結果的に僕はその両方に関わる機会を得たのですが、3.11を分水嶺として約5年という決して短くはない期間が開いたのは(続

2015-04-18 08:45:15
nukisuke @nukisuke

よくも悪くも必然だったと感じています。5年前の特集は、リーマンショックと共に崩壊したとされる現代アートブームの残滓の中で作られた特集でした。50人以上の作家の直筆原稿をカタログ的に紹介する内容は、数の列挙によって浮かび上がる(ように見える)多義性が、美術に内在するであろう希望(続

2015-04-18 08:49:40
nukisuke @nukisuke

によって編まれたものです(意識してなかったとしても)。その美術に対する楽観的なヴィジョンは、東京の一部でやり取りされる都市型文化としての「現代アート」を、イコール時代そのものとして捉えようとする盲信に支えられていました。ギャラリービジネスの先行きは不透明であっても(続

2015-04-18 09:00:00
nukisuke @nukisuke

有名ギャラリーに所属し、主要美術館の学芸員、経済力のあるコレクターとつながることが作家としての成功の経路とする「錯覚」が成立していました。ですが、3.11を経て状況は一変しました。少なくない作家が東京を離れ、あるいは都市部であってもギャラリーに所属することを第一義としない(続

2015-04-18 09:02:43
nukisuke @nukisuke

作家たちの動き(自主運営のスペースや運動体の結成)が存在感を増していきます。事実、今回の特集に登場する作家の多くがギャラリーに所属するという選択を現時点では選んでいません。それは、状況によって選ばされた選択でもあると思いますが、同時に作家自身が選んだ時代への照応でもある(続

2015-04-18 09:06:59
nukisuke @nukisuke

でしょう。それは表現手法のレベルでも確実に起こっていることであり、記事の一つである「リサーチ/アーカイブ/ナラティブ」をテーマとした座談会でその一端に触れていただけるかと思います。また千葉正也氏の「俺は絵がある効力を発している状態っていうのがすごく好きですね」という発言や(続

2015-04-18 09:11:50
nukisuke @nukisuke

蓮沼執太氏インタビューにおける松井茂氏「聴衆は、音楽作品の演奏の仕上がりを重視するのではなく、ここに文化の軋みを聞き、合意形成(中略)構築の過程に立ち会う」という指摘からも、現在の潮流のある側面を見ることができるでしょう。すなわち制度的な美術が「美術」として機能するだけでなく(続

2015-04-18 09:15:07
nukisuke @nukisuke

具体的/即応的な「絵」や「音楽」としての機能を再確認しながら、既往の価値観をずらしていくことに今日の芸術の意義はあるかもしれない(とここでは留保します)ということ。そんなことを今回の特集を編みながら考えていました。そして同時に強く思ったのは、このようなポスト3.11の(続

2015-04-18 09:18:58
nukisuke @nukisuke

シーンは、今後大きな変転を余儀なくされると思っています。それは、2020年の東京オリンピックによる変転です。破壊以降の感覚ではなく、新生を前提とした表現が言祝がれ始めるでしょう。それは時代の要請であり、時代の反照としての役割も担う美術にとっては避け難い変転でしょう。(続

2015-04-18 09:22:14
nukisuke @nukisuke

次の「新進アーティスト特集」がいつどのタイミングで企画されるかは定かではありませんが、もしも前回同様に5年の時間が開くとするならば、オリンピックと同じ2020年に発刊されることになります。その内容は、おそらく5年前と今回との差異以上に大きな隔たりがあるものになる予感がします。(続

2015-04-18 09:26:50
nukisuke @nukisuke

3.11とオリンピックの狭間の時間に企図された今号をぜひ読んでほしい、手元に置いておいてほしいと思うのは、近い未来において2015年時点の美術動向がどのようなものだったかを振り返ってほしいという願いがあるからです(掲載された作家たちが今後も活躍することは疑いないですよ!)。(続

2015-04-18 09:29:24
nukisuke @nukisuke

今回の『美術手帖』は、美術出版社の民事再生発表という渦中で企画・制作された最初の特集です。新たなスタートを模索し始めた老舗出版社と、これからのアートシーンの動向を占う特集が同時期に重なったのは奇妙な偶然ですが、同時に何かこれからの時代を示唆するものでもあるように思っています。(続

2015-04-18 09:33:16
nukisuke @nukisuke

今回多くの筆者、カメラマン、デザイナー、DTP、印刷所の方に力を貸していただきました。ありがとうございます。そして、もちろん取材に快く応じてくださった作家の皆さんにも大きな感謝を送ります。ありがとうございます。時代は巡っていきますが、表現とジャーナリズムが両輪となって(続

2015-04-18 09:37:40
nukisuke @nukisuke

常に進んでいくことができれば、未来を掴むことができると思います。個人的な思いが入った連投になってしまいましたが、ぜひ興味を持たれた方は、今日から店頭に並んでいる『美術手帖』を手に取ってみてください。千葉正也さんの《泣き頭》が表紙です。ホースの目から水がぴゅーっと流れる絵です。

2015-04-18 09:41:43