ア・ニンジャ・サドン・ライズ・アンド・スクイーズ

ニンジャが出て搾る!
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@nezumi_a

◇知◇始めたい◇開始◇

2015-04-20 19:01:28
@nezumi_a

◇知◇これからこのアカウントでツイッター連載小説ニンジャスレイヤー @njslyr の二次創作を流します。長時間の連投となりますので、目障りだなと感じましたらお手数ですがミュート、リムーブ、ブロックなどをお願いします◇序◇

2015-04-20 19:04:46
@nezumi_a

◇知◇基本的に一定の間隔でツイートしますが、ニンジャスレイヤー本編の更新が始まった場合はそこで中断とします。 もしも実況や感想やご意見等がございましたら #nzm_nj タグをご利用下さい。◇序◇

2015-04-20 19:09:00
@nezumi_a

◇知◇本作は二次創作であり、ニンジャスレイヤー本編の設定、用語などを使用しますが、原作との関連繋がりはありません。本日は第一セクションとして40ツイート弱を予定しています◇序◇

2015-04-20 19:11:07
@nezumi_a

◇では◇◇始めます◇

2015-04-20 19:12:21
@nezumi_a

「ア・ニンジャ・サドン・ライズ・アンド・スクイーズ」

2015-04-20 19:13:23
@nezumi_a

重金属を核とする重苦しい雨が降り、ズンビーめいて力なく歩くサラリマンのPVC傘を冷たく叩く。墓石めいて無機質なビルの壁面には「おなしやす」「信頼」「良く労働」「結束残業」「社債を買いましょう」といったLED看板が連なっている。01

2015-04-20 19:16:31
@nezumi_a

ここシャヌガワ地区は、カスミガセキジグラットからほど近く、ホワイトカラーが労働人口の大半を占める地域だ。ショーギ・ボードのように整理された区画には複合オフィスビルが立ち並び、中小の様々な企業がスシパックめいて詰めこまれている。02

2015-04-20 19:19:12
@nezumi_a

サラリマンたちは、隣接する地区にある社宅団地と会社を往復する専用バスに輸送され、日夜会社の為に働き続ける。街そのものが労働力を搾取する為のシステムと化しているという点では、オムラのプロジェクト区画と大差なかった。03

2015-04-20 19:22:11
@nezumi_a

そんなバイオハマチ養殖場じみた企業ビルの間を一人のサラリマンが走っていた。彼の名はタナカ・オシイ。ヨロイド・ソリューションアンドエンジニアリング社の係長補佐である。タナカが向かう先には、蛍光バイオサンゴめいてネオンサインの集合する建造物だ。04

2015-04-20 19:25:08
@nezumi_a

極彩色のネオン看板には「おいしい」「食べて労働」「元気が出る」「サケ」といった具合に、食に連なる謳い文句が並び、煌びやかな看板の下を着飾ったオイランが回遊魚めいて歩いている。ここはサラリマンや中所得者層向けに開かれた、二十四時間営業の複合飲食施設である。05

2015-04-20 19:28:10
@nezumi_a

建物内部は広く、労働者に馴染みの深いドンブリポンのチェーン店や、無人スシ・バー、半自動イクラ丼屋などのファストフード店から、上の階層には回転スシ・バー、天ぷらダイニング、ユドーフレストランなど、さまざまな店舗が軒を連ねる。06

2015-04-20 19:31:32
@nezumi_a

エレベーターが開くと、中からホロヨイ・サラリマンが「ニケンメ!ニケンメ!」と大声で叫びながら出てきた。タナカはそれを避け、36人乗りエレベーターはエレベーターに滑り込む。目的地は五階だ。エレベーターが上昇する振動を感じながら、タナカは腕時計を確かめる。07

2015-04-20 19:34:09
@nezumi_a

「五階ドスエ」合成マイコ音声が告げると、タナカはエレベーターのドアが開き切るまえに飛び出た。五階の通路は煙が充満していた。ナミアミダブツ!ビル火災か!タナカは煙を掻き分けて走る。そして、一件の店に飛び込んだ。08

2015-04-20 19:37:24
@nezumi_a

「ドーモ、遅くなりました!」タナカがアイサツをすると、上座に座っていたバーコードめいた髪型の男がジョッキを掲げた。「タナカ係長補佐、あまり遅いので初めてしまうところでしたよ!」タナカのアイサツに応えたのは、タナカの上司のオソマ課長だった。09

2015-04-20 19:40:09
@nezumi_a

然り、ここは火災現場などではなく、鶏専門のレストラン「トリゴダ」だ。ビル火災と見紛うほどの煙に目を凝らせば、店内には煙に燻され変色したメニューや、「トリのおいしさ」「テバサキ」「クシ」といったノボリ、天井に描かれたヒナイ・シャモの見事な水墨画が見える。10

2015-04-20 19:43:12
@nezumi_a

厨房では短く刈り込んだ頭に捻りハチマキをしたイタマエが、厳しい顔で一口大に切られたオーガニックチキンにクシを手早く刺していく最中だ。「イヤーッ!」彼はそれを「ヒドゥン」と書かれたタレ・ボトルに素早く浸し、引き上げた。11

2015-04-20 19:46:07
@nezumi_a

チキンはタールのようにドス黒い液体に塗れ、ウルシ・アーティファクトめいた輝きを見せる。イタマエはそれを赤々と燃えるビンチョ・グリルの上に並べた。この一連の動作には無駄が無く、彼が熟練の腕前を持っていることを無言の内に語っていた。12

2015-04-20 19:49:07
@nezumi_a

炎が鶏肉を焙り、肉汁が赤熱する炭に落ちた。おお、ゴウランガ。旨み成分と燻製めいた香りを含んだ煙が、壁に備え付けられた扇風機で店内、店外へと流れていく。先ほどの煙の正体はこれだったのだ。「では始めましょうか」オソマ課長がケモビールのジョッキを片手に立ち上がった。13

2015-04-20 19:52:08
@nezumi_a

今日はヨロイド・ソリューションアンドエンジニアリング社のウチアゲである。「エー、今回は非常にツライ仕事でした!」皆、手にビールの入ったジョッキを持ち、オソマ課長の言葉に傾注する。空いた片手はホームポジション。彼らはプログラマだ。14

2015-04-20 19:55:18
@nezumi_a

「度重なる仕様変更インシデントに苦しみ、消費したバリキドリンクは数知れず。予算も尽き、プロジェクト凍結の危機を何度も迎えました。カロウシする人も出ました!」普段なら残業をしない課長ですら徹夜が続き、かれこれ九十時間ほど寝ていない。だが彼らは乗り切った。やり遂げたのだ。15

2015-04-20 19:58:10
@nezumi_a

「本音を言えば!何回、あのイディオット営業野郎の顔を、パンチドテープみたいに穴だらけにしてやりたいと思ったことか分かりません!」課長自らのクライアントへの悪態に一同は笑った。このようなシツレイが先方に知れれば、全員ケジメすることになるだろう。16

2015-04-20 20:01:07
@nezumi_a

しかしそんな事を気にする者はここには居なかった。見れば、全員の目の下にドス黒いクマがあり、気力だけで動いている状態ではあるが、その顔には笑みがあった。ひとつの試練を共に乗り越えた仲間として、サラリマンでありながらベトナム帰還兵めいたアトモスフィアすら漂っていた。17

2015-04-20 20:04:16
@nezumi_a

「乾杯の前に、カロウシしたテラジ=サンとタルアラ=サンに黙祷。彼らにロウサイの加護があらんことを」「「「「「ロウサイの加護があらんことを」」」」皆が復唱した。ロウサイとは労働に伴う傷病から守護してくれるという、サラリマンの間に語り継がれる信仰である。18

2015-04-20 20:07:09
@nezumi_a

「それでは皆さん!オツカレサマデシタ!」「「「「「「オツカレサマデシタ!」」」」」KLAP!サラリマンチャントが唱和し、掲げられたジョッキが打ち合わされる!零れるビール!「オットトト!」「こぼれてしまいました!」しかし笑顔!ブレイコウ!19

2015-04-20 20:10:14