- reservologic
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「文化」と cultuere がちょっとちがう件について。「文化」はもともと 'literate' =「文字の読み書きができるようになること」と同じ言葉の漢語で、だから明治の翻訳期に文明化の意味を持つ 'culture' の訳語に当てられたわけです。
2010-12-20 22:49:16それで、英語の culture を辞書で引くと、文化、文明の他に栽培だとか培養だとか養殖だとか教化だとかが出てきて、そういえば、耕作することを cultivate と言ったなあと思い当たります。要するに、英語の culture というのは「優性のものにそろえる」ことなんですね。
2010-12-20 22:49:20一方日本語の「文化」を国語辞典で引くと、そこには、生活様式だとか、風習だとか、精神だとか、要するに、歴史と伝統という概念が出てくるわけです。でも、英語の culture には歴史と伝統の概念は薄いから、そこに日本語と英語の間の誤解が生じるわけです。
2010-12-20 22:49:24日本では文化が「歴史+伝統」なので、豪州みたいな植民地あがりの国に住むと、「文化が無くてさびしい」なんて言ったりしますが、豪州人には「歴史がない」という自覚はあるけど、文化がないとは思っていません。自分たちには自分たちの文化がある、と。
2010-12-20 22:49:29逆に、日本語教師が「日本文化」を教えようとすると、英語話者から 'culture' の押し付けなんていらないなどと言われて面食らうことがあります。彼らは culture から、まず「受け入れられない慣習」を感じて「そんなものには同化出来ない」と警戒してしまうのかもしれません。
2010-12-20 22:49:32どうして、漢語にも英語にも薄い「歴史と伝統」というニュアンスが日本語の「文化」に色濃いのかわかりません。逆に日本語の「文化」からは漢語や英語に強く残る「教化(教えてやる)」のニュアンスがすっぽり抜け落ちています。日本人は昔から習うのが得意で教えるのは不得意なのかもしれません。
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