葉推詩選:2015年、春。

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葉月野 @hadukino_tc

桜が咲き始めた川沿いの散歩道で 私の春は色褪せている 埋まる日程と 変わる装い 始まりの儀式のようでいて じつは 忘れさせようとする 前を向くための理由が 淡い色をした花びらの裏にひそんで 肩に落ちるのを望んでいるが 風が冷たいので 想いはなかなか叶わない #twpoem

2015-03-16 22:03:38
葉月野 @hadukino_tc

代わり映えしないいつもの通り道突き抜けてきた春の息吹きだ #tanka #10秒で書く詩 #10秒で書く写真詩 pic.twitter.com/S5k3FSD3sZ

2015-03-21 18:12:53
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葉月野 @hadukino_tc

夕前の晴れ間をあおぐ春花の枝を思うか家路を急ぐ #tanka #10秒で書く詩 #10秒で書く写真詩 pic.twitter.com/EEnMe1SPT7

2015-03-22 00:26:21
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葉月野 @hadukino_tc

プラットホームのいつもの階段下で色を失くした彼女はよくある駅の風景に紛れ込んでいる。小走りに駆け下りてくる彼氏が視界に入ると世界は思い出したかのように彩り始めた。二人が春風に寄り添いキスを交わすと周りの空気がかすかに震えて電車の到着を待ちわびる #twpoem

2015-03-25 07:02:16
葉月野 @hadukino_tc

振り返ることもない記憶。ふとしたはずみで蘇る思い出。その狭間に線を引くもの。何と呼ばれているのかを知りたくて、手繰る。ひとひら、ふたひら。寄り添い、離れ、散り行くまで。始まるまでのきっかけ。風の音が君の声をさらって、聞き逃した答えすらも。 #twpoem

2015-04-05 18:41:58
葉月野 @hadukino_tc

研究室のランプが明滅を繰り返し、実験素材を切り分けた助手が黙々と作業を進めている。生まれたものが欲望にまみれるのか殺意に包まれるのか。純粋な好奇心の後にいつもやってくる感情。科学者が発見し、歴史学者が評価する。僕らは言葉遊びの先で祈る。(ラブ&ピース)#pw桜組

2015-04-12 09:19:34
葉月野 @hadukino_tc

波をかき分けて舟が進むと 花筏の客たちが水底に沈んでいく 気付かれないように まだ浮いている願いを手のひらに すくおうとした 危ないので身を乗り出さないでください 船頭の声に遮られて 見守ることしか出来ない 触れたかった ここでしか出会えないからこそ (ラブ&ピース)#pw桜組

2015-04-12 10:47:32
葉月野 @hadukino_tc

寄り添っているのに 疑いもせず 優しさが足りないと訴え 平穏な日々が訪れないと嘆く 無意味な比較を繰り返し 街角で勧誘される 貴方にも幸運を なのに間に合ってますと言って 探しに行く 明日の弁当の材料とかをね ご飯の上に描くのは 困らせた模様にしよう (ラブ&ピース)#pw桜組

2015-04-12 11:13:02
葉月野 @hadukino_tc

春の庭先には爺さん 公園には婆さん達 スーパーには家族連れ 長閑な時間を 当たり前の様に 過ごす 忘れられがちなことを 口に出したら壊れてしまいそうだ 知恵袋から取り出した実ひと粒 育て方を手渡していく (ラブ&ピース)#pw桜組

2015-04-12 11:29:00
葉月野 @hadukino_tc

足音に怯えなくて済む日を 暖かな春が巻き込んで でもやっぱり思いきれない 借り物の誇りをかぶって 招待状に希望を持てないまま 会場に向かう 感謝の言葉をかけられ 返すやりとりの 繰り返しが響く入口 可愛らしい悩みだ この後安らぎを探しに行く (ラブ&ピース)#pw桜組

2015-04-12 16:47:13
葉月野 @hadukino_tc

星の数ほどの愛の歌 好きな曲を訊かれ 一つ挙げた 好みが合わないと言われた 互いを理解するきっかけが 一つ生まれた 知らないこと少しずつ 確かめながら埋めていく 一つ、一つ 涙の形重ねるように (ラブ&ピース)#pw桜組

2015-04-12 21:00:59
葉月野 @hadukino_tc

青い瞳がくすんだ小さな老犬の 今にも消えそうな姿が沈む 亡骸を地平に埋めて だれかの子犬に生まれ変わる 見上げる限り 着いて行くに違いない 繰り返しに織り込まれる 好奇心と充足感 追うのを諦めたわたしは きみの背中を見送った #twpoem

2015-04-27 22:17:14
葉月野 @hadukino_tc

大荷物になる支度に痺れを切らして、着の身着のまま旅立ちたいと言う欲求。自由を掴むか失くすのか、天気予報くらいの精度があればいい。皮肉な眼をした雲が先に行く。涼やかな顔をした風が追いかける。雨は何時も胸の中。時折溢れて困らせるが、晴れに染まって少しは救われたろうか #twpoem

2015-04-28 15:10:12
葉月野 @hadukino_tc

綱渡りを押しつけられてそれがスキルだと強弁される。明日はなく行くあてもない。卑屈になって生きるすべを探すのが旅ならとっとと帰った方がいい。もっと肩身の狭い思いをすることになるけれど。連敗中のゲームを反故にする都合のいい方法を夢見るのは二時間くらいにしておく。 #twpoem

2015-04-28 20:18:04
葉月野 @hadukino_tc

洗練されてエッセンスだけとなってしまった味気なさに失望するのは勝手だ。荒削りなものに未来を見出すことが変わらない真実で、行き着いた目的地が終焉なら、誰もゴールを目指さない。日常を繰り返す必要と世界がひとつでない理由。明朝のコーヒーに覗き込んでみようと、決めた #twpoem

2015-04-29 22:01:46
葉月野 @hadukino_tc

湖畔という名のバス停は歩道も路肩の敷石もない道路でただ標識だけが立っていた。晴れ渡る空と湖面の照り返しに挟まれて時折消え入りそうな青い看板。旅先で不確かになる時刻表と路線図が行先を決めるのを待っている #twpoem pic.twitter.com/7ISvSO68tg

2015-05-03 22:02:19
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葉月野 @hadukino_tc

青空はどこにでも落ちている けれど気付かれることは少ない 普段俯いて歩いている人は多い けれど他のことに気を取られている 旅路で受ける新鮮な空気は忘れていたものが結構混じっている 見知らぬ土地の懐かしい風景に触れる #twpoem pic.twitter.com/rwWWC4oqgX

2015-05-04 07:47:07
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葉月野 @hadukino_tc

遠い日の夢を手放してしまって 崩れ落ちそうな心 打ち寄せる波 流れ着いていないか 漂着物に紛れていないか 旅人には分からない #twpoem pic.twitter.com/TnAOrGwKxN

2015-05-04 08:22:26
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葉月野 @hadukino_tc

真夏日の昼下がりに日影の少ない広場は人もまばら。工事の騒音がどこからか遊びに来るくらいだ。オブジェの下で光が主張を強める。私の眼には眩しいヴェールを被せてくる。彼らが何を言いたいのかは分からずじまい。 #twpoem pic.twitter.com/rKN4wZ5jv9

2015-05-08 14:53:48
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葉月野 @hadukino_tc

|           ふ      ふら     ふらふら     ふらついて    ふあんていな心    ふしぎに倒れない   ふりこのようだ   ふいに笑う  ふてきに  ふふ ふ #三角定規詩

2015-05-16 08:12:12
葉月野 @hadukino_tc

風  受け  ゆっくり   風車が回る   かって気ままに    とおり過ぎてゆく    知らないうちに     羽が生む力     中心へと      渡す      軸 #三角定規詩

2015-05-16 10:37:56
葉月野 @hadukino_tc

|  切り取られた思い出の 間  いつか見た風景は 只    かすれてゆく 夜に     軋む音は 君が       叫ぶ ように 知らず       空 仰ぎ見た     信じ 託したい    遠くへ 形に変えて  ことばと 交わる時間 に吹く春風 #三角定規詩

2015-05-16 10:38:14
葉月野 @hadukino_tc

鋏 を忘 れた日 直角三角 定規と二等 辺三角定規を 重ね持って鋏の 代わりにした これ意外と よく切れ る試し てみ て #三角定規詩 #詩じゃなくてただの豆知識だ

2015-05-16 20:24:18
葉月野 @hadukino_tc

_    いくえにも潜む 闇   秘密の定形 深く  解く為の 沈んだ  鍵も   謎 意識の端 謎  めぐる 旅を始める きっかけは 謎々の  紙 折畳んで 答   挟み  飛ばす    風に舞う  鶴の   尖った嘴が   上  指す謎回り回る #三角定規詩

2015-05-16 21:20:17