ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/12/21

ぼろいねこ讃 @nekoboro

わたしは、わたしの持ちものを次々とかくはん機に放り込んでいった。しかし猫だけは逃げた。十年間もえさをやっていたのに、みちを違えた。もう追える足もないので仕方がない。わたしはひとり、かくはん機へ入った。最後に物悲しい空を見た。空はなんにも語らなかった。 #twnovel

夢名 七志 @mumei7c

【里親募集】巨大ロボット８歳。身長６０ｍのとっても落ち着いたかわいい子です。エサは好き嫌いないですけどウラン２３８を喜びます。家族全員が放射能汚染になり、アパートの大家さんにも見つかり、飼うのが困難になってしまいました。かわいがって頂ける方よろしくお願いします。 #twnovel

@NAYUTAUNAGINOVE

夜の校舎の見回りをしていると理科室の電気がついていた。窓から室内を覗くと白衣を着た人が机で何か書いている。理科の先生が学会に出す論文の話をしていたことを思い出す。深夜まで大変だなと思い声をかけた。「お疲れ様です」振り向いたのは白衣とカツラをつけた人体模型だった。 #TwNOVEL

ひょろ @hyoro4779

『聖夜の光景』 #twnovel クリスマスの夜、寝ている子の元に一人のサンタがやってくる。サンタが枕元に近づいた瞬間、壁に吊るされた靴下が大口を開けて彼を飲み込んだ。続いて悲鳴と咀嚼音。しばらくの後、靴下に擬態したその生命体は消化し切れなかったプレゼントの箱をプッと吐き出した。

Takao Rival @takao_rival

#twnovel 「サンタって本当にいるの？」毎年恒例のお嬢様の発言だが、伝説の執事は動じない。各国情報機関による極秘報告書を黙って手渡す。どれも「サンタの実在は否定できない」という結論で、しかも各国元首の署名付きだ。元首本人達が見ても偽造とは気付くまい。旦那様にも困ったものだ。

ジュン @jun50r

#twnovel 少子高齢化社会に堪えかね、若者は老人を山に捨てた。姥捨山である。団塊世代の老人は「良心は痛まないのか」若者は「アンタらもやってたろ。核家族化と称して」団塊は恨めしそうに「お前らもいずれ同じ目に合うぞ」若者は「その心配は無い。俺たちは産む余裕さえないからな」

@K_Ichida

#twnovel その人の記憶とＤＮＡを読み取って自伝を作ってくる人生製本サービス。さっそくやってみた。だが出てきたのは８桁の数字。なんだろう？「これは本の番号です。ありきたりの人生の方には、もう印刷済みの本があるんですよ。いいですね、未来のことまでわかりますよ」うれしくない。

たくわん @takuwan_takusan

苦心の末に恋文を書き終え、送信したところで男は力尽きた。小胆で口下手だった男は、酒の力を借りて彼女にメールを送った。翌朝、ふた文字の返事を見て男は歓喜した。しかし、宛先欄に気づくやいなや絶叫した。彼らは会社の同僚らに祝福されて社内公認のカップルになったという。 #twnovel

佐木ささめ @sakiandu

#twnovel 「それ食べないんですか？」と彼女が僕の皿を指す。この台詞の裏の意味は「食べないなら私に下さい」か「勿体ないから食べて下さい」のどちらかなんだよなぁ。でも今日はどちらの意味か本気で分からないのは、僕の愛情不足なんだろうか？とエビフライの尻尾を見ながらマジで悩んだ。

けいりん 11/11(土)文学フリマ東京37 い-25🧸🍁🦁🐦🩷 @koukounaries

ぼくの家には大きな木があります。木にはカレーライスがなります。きのううちゅうじんが来てカレーライスをとろうとしたので、ぼくはおこって石をなげました。うちゅうじんは「ごめんなさい」といって、なきながらとんでかえっていきました。ぼくはよるカレーライスをたべました。 #twnovel

N.T.Works/凪司工房＠介護生活中＠脱落者 @nagi_tter

#twnovel 募金のつもりで人生最期の宝くじを買った。一枚だけ。それが当たったと分かり、換金に向かったら別れた彼女と再会した。彼女も酷い人生だったようで、その金で一緒に暮らそうと約束した。いざ換金に向かうと組違い。手に入ったのは十万だけだ。結局、俺には右頬の痛みだけが残った。

@QuaibunPocket

彼女は栓抜きが見当たらないと何度か繰り返した。仄暗いバーの隅で彼は酔眼にビール瓶を見つめ、あるいは手にとって逆さにしてみたがやはり空だった。「やっぱり」男は不満そうに見上げた。「やっぱり奥居香に似ているわ」男はひとつ瞬きをしてそれから別のビール瓶を手にした。 #twnovel

八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。今宵の獲物はシャボン玉を吹く街娼だった。無数のシャボン玉がネオンサインを反射してキラキラと光る。女はストローを唇から離してつぶやくように童謡を歌った。「やめろ」と人間豹は言った。「たのむからその歌だけは歌わないでくれ」 #twnovel

Ak @Akinobu_E

治安が悪いこの地域では、ほぼ毎日銃声が鳴り響いている。引っ越しや武装などで対応している中、ティッシュ配りの彼だけが、毎日ティッシュを重ねていた。何故そうするのかと尋ねてみると、彼は答えた。「これで鎧を作るんだ。僕は、服とティッシュしか持ってないからね」 #twnovel

しーな@GO2完走 @xsheeenax

雨雲を越えて、不思議な魔女は月の蝕に触れる。満月に蝕、か。独りごちてうっそりとした笑みを浮かべた。眼下にはその狂気に当てられた人々の混乱がちらほらと見え隠れしている。ああほら、無意識だと操られてしまうよ。思わず口に出した忠告も、月に吸い込まれて彼らには届かない。 #twnovel

@ttmmsys

私は魔術師だ。 先日、我が偉大なる秘儀により、永遠の女性を我が伴侶とすべく創造した。 魔術は成功し、私の部屋に一人の完璧な、美しく若く賢い女が現れた。 そして女は、私の部屋から私を追い出した。 家は無くしたが、私は魔術師だ。 #twnovel,

翼 @keith_mild

#twnovel 干上がった海へと還る海亀の子。涙混じりの砂浜を這い、本能が示す場所を目指す。私は止めない。彼らの境遇は悲劇そのものであったが、それを知らぬ彼らの行動は正しく喜劇だったから。徐々に散らばり始めた海亀の群れを見て涙を流す。出来損ないの寸劇を開いた無情なる神を憂いて。

いでゆのまち @ideimachi

#twnovel ご主人の癌は、転移していました。宣告に目まいがした。なぜか嬉しそうに、医師は続ける。「全身に転移し…あらゆる細胞が癌化しました。不死身の超人に変身したのです！」ぼう然とする私に、現れたゴムスーツの男が白い歯で笑う。ヒーローと化した夫。…晩ご飯の用意、してないよ。

内藤みか（作家） @micanaitoh

見つめ合う時間が長くなった。最初は目が合うことすらなかったのに。今では私たちは時には何秒も見つめ合う。あなたはそらさない。いつでも私がうつむく。私たちは待っている。この空気を破りどちらかが何かを切り出すことを。けれど私たちの唇は何かを言いたげにかすかに蠢くだけ。 #twnovel

layback @laybacks

キャラクター抱き枕N子を購入した。単三電池2本で温もりだって感じられる。大満足だった。ところがある日突然。N子のお腹の部分がむくむくと膨らんできた。N子の眉間に皺が寄る。お腹の横のジッパーがするすると開き、中から小さなおっさんが出てきた。「だ、誰？」「枕の精や」 #twnovel

layback @laybacks

「枕の精？」「せや。使われることによって枕には枕の精っちゅうもんが宿るんや。そんなことより兄ちゃん、抱き枕もええけど、あんた若いねんから、ちゃんと生身の女の子と恋もせなあかんで。あとな。風呂だけは入りや。臭うてしゃあないわ」小さなおっさんは枕の中に帰っていった。 #twnovel

キヨシロウ @kiyoshiro_aoi

#twnovel 人類は滅亡しその長い歴史に幕が下ろされた。 翌週からキャストを一新してシーズン2が始まった。

ロバ @donkeys__ears

スマイルが０円だったのは今世紀まで。２２世紀は外国為替市場での取引、スマイル高ドル安、どんどん高騰した末にスマイル・インフレ価格は大暴落。どれほど微笑んでも自分が相手に好意を持つと受け止められずに、疑いばかりの都市生活者は東京砂漠をさらに乾燥させるんだ。 #twnovel

黄金の米菓子 @OK_1111

#twnovel あの娘のおっぱいが頭から離れない。今年の四月に入社した経理部のあの娘。制服を着ていてもわかる、あの胸の膨らみ。すらっとした体型なのに、おっぱいは大きいのだ。暇があればあの娘のおっぱいのことを考えている。他意はない。ただ触りたい。あの娘のおっぱいを揉んでみたい。

140字物語 @shortshortshot

念願通り本物のサンタと結婚した私。優しくて財力があって最高！でも一つ不思議な事が。12月はわかるけど、年中忙しそうにしているのは、一体何をしてるんだろう。思い切って聞いてみると彼は微笑んで言った。「決まってるじゃないか。子供達がいい子にしてるか監視してるんだよ」 #twnovel