ゾーニングと「見ない権利」について、青識亜論氏とのやりとり
- masatoramune
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まずはaskでの質問から。
見ない権利の主張の根拠を不快感とするのは妥当なのでしょうか?例えば、私一人がある対象に個人的に不快感を訴え... — まさにおっしゃるとおりです。私たちの社会におけるゾーニングの考え方は、どうしても功利主義的な観点に頼らざる... ask.fm/a/c0m228qp
2015-04-19 18:56:52以下、質問を続けます。
@dokuninjin_blue お答えいただきありがとうございます。また、この質問に付随してもう一つ質問したいことがあるのですが、青識さんは「見ない権利」という言葉についてどう思われますか?
2015-04-19 20:35:14@dokuninjin_blue 人々の「見たい」気持ちを尊重するのと同じように、「見たくない」気持ちを尊重しなければならないというのは私も共感するところですし、ゾーニングがやむを得ない措置であることも全く同意です。
2015-04-19 20:35:55@dokuninjin_blue しかし、それを説明するときに功利主義的観点(多数の不快感)に頼らざるをえないのであれば、それに「権利」という言葉を用いてよいのか。それに最近疑問を持っています。
2015-04-19 20:36:24@masatoramune 「見ない権利」が単に存在するというだけであれば、ゾーニングなどは必要ありません。権利を行使するためには、目を瞑ればよいのです。電車の中吊り広告を見たくないのであれば、電車に乗らなければすみます。
2015-04-19 20:47:23@masatoramune しかしそれでは、権利が十分に「尊重されている」とはいえないでしょう。見る権利と可能な限り共存できるように、相反する二つの権利をバランスよく調整することが求められるのです。こうした例は珍しくありません。
2015-04-19 20:48:20@masatoramune 工場の経済的な権利と周辺住民の環境権、ギターを弾く権利と隣家住人の静謐権、著名人のプライバシー権と大衆の知る権利……私たちは対立する諸権利を功利主義的観点で、あるいは正義と公正の論理によって、合理的に調停してきたではありませんか。
2015-04-19 20:51:34@masatoramune ゾーニングもそうした営みのひとつであるというだけです。ただし、注意が必要なのは、私たちの知る権利は、表現の自由の重要な前提を構成しているということです。見ない権利は当然に尊重されるべきですが、ゾーニングは必要最小限の範囲に限られるべきです。
2015-04-19 20:53:24@masatoramune 騒音と地域住民の静謐権の間の対立は、けっこう判例があると思いますが。楽器を弾く権利との調整については、すみません、自分で書いたものの、判例があるかどうかよく知らないです。
2015-04-19 21:17:37@dokuninjin_blue 騒音と地域住民の対立というのは確かにたくさんあると思います。私は判例に関してはあまり詳しくないのですが、その対立の中で静謐権という「権利」が示されたものはあるのでしょうか?
2015-04-19 21:31:19@masatoramune 騒音のない生活環境というのは、静謐権(生存権・環境権の一部分として扱われるかもしれませんが)の問題以外のなにものでもないのでは? たとえば大阪空港公害訴訟などはどうでしょうか。
2015-04-19 21:54:19@dokuninjin_blue そのような権利が認められているとして、その根拠が「多数の不快」で説明せざるをえないのかどうかが気になりますね。
2015-04-19 21:56:47@dokuninjin_blue 環境権であれば、不快感の他にも「健康的な生活」を根拠にし、個人一人一人に対してそれを尊重することができます。プライバシーの権利であれば、それこそ個人のもっとも私的な生活空間に直結する問題でしょう。
2015-04-19 21:59:47@dokuninjin_blue 騒音に関しても住宅の近くであれば、それはごくごく私的な空間に干渉していますし、特に夜間であれば健康被害も問題になるでしょう。屋外である人が不快に思う画像が表示されていることとは、また違った問題をはらむような気がします。
2015-04-19 22:03:48@dokuninjin_blue ゾーニングの場合は不快感を根拠にしますが、何が不快なのかは人によって様々です。そして先ほどの質問でもあったように、ゾーニングでは個人一人一人ではなく、一定の人数を超えた集団の不快感しか尊重されません。
2015-04-19 22:10:24@dokuninjin_blue そうしたものを「権利」という言葉を用いて説明するのにはまだ疑問があります。ゾーニング以外でも、これと同じような状態であれば、私はやはり疑問を持つでしょう。
2015-04-19 22:14:48@masatoramune 景観法によって保護される景観権などはどうでしょうか? 景観権の集合を保護法益として、個人や企業の経済的自由権を制約するものだと思いますが。
2015-04-19 22:15:09@dokuninjin_blue 少なくとも、景観法成立の時点では景観権は認められていなかったと認識しています(間違いでしたらご指摘ください)。「景観利益」というのは聞いたことがありますが、権利として認められているかどうかは存じません。何か参考になる物があればお願いしたいです。
2015-04-19 22:59:42@masatoramune とはいえ現実の運用としては経済的自由権を、地域住民の景観に対する権利によって制限しているわけですから、ある種の権利が観念されていることは否定しがたいと思います。 (参考)判例における「景観利益」概念の確立 www1.tcue.ac.jp/home1/c-gakkai…
2015-04-19 23:34:14この日のやりとりはここまで。後日、続きです。
@dokuninjin_blue 先日提示された文献によれば、財産権と対置される概念は、国立マンション訴訟の最高裁判決で成立した「景観利益」ですね。courts.go.jp/app/files/hanr…
2015-04-29 21:01:31