米国『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』編集長が公式ブログで日本のミステリ事情を紹介(2015年4月)

(追記:2015年5月1日深夜) 自作が米国『EQMM』に掲載された際のエピソードを語った光原百合先生のツイートを追加しました。
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Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

米国『EQMM』の公式ブログにまた日本のミステリについての記事が。昨年9月に載った「ホンカク礼賛」という記事は『EQMM』でポール・アルテを英訳しているジョン・パグマイヤー氏が寄稿したものだったけど、今回の記事は編集長が書いたもの。 somethingisgoingtohappen.net/2015/04/29/cri…

2015-04-30 07:13:26

2014年9月のブログ記事については下のTogetterを参照のこと

まとめ 「本格(Honkaku)」という言葉が米国『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』のブログで紹介される 英語には「本格ミステリ」の「本格」に相当する単語がないと言われています。 英語圏のミステリ評論家もその「不便さ」(?)を感じていたようで、ツイストの効いたプロット、結末のサプライズ、フェアプレイなどを包摂する概念を表すものとして、日本の「Honkaku」という言葉が紹介されました。 ◆続報◆(2014年10月14日) http://togetter.com/li/731940 ◆関連◆(2014年10月17日) http://togetter.com/li/733197 29057 pv 266 66 users 16

 なお、2014年9月にジョン・パグマイヤー氏が寄稿したブログ記事「In Praise of Honkaku」は、その増補版の邦訳を『本格ミステリー・ワールド2015』で読むことができる。訳題は「本格を讃えて」。

米国『EQMM』編集長が書いた今回の記事について(2015年4月)

Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

米国『EQMM』編集長、ジャネット・ハッチングズ氏の記事「CRIME FICTION IN JAPAN」(4月29日)。日本のミステリ創作の伝統は英米仏と同じくらい長く、また本格ミステリ(the puzzle mystery)が今日においても書かれ続けていることなどを最初に紹介。

2015-04-30 07:14:03
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「以前にもどこかでこの奇妙な事実について書いたことがあるが、エラリー・クイーンの作品がいつでも書店で手に入るような国は世界中でも日本だけだ。」

2015-04-30 07:14:38
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「2004年に『EQMM』は、新本格ムーブメント(new traditionalist movement)の作家の1人である法月綸太郎の作品を掲載した。彼はクイーンと同じように、作者と同名の探偵がその父とともに活躍するという作品を発表している。」

2015-04-30 07:15:12

※法月綸太郎は米国『EQMM』2004年1月号に「都市伝説パズル」、2014年11月号に「緑の扉は危険」が英訳掲載されている。

Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「日本の作家たちは欧米の巨匠たちが作り出した古典的な探偵小説の様式を用いて革新的な作品を生み出し続けているが、それがほとんど英訳されていないのは西洋の読者にとって損失である。」

2015-04-30 07:16:08
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「日本には古典的なフーダニットを書く作家だけでなく、人間の心理の繊細な部分を描くミステリ作家もいる。私は英訳されたほんの少しの作品しか読めていないが、この分野はアメリカの出版社にとって宝の山だと確信している。この分野で、アメリカでよく知られているのは今のところ桐野夏生ぐらいだ。」

2015-04-30 07:16:47
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「日本のミステリがほとんど英訳されていないという状況は、しかし少しずつ変わりつつあるようだ。『十角館の殺人』が近々出版される予定で、『占星術殺人事件』の英訳版も再出版される。『EQMM』では2015年8月号に島田荘司「発狂する重役」、また近いうちに甲賀三郎「蜘蛛」を掲載する。」

2015-04-30 07:17:24
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

甲賀三郎「蜘蛛」が米国『EQMM』に載る予定とは! これはこの記事で初めて知った。甲賀三郎に先を越されるとは、乱歩も悔しがるだろうな……。(乱歩はエラリー・クイーンに手紙と自分の短編の英訳原稿を送って『EQMM』に載せてほしいと頼んだが、載せてもらえなかった)

2015-04-30 07:18:54
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「日本の作品は古典的なもの(the classical school)ばかりだという印象を与えたくはない。たとえば、2013年に『EQMM』に掲載された永瀬隼介「師匠」は社会問題を扱っている。このような、現代西洋のクライム・フィクションの主流と並行するような作品もある。」

2015-04-30 07:19:46
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「また、日本の心理スリラーへの言及も忘れるわけにはいかないだろう。殺人もパズル的謎解きも暴力もないが、辛うじて「crime stories」に分類できるタイプのもの。たとえば『EQMM』2004年12月号に掲載した光原百合「十八の夏」は素晴らしい作品だった。」

2015-04-30 07:20:16
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「光原百合の作品(そしてその他の多くの日本の心理サスペンス作家の作品)が英訳されていないのは残念なことだ。私にはこの分野こそ、日本のミステリ作家が真に傑出している分野だと思われる。」

2015-04-30 07:20:56

ブログ記事中のいくつかの誤りについて

Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

米国『EQMM』は江戸川乱歩賞の受賞作やノミネート作を翻訳掲載してきた、とあるが、これは誤り(正しくは日本推理作家協会賞短編部門の受賞作やノミネート作)。どうやら「日本推理作家協会賞」の別名が「江戸川乱歩賞」だと誤解しているようだ。

2015-04-30 07:21:37
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

また、日本推理作家協会のことを「Japanese Mystery Writers Association」と書いているのも誤り。英称は正式に「Mystery Writers of Japan, Inc.」と決まっている(『日本推理作家協会会報』1996年6月号参照)。

2015-04-30 07:23:49
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

甲賀三郎の本名が「ハルタ・ヨシタミ」になっているのも誤り。あと、『十角館の殺人』の著者が甲賀三郎になっているという大きな誤りも……。 「甲賀三郎『十角館の殺人』が英訳出版される時期に合わせて、『EQMM』は甲賀三郎の「蜘蛛」を掲載します。」

2015-04-30 07:24:48

さらに江戸川乱歩、大阪圭吉、鮎川哲也、二階堂黎人、加賀美雅之、大山誠一郎、米田三星、狩久の作品が米国『EQMM』に掲載される可能性も?

島田荘司 @S_S_Kingdom

EQMMプロジェクト、英訳して世界に問う日本代表格の本格短編を探しているのだけれど、これがなかなか見つからない。衝撃度高の、頭脳的設計図内在を条件としているので、バーを上げすぎてるのか。でもやっとまたひとつ見つけた。大阪圭吉「三狂人」。「坑鬼」が傑作の声高いけれど、今はこれだな。

2015-04-22 17:40:46
島田荘司 @S_S_Kingdom

今のところこれでいいかなと思っている短編は、 「心理試験」江戸川乱歩 「赤い密室」鮎川哲也 「三狂人」大阪圭吉 「ロシア館の謎」二階堂黎人 「縛り首の塔の館」加賀美雅之 「彼女がペイシェンスを殺すはずがない」大山誠一郎 まだ決定ではないけれど。

2015-04-22 17:47:59