さて、帰郷直前の視聴感想。りりかSOSが帰阪中にはレンタルでない兼ね合いで一時中断していますので、その穴埋めとしてムーの白鯨の視聴感想をゴールデンウィークは書くことにします。
2015-04-29 16:04:54さわりの1~3話について。ムーの白鯨は前々からコアなファンには人気があるようなというカルト的な作品っぽい印象も少なからず。一時見ていたがちゃんと見るのはこれが初めて。フライ・トゥ・ザ・ムー
2015-04-29 16:05:47この作品について良く語られる事として、東京ムービー作品では最初で最後となるオリジナル作品という点。大手のスタジオながらも東京ムービーのオリジナル作品は後にも先にもこの1作品だけという貴重な立ち位置。
2015-04-29 16:06:43一応とんでモン・ペなどの文具メーカーとのタイアップでアニメは完全オリジナル、出崎監督版宝島のような原典を飛躍的にアレンジした例はあるも純粋なオリジナル作品はこれだけしかないのである。案外意外なものである。
2015-04-29 16:07:49また、ムーの白鯨は後でちょっと詳しく述べるが東京ムービーにとってそれまで縁もなかったSF作品。一応ビッグXが過去にはあるが黎明期のモノクロ作品以来の挑戦なので実質SF作品は初挑戦というような感じでムーの白鯨に挑んだのかもしれない。
2015-04-29 16:09:01ただ、その後番組に太陽の使者版鉄人28号が来ており、さらにその先はゴッドマーズ。エステバンの所で似たような事を書いたがこの作品もまた後のロボットアニメものに通じるプレ的な立ち位置なのかもしれない。
2015-04-29 16:09:43実際、ストーリー展開としてムー側のヒロイン・マドーラとアトランティス側の女戦士ラ・メールは生き別れになった姉妹、またラ・メールの恋人である美形悪役プラトスと彼の兄ゴルコスの兄弟の葛藤を題材としたドラマがメインになっていくらしい。 pic.twitter.com/iHvI2Sg3vU
2015-04-29 16:12:59ここら辺は敵味方に分かれた点、兄弟同士の葛藤という点ではゴッドマーズのマーグ&マーズ兄弟のドラマの原型では……?なんて思っていたり。
2015-04-29 16:14:07また、ゴッドマーズのルーツ的なドラマを持ちながら、絵柄のほうはゴッドマーズのような繊細な雰囲気ではなくやや古風な面影もある素朴な絵柄だ。
2015-04-29 16:14:53特に主人公の剣を見て気付いた事だが、柔道讃歌の突進太と結構面影が近い。いうなれば貝塚先生っぽい絵柄をしているなぁといった所でマドーラや譲、ゴルコス辺りも実際貝塚先生の絵柄だなぁと見て感じたり。 pic.twitter.com/0l2261sc2T
2015-04-29 16:16:08ここ辺りは、香西隆男さんや前田実さん、鈴木欣一郎さんなどと東京ムービーのスポ根ものを手掛けられたスタッフがそのまま移籍した事情もあるのかもしれない。新巨人の星Ⅱへの参加スタッフがベルばらとムーの白鯨へ綺麗に分かれたといったところだろうか。
2015-04-29 16:17:31最も、このムーの白鯨で本橋秀之さんと亀垣一さんも参入している。太陽の使者版鉄人は若干美形っぽさが上がり、本橋さんがキャラデザに着任したゴッドマーズは美形美少女百華絢爛の絵柄へと変化していく。
2015-04-29 16:18:42いわば、ムーの白鯨が70年代スポ根ものっぽい素朴な雰囲気(ここは絵柄以外もある)から、80年代SFものにフィットしたシャープな雰囲気へと切り替わっていく過程なのかもしれない。画風の変化という観点でもプレ的な立ち位置ではないかと。
2015-04-29 16:19:50そして、ムーの白鯨で面白い事柄として、当時のSFアニメでは珍しく合金トイなどの商品展開が一切為されていなかったということである。
2015-04-29 16:20:38ロボットアニメはおろかSFものでも玩具展開が殆どだったという時代の中では異例だ。実際ムー側は白鯨と木製の戦闘機ムーバルといったメカニック群だけであり玩具を発売しろというのは無理に近い。 pic.twitter.com/IxoNEdWorR
2015-04-29 16:22:23何やらムーの白鯨はよみうりテレビ側の福尾プロデューサーが原案を担当されていたらしく、この作品には広告代理店が参加していないかと思われる。いわばほぼ局主導で進められた作品として玩具売上の重要性はほぼなかったのかもしれない。
2015-04-29 16:23:50ただ、それもあってか当時のSFものでは珍しくゆったりとした雰囲気がある。白鯨や木製戦闘機ムーバルといった自然の力を借りたメカニックの他、ストーリー展開も3話の時点でまだ剣達が白鯨に乗って戦う気配がなく、戦争の背景や戦う決心をつける所まで丁寧に書いている。
2015-04-29 16:25:44これは販促ものであったら早く白鯨を戦わせろ!と突っ込まれてしまいそうではある(汗)ただ地味ながらも、有機的な世界観やメカニック、じっくりと腰を据えた展開などと慣れないSFもののジャンルを前にノウハウのなさで後手に回るのではなく、SFものという事を意識せずにのびのびと展開しているか
2015-04-29 16:27:25とはいえ、メカ作画ではノウハウがないにも関わらすメカ修正という特別な役職が設けられている。日本のアニメ界において初となろう、メカ作画監督という先進的な概念 pic.twitter.com/t6PYsbRvgX
2015-04-29 16:28:50そして、序盤のメカニック描写は地味ながらも雲のように流れる爆発エフェクトや、暴れ馬のように動く光線類の描写など、本家メカアニメ類に引けを取らぬ魅力で表現されているかと pic.twitter.com/f9G3s1P78o
2015-04-29 16:30:341話より。ここら辺の計器類の書き込みや影のつけ方はスタジオZ回らしいと言うべきか。 pic.twitter.com/kyArStDSIf
2015-04-29 16:31:39そして3話のビーム作画も地味な1シーンなれど侮れない。1筋のビームが離散と集合を繰り返しながら荒れ狂うように飛ぶ。ここは見ているだけでちょっと興奮できる pic.twitter.com/DAV1iX1mEA
2015-04-29 16:33:07当時の東京ムービー作品が何かと作画レベルが高いパターンが多いのだが、ムーの白鯨もその良い例かもしれない。エフェクト類だけで非凡な才能はとどまっているものの、先がちょっと楽しみである。
2015-04-29 16:34:13ちなみにムーの白鯨のメインライターとして星山博之さんが参加されている。ガンダムから流れた点や古代遺産が主役メカとの点からポストイデオンっぽくもあるが、後に同じ東京ムービー作品でムー大陸のSFものだったゴッドマジンガーでもメインとして登板……偶然だろうか。
2015-04-29 16:35:52