マケドニア式ファランクスの士官達

私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

昨日、中断してたマケドニア式ファランクスの士官配置についてもっかい最初から紹介してみる。マケドニア式ファランクスは256名のペゼタイロイ（職業軍人化した重装歩兵）やデウテロイ（自立農民等による召集兵）などによって構成されるわけですが、その大隊内にも様々な士官将校がおります。

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その士官配置や内訳、構成する隊列の分類などはマケドニア式ファランクスと一言で言っても時代やヘレニズム諸国などで結構違うわけですが、その中でも主に取り上げられるのはアスクレピオドトスとアエリアヌスの著書によるもの。

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長年議論されている面や私や友人ではわからないところもありますが、アスクレピオドトスのものを基本に図にしてみました。マケドニア式ファランクス一個大隊（シンタグマもしくはスペイラ）が攻撃隊形をとったときのものを想定して。矢印が進行方向です pic.twitter.com/qxnmNKY5gL

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マケドニア式ファランクス大隊はシンタグマ:Syntagmaまたはスペイラ:Speiraと称されます。一個シンタグマは16x16、重深度の攻撃隊形をとった場合は32x8の方陣を組むわけですがこの場合は16x16の基本的なものですね。これがズラリと並んでファランクス戦列を作るのです

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一個シンタグマ（大隊）256名を率いるのはSyntagmarchos:シンタグマルコス（またはSpeirarchos:スペイラルコス）と呼ばれる大隊長です。大隊長は概ねシンタグマの最右翼に位置し、最前線で戦い、指揮をとりました。

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これは装備と古典期ファランクス隊形による古典ギリシャ期からの伝統でファランクス隊形をとった方陣において、最前列最右翼に位置することは大隊で最も権威ある兵士であり戦士であったからです。マケドニア式ファランクスにおいてはそれが指揮官の位置になりました（古典期も軍によってはそう）

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そして、その大隊長Syntagmarchosの背後には重要な将校達が位置します。Trumpeter:ラッパ手、Standard Berer:軍旗手、Herald:連絡将校または伝令です。 pic.twitter.com/yWW3TTKHDD

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Trumpeter：ラッパ手は大隊や周囲の他の大隊や部隊に状況を伝えたり、大隊の兵士達の歩調テンポを合わせる為に一定の調子で音を鳴らしたりする将校です。大隊内でどれくらい偉いかは知らない（ぉ）　緊急時にはﾌﾟｧｰ！と高音を鳴らして大隊長や後述の中隊長達に伝えたりしたと言われてます

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アレスの名を叫んだり、軍歌や戦歌、武装歌を謡いながら進む大隊:シンタグマの兵士達の調子を合わせる為に「ﾌﾟｧｰﾌﾟｧｯﾌﾟｧｯ、ﾌﾟｧｰﾌﾟｧｯﾌﾟｧｯ」などと吹きまくるのがラッパ手。大隊長からの命令も吹き方と音で大隊内に伝えるのが彼です。

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ﾌﾟｧｰﾌﾟｧﾗﾌﾟｧﾌﾟｧｰ

MEY @MEY_n

@centurio_P youtu.be/jYchCMe5btI?t=…　質問です、この映画内の進軍時の掛け声なんて言ってるかわかりますでしょうか？ギリシア語？

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@MEY_n ラッパ手が吹き始めてからのですよね？これはアレスの名を叫んでいます。ちょっと具体的になんと言っているかは私も忘れちゃいましたが･･･アレスの別名ですね

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Standard Berer:軍旗手は大隊内において、軍旗を高く掲げ大隊の位置を、ファランクス戦列を取り纏める千人隊長ら（キリアルコス）や軍団を指揮する軍団長（ストラテゴス）らに示すと共に大隊内の兵士達に大隊の健在振りを示したり、ラッパ手と共に大隊長の命令を伝えたりする存在です。

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正直、大隊内でどれくらい偉いのかは知らない（ぉ）　軍旗を上下に振ったり、前に倒したりなどで様々な意味があったとされます。

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Herald:連絡将校または伝令 は大隊間、または上位の部隊や指揮官に文字通り大隊長から要請や詳しい状況を伝える存在です。具体的には言及されておらず、何人いたかはわかりません。あと大隊内でどれくらい偉いかもわかりません（ぉ）

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そして、ある意味最も重要な将校といえるのが大隊:シンタグマの後背に控える二人のTaxiarchos:タクシアルコスです。俗に言う中隊長を指します。マケドニア式ファランクス一個大隊は二つの中隊:Taxis:タクシスから成り立っており、その二つそれぞれの隊長がTaxiarchosです

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マケドニア式ファランクス大隊における中隊長:タクシアルコスらは、判っていないことも多いですが、大隊長の次に序列が高かったとされており、大隊長が戦死した場合はどちらかが大隊の指揮を引き継いだとされます。ただ、彼らの主な役割は大隊内の「鬼軍曹」と言えるでしょう。

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何故、彼らは大隊：シンタグマの後背に控えているのか。それは前進時や戦闘中に怯えた兵士が隊列を乱したり、苦戦して大隊が後退し始めたときに後方から「修正」する為です。彼らは士気の低下した兵士が逃げ出そうとしたり、隊列を乱そうとした場合、大隊の後背からぶん殴ってでもこれを押し戻すのです

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中隊長：タクシアルコスのような存在は割りと普遍的な存在であり、例えばローマ軍団の百人隊においても百人副長（Optio:オプティオ）がこの役目を担っておりました。百人副長は百人隊の後背に控え、手に持った指揮杖（Hastile）で隊列の乱れなどを修正しました。

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ふと思いましたが私は非常に誰得な話をしているのではないだろうか･･･

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さて、マケドニア式ファランクス一個大隊:シンタグマは二つの中隊から成り立っていると話しましたが、もちろんその二つの中隊も複数の小隊や分隊から成り立っており、それぞれに取り纏める指揮官がいます。

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しかし、大隊内のそういった小隊や分隊、そしてそれらの指揮官については本当に時代や地域ごとにバラバラで名称が似通っていても内実が違っていたりするのであくまで一例としてどうぞ。

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TetrarchosやLochagoなどはそのよくわからないものの代表例と言えるでしょう。一例としてはTetrarchos:テトラルコスは小隊長とされます。アンティゴノス朝マケドニアでのマケドニア式ファランクス一個大隊:シンタグマは四つの小隊（一個小隊64名）から成り立ちました。

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その四つそれぞれの小隊長がテトラルコスです。Tetrarchos：テトラルコスはファランクス大隊内の縦四列目～五列目辺り（あくまで一例）に位置し、ファランクスの形成と維持に努めました（といっても戦闘時はサリッサ持って隊列内で押してるだけだとは思いますが）

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Lochagosもまたよくわからない点が多い士官です。というかLochagosは古典期の軍隊とかだと連隊長とか軍団長とか大隊長などに位置づけられる名称でもあるからです。この図ではLochagos:ロカゴスは分隊長または十六人隊長とされます。彼らは文字通り十六人の兵を率いる存在です