Twitter創作交流企画『色彩決闘』――一回戦第四試合

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『色彩決闘』管理アカウント @sikisaikettou

'△')<1回戦第4戦 '△')<白の国アルクーラよりフィクツィア・アポカリプソ(@Apokalipso46) '△')<金の国アルタムよりテュルキス・エーデルシュタイン(@Turkis_siki)

2015-05-01 17:56:33
『色彩決闘』管理アカウント @sikisaikettou

'△')<さあ時間だよ。 '△')<コロル・デュエルの開催だ! '△')<勝者には祝福を、敗者には労いを。コロル・レグナの永き繁栄と平和の祈りを込めて—— >△<)<——デュエルッ!スタートッ!

2015-05-01 18:00:08
テュルキス @Turkis_siki

──さて始まった一回戦。 ──誰が相手か、と蓋を開けてみれば。 「ヒュウ、これは当たりじゃねーか」 思わず口笛を吹く。 ふわふわとした髪、黄昏色の双眸。大きな角飾り。 「初めまして、お嬢さん。  改めて、オレ口から自己紹介をさせてくれるかな。」

2015-05-01 19:34:40
テュルキス @Turkis_siki

「金の国代表、テュルキス・エーデルシュタイン。宜しくね」 ふわりと唇を綻ばせる。そして、胸元の小袋から取り出すはトパーズ。それを銀と合わせて、ふっと息を吹きかける。 「これはどうかお近づきの印に、ってね。受け取って欲しいんだけれど、どうかな」

2015-05-01 19:34:42
テュルキス @Turkis_siki

躊躇なく、相手の眼前に傅けば、右手に其れを乗せて差し出す。 ──銀が花弁のように飾られ、その中心に美しくカットされたトパーズが嵌められた華美過ぎないブローチ。 敵意は無く、害意も無く、あるとすればお近付きになりたいとその一心くらいなもので。

2015-05-01 19:34:45
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

「ふぇっ…?」 始まったコロル・デュエル第一試合。 この祭りを取り仕切る色彩妖精による特殊な結界の為、客席の熱気とは切り離された闘場の内部。 そこの中心で、目の前に傅く青年を見下ろしたまま、アルクール代表、ツィクツィア・アポカリプソは固まっていた。

2015-05-01 20:27:20
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

自己紹介を終えた後、何故か眼前で傅いた青年。彼が差し出した繊細な銀細工があしらわれたブローチは、そういったものに疎い彼女でも思わず感嘆する程に美しいものだ。 (こ、これが噂によぉ聞く袖の下ゆうやつですやろか…)

2015-05-01 20:28:55
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

少し状況を理解し始めた頭の中で、まず最初に言葉として浮かんだのはそれだった。 初対面の相手がわざわざ自分に傅く理由も、瀟洒な装身具を差し出す理由も、彼女にはそれ意外に思いつかなかったのである。

2015-05-01 20:29:13
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

「お、お兄はんずるはいけへんよ。ちゃあんとお手合わせして勝敗決めたらんと、みなはんも納得してくれへんさかい…」 恐る恐る、会場のマイクも拾わない様な小声で目の前の青年に声をかける。コロル・デュエルはこのコロル・レグナきっての一大イベントだ。

2015-05-01 20:29:56
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

各王国が国を挙げて盛大に盛り上げ、ラジオや新聞等各メディアを通じてその様子は盛んに報道される。 そんな中で代表選手の賄賂など発覚しようものならそれこそ大問題だ。金の国もこの青年も、他国からの総叩きにあってしまう。この青年もきっと何か事情あっての事、それだけは避けなければ。

2015-05-01 20:30:35
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

「う、うち、誰にもこの事言わへんから…二人だけの秘密な…?」 坂を転がる石の様に、間違った方向に転がっていくフィクツィアの解釈は止まらず。 観客からなんとかその賄賂…と彼女は思っているそれを隠そうと、青年の手ごとそれを優しく包み込み。 夕暮れの瞳はまっすぐに青年の目を見て微笑んだ

2015-05-01 20:32:09
テュルキス @Turkis_siki

「──む。それは心外だな、お嬢さん」 茶目っ気たっぷり、と言った様子でウィンクをすれば、立ちあがらずのまま、テュルキスはにっこりと笑う。 「オレは“こういう”お仕事してますよ、ってアピールが三割、残りの七割は、キミのような可愛らしいお嬢さんに出会えた記念に、ってヤツさ」

2015-05-01 20:51:17
テュルキス @Turkis_siki

「──だから、受け取って?」 「これはオレからの贈り物。  キミがそれを受け取ったら、そこから先は“オレ”でなく、“金の国代表”だ。」 つまるところ、これはプライベートな案件、という奴である。 「オレの懇親の作品だから、そう見られても仕方ないけれどね──」

2015-05-01 20:51:19
テュルキス @Turkis_siki

「一応、オレも国の代表だから、“ずるっこ”はしないよ。可愛いお嬢さんと折角相対出来るんだ、そんな勿体ない事、できっこないよね?」 くすくすと小さく笑い声を立てる。青黒の髪が揺れ、青の強い紫の眼が黄昏を真っ直ぐに見詰めた。 「それでも、受け取って貰えないかな?」

2015-05-01 20:51:21
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

「あ、あぴ…?」 要するに、このブローチ含めての自己紹介だったという事だろうか。未だ疑問符が浮かぶ頭で、それでもとりあえずは理解をすると、自分の間違いに気がついた小さな医師は居心地が悪そうに身体を縮こまらせた。 「え…あ…、今流行りの袖の下言うやつじゃおまへんかったんですか…」

2015-05-01 22:25:28
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

「そらえろうすいませんでした…うち、早とちりしてしもて…凄く失礼な事…」 やましい気持ちのない純粋な好意からの贈り物だとしたら、そんな誠実な青年に対し、自分はなんと失礼な勘違いをしてしまったのだろう。ナンパと言う概念を知らぬ彼女は、酷い羞恥と自己嫌悪に浸った。

2015-05-01 22:30:50
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

再び差し出されたその装身具を、躊躇いながらも今度はしっかりと受けとる。酷く繊細なそれをその白衣の上に踊らせて、「白の代表」として、フィクツィアは深々と一礼をした。 緊張でその足も白衣の裾を摘む手も震えていたが、

2015-05-01 22:31:33
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

せめてその心だけは彼の真摯に報いようと普段余り大きく声を精一杯張り上げて。 「白の国代表、フィクツィア・アポカプリソです。どうぞ、良しなにはんなりお手合わせお頼申します」 凛とした声。けれど次の瞬間には、やはりへにゃりと気の抜けた笑顔を向けて。 「どうか、お気張りやす。お兄はん」

2015-05-01 22:32:16
テュルキス @Turkis_siki

「うん、うん。やっぱりオレの見た目通り、似合ってるね、フィクツィアちゃん」 馴れ馴れしくもそう呼びながら、いちにのさんと後ろへ下がる。そうしてから、大仰な程の礼を一つ。 「──金の国代表、テュルキス・エーデルシュタイン。どうぞ、お手柔らかにね」 ぱちりと、またウィンク。

2015-05-01 23:53:47
テュルキス @Turkis_siki

「──さあさあ、本日お見せしますは、」 宙に投げられた、紅玉と銀がそれぞれ二つ。右手と左手それぞれに嵌められた指輪が淡く光を放つ。 空中で光を弾いたそれらに、指先が文字を綴る。 『“指示”』『“武器”』『“紅玉の短剣”』 「“空を舞うは、我がエーデルシュタイン珠玉の剣”!」

2015-05-01 23:53:51
テュルキス @Turkis_siki

一つは手に取り、もう一つは宙に浮いたままの状態から、勢いよく蹴り飛ばす。 特に狙いは定めていない、ただ威嚇程度にはなればいい、と。青黒が軽く風に靡く。 「そうだ、フィクツィアちゃん。オレが勝ったらデートしてよ」 そんな軽口すら、叩いてみせた。

2015-05-01 23:53:54
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

「ふわぁ……綺麗な奏術…金の国はそんな綺麗な術使いなはるんですね」 感嘆。此方に向かう珠玉をあしらった美しい剣を、避けようとはせず。 柔くはにかんだまま、フィクツィアは手に持つ、己の身の丈以上の古ぼけた杖を振るった。

2015-05-02 10:59:42
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

からん。 杖の先についた、小さな鐘が音を鳴らす。 奏術具というよりはシェパーズクルークに似たそれは、その先から火や水を吐く事もなければ、なにか仰々めたいた術式を描く事もない。 ただ振るうだけ。 だが、それで十分だった。

2015-05-02 11:00:21
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

その煌めく珠玉も美しい銀の刀身も、白靄がかかったかのように霞み、その色を薄めていく。 勢いはやや弱まったものの、それでも此方へ向かったままのその剣を軽くあしらおうとして、けれども青年の放った条件に、すくみ上がったように動きが止まる。

2015-05-02 11:00:47
フィクツィア・アポカリプソ @Apokalipso46

「で、でぇと…?」 其の言葉を理解し、顔を赤く染める暇もなく。がつん、と音を立て、色の薄まったその剣と彼女の持つ杖がぶつかる。 そのことで機動を変え、重力に従って地に落ちようとした剣。その柄が、フィクツィアの頭を強かに打つ。 「きゃんっ!」 その刃先は、何故か酷く刃こぼれしていた

2015-05-02 11:02:23
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