観たけどよくわからん！人向けの「グラスリップ」解説

ヒゲタコ @higetako

グラスリップの解説してみます。主に「観たけどよくわからん！」っていう人向けですが、グラスリップマン諸氏による補足や指摘も歓迎です。 #glasslip

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構成は、まず作品のテーマを確認して、そこからメインキャラの行動を辿っていく形を採ります。大きな流れを追うのが目的なので、漏れる部分も多々ありますがそこはご容赦。 #glasslip

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【グラスリップ】とは、ずばり「同じものを観ることで、孤独を克服する」お話です。「同じものって何？」「観るってどういうふうに？」「孤独ってどんな？」といった疑問が出てきそうですが、それらは作中でいろんなパターンが示されるので、今回じっくりと確認していきましょう。 #glasslip

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さて、さっそく彼らは第1話で花火という「同じものを観」ているのですが、それぞれ微妙に違うことを考えているようです。「この面子も今年で最後」と未来を見据え関係の変化を見越すやなぎ、「また来ればいい」と過去を踏襲したがる雪哉、 #glasslip

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「ずっと友達」と関係の変化を拒絶する透子、祐はその場にいない幸の受け売りを披露するほどには心ここにあらずです。 #glasslip

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このように「みんな」でただ「同じものを観」ても、むしろ違いが浮き彫りになって孤独を深めてしまいます。孤独を克服するには、同じ気持ちを有する者と「排他的」に「同じものを観る」必要があるのです。 #glasslip

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少し抽象的な話になりましたが、ここからは具体的にキャラの行動を見ていきましょう。 #glasslip

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一番わかり易いのが【永宮幸】の孤独です。彼らはグループでいろんな遊びを満喫していますが、幸は体が弱く参加できないこともしばしばなようです。 #glasslip

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冒頭の花火も幸は家の中から独りで観ていますし、山登りも一人だけ車で送迎されます。つまり幸は彼らと「違うものを観」ているのです。 #glasslip

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そんな幸に優しく寄り添ってきたのが透子です。花火大会の際も、お揃いの鈴をお土産として用意することで、幸と「同じものを観」ようとしてくれます。そんな二人の積み重ねはOPの映像でも確認できますね。 #glasslip

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つまり、幸は体調の都合で人と「同じものを観る」ことについてハンデを抱えており、慢性的に孤独な女の子なのです。メガネをかけている(目が悪い)ことも、その象徴なのかもしれません。 #glasslip

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そんな幸を支えようとするのが【白崎祐】です。ところが、前半における祐の振る舞いは、いまいち足りないものが目立ちます。ただ、これは物語が進むにつれて改善されていくので、以下で具体的に見ていきましょう。 #glasslip

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祐の部屋が漫画ばかりというのは、読書家の幸と違うものを観ていることの現れです。映画デートは「同じものを観る」チャンスだったのですが、祐はなんと寝てしまいました。 #glasslip

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ふたりきりの花火もなかなか良いシチュエーションだったのですが、幸は透子にもらった偏光メガネをかけることで、祐と「同じものを観る」ことを静かに拒否します。 #glasslip

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幸が好きなのは依然として透子ですし、祐は幸の孤独をいまいち理解できていないので、やることなすことが裏目とまでは言いませんが不十分です。そんな噛み合わないふたりの関係は当然行き詰まります。 #glasslip

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検査のため入院した幸は、透子と駆のデートを妨害するため祐を利用します。男女のデートという「排他的」な場にみんなで押しかけることで、その「排他的」さを打ち消そうという企みです。 #glasslip

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先に確認したように、グラスリップでは「排他的」に「同じものを観る」ことに価値があるとされます。なので幸の提案は妨害として極めて的確なものです。祐がそういった価値を解さない場面を幸は身をもって知っているので、上手く利用できると思ったのかもしれません。 #glasslip

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ところが、さすがの祐も幸の企みに気づいて、愛想を尽かしてしまいます。男女のデートの場にみんなで押しかけるのは「無神経」だと祐を諭したのは、他ならぬ幸なのです(第2話)。 #glasslip

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幸は「みんながバラバラになる」と駆を嫌いましたが、いつまでも和やかにみんなが一緒にいられるわけはありません。実際、焦った幸は「みんな」を利己的に維持しようとして、祐を傷つけてしまいました。無粋な手段に及ぶことで自分をも傷つけた、とも言えるかもしれません。 #glasslip

ヒゲタコ @higetako

ここで幸は改めて自分の孤独を噛み締めたのではないでしょうか。体調や性別などあらゆる条件が幸に不利です。自分の孤独に寄り添ってくれる透子が駆に盗られてしまう、透子を繋ぎとめようと画策すれば祐を傷つけてしまう…もう泣くしかありません。 #glasslip

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そして、幸は祐がお見舞いとして差し入れたお菓子の容器を見つめます。なんてことはない普通の容器も、病室という殺風景な場で自分の孤独を改めて噛み締めた状態では、きっと心強く映ったことでしょう。 #glasslip

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当然ながら祐もその容器のことは見知っているので、これも広い意味で「同じものを観」ていたことになるのかもしれません。 #glasslip

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一方、幸と距離をとった祐は独りで山に登っていました。そのあと態度を軟化させていくのですが、おそらく祐はここで幸の孤独の一端を感じたのではないでしょうか。景色を人と共有できない、つまり「同じものを観」れないというのは、こんなに寂しいことなのかと。 #glasslip

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また、祐は病院で泣いている姉を目撃しています。祐姉も献身的に恋人を見舞っているのですが、泣くということは何か諍いがあったのでしょう。 #glasslip

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相手に寄り添い支えることはけして容易くない、するほうもされるほうも人間なのだからすれ違いはつきもの…祐はそんなことを泣く姉の姿から悟ったのかもしれません。 #glasslip