シチリア随一の梟雄

一つの昔話である。 / 古代地中海世界においてシチリア島のギリシャ系都市国家には伝統的に数々の僭主がおりました。その中でも暴君、名君と各地で評価が真っ二つに割れるシラクサのデュオニュシオス一世をネタにちょっとやってみました。続きはまた気が向いたら。 あっ、ちょっとお話的に盛ってるところもあるのでご注意(ぉ
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私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

将軍達は必死に弁明したが、誰一人としてその言葉に耳を傾けなかった。古参新参問わず、シュラクサイの将軍達は罷免され・・・・・・デュオニュシオスはシュラクサイただ一人の将軍、軍事に関する全権を持つ最高司令官(ヘゲモン)として就任したのである。

2015-05-09 18:22:51
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デュオニュシオスは直ちに自分の地位の足固めに図った。罷免させた他の将軍達については「カルタゴから賄賂を受け取り、シュラクサイを呪っている」とキャンペーンを張って攻撃し、戦死していた将軍の一族から財産を没収して兵士達の給料を二倍にさせ、自らへの個人的な忠誠心を高めさせた。

2015-05-09 18:31:31
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

更にデュオニュシオスは、自分への暗殺計画をでっち上げ、それに対抗するという名目で数百数千の傭兵を雇うと共にかつての古巣の下級将校と兵卒集会から己の私兵団を作り上げ、個人的な武力も抱え始めた。そして、自らの支持基盤の切り替えにもかかったのである

2015-05-09 18:35:50
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かつてデュオニュシオスの支持基盤はシュラクサイの貴族層と富裕層であったが、最高司令官に就任して以降は、自分を危険視し始めたそれらを切り捨てた。市民達に潜在的かつ伝統的に存在する貴族層と富裕層への嫉妬と不満を煽り、貧困層や中流層市民の更なる支持を取り付けたのであった。

2015-05-09 18:38:17
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そして、紀元前406年前後。デュオニュシオスは私兵団を率いて、市民たちに訴えつつ、シュラクサイの広場へと行進した。でっち上げた暗殺計画とシュラクサイ政府への市民達の不信感。お膳立ては万全であった。シュラクサイ市内部で小さな戦争が起こり、すぐに終わった。

2015-05-09 18:40:49
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将軍になったばかりのデュオニュシオスに気遣いをみせていた元将軍で良識的なダファナエウスはこの時シュラクサイの大通りで政府派の兵士を率い戦ったが、死亡した。シュラクサイの王ヘモクラテスもである。他の政府派の高官達も多くは追放されたか、死亡したか、脱出した。

2015-05-09 18:44:51
私はケントゥリオP。65535デナリウス。 @centurio_P

デュオニュシオスは事実上シュラクサイの「王」となり(不名誉的ではあるが)伝統的なシチリア、シュラクサイの新たな「僭主」となった。シュラクサイだけでなくシチリア全土を揺るがす「称えられし暴君」にして「シュラクサイの良き僭主」はこうして生まれたのである。紀元前405年のことであった。

2015-05-09 18:48:25