【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」】

横山光輝「三国志」武将かるた_bot @yms_karuta

【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」01】 第53話です。張飛が酒で大失敗という回。酒は飲んでも飲まれるな。そんな教訓めいた話です。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」02】 南陽の袁術と戦うことになった劉備達。遠征の間、徐州の城を守ることになったのが張飛です。 始めのうちは、張飛も劉備の言いつけを守り、きちんと守将の役目を果たしていて、部下たちにも労いの言葉をかけたりしておりました。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」03】 しかし、連日の緊張状態が続いたこともあり、張飛は部下たちを少し息抜きさせてやろうと考えました。戦いの最中、中だるみをする時期がありますが、そういうときほど事件が起こりやすいですね。魔が差すといいましょうか…

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」04】 張飛は、兵士たちに一杯ずつ酒を飲むことを許します。これに喜んだ部下たちは、さすがは話せる大将だと、ありがたく酒を飲むのです。寒い時期だったんでしょう。体に染み渡るほどのうまさでした。とまあ、ここまでは良かった。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」05】 自分たちばかり飲んで大将に勧めないのは失礼とばかりに、部下も張飛に酒を勧めます。始めのうちは張飛も、約束があるからと断るわけです。しかし、そこですぐに引っ込めるわけにもいかず、「将軍にとって一杯ぐらい酒とは言えんでしょう」と重ねます。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」06】 これに心を動かされた張飛にとどめとばかりに、「それじゃにおいをかぐ程度に」と持ちかける部下。飲むんじゃなくて、においをかぐ程度なら、とついに張飛は酒の杯を手に取ってしまいます。ゴクゴク飲んじゃう張飛。胃にしみわたると上機嫌。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」07】 酒はやっぱりうまい、と言う張飛に対し、それならもう一杯と酒を勧める部下。それを見た張飛は明らかにうれしそうな表情をしますが、ここでも、劉備との約束がある、と言うと、部下はそれなら無理にとは言わないと引っ込めようとします。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」08】 ああ、待て待てと慌てて止める張飛。俺にとっちゃこのくらいはまだ酒とは言えん、お前もそう思うだろと、逆に部下にも同意を求め、水のかわりに飲み始めます。そしてお代わりを要求します。もうすっかり宴会になってしまいました。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」09】 騒ぎを聞いた文官の曹豹は、張飛が瓶ごと酒を飲んでいる姿を見てびっくり仰天。何事かと尋ねると、息抜きをさせていると答える張飛。しかし、劉備との約束を問いただすと、張飛はこれくらいは酒とは言えんと返します。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」10】 張飛の酒癖の悪さはみんな知っているので、そのくらいでやめて下さいという曹豹に対し、張飛の暴走が止まりません。もっと酒を持ってこいと命じると、再び瓶ごと飲もうとします。慌てて止めに入る曹豹を、張飛はとうとう蹴り飛ばしてしまいました。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」11】 完全に酒乱状態になった張飛は、曹豹の言葉に逆上し、殴る蹴るの暴行を加えてしまいます。さすがに止めに入る部下たち。しかし、ここで張飛は巨大化し部下達を投げ飛ばします。巨大化は演出です。そんな風に見えたということでしょう。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」12】 ひとしきり暴れると、曹豹はすでに逃げてしまいました。気分を害した張飛は、再び瓶ごと酒を飲みます。お前らも飲めと無理やり酒を飲ませます。こういう時の酒はなんともいたたまれない感じになります。張飛の質の悪い飲み方は真似してはいけません。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」13】 そのうち飲み疲れたか、張飛は大の字になって、大いびきで眠り始めました。 収まらないのは一方的に殴られた曹豹。文官ゆえに張飛に刃向かえないが、泣き寝入りは出来ないと、ある決意をします。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」14】 曹豹は小沛にいる呂布に密書を送ります。深夜に起こされた呂布は、徐州の城を守る張飛が酒に酔いつぶれていると書いてよこしたのです。呂布の部下はこれを機会に城を襲えと言います。呂布は劉備への恩があるので裏切れないと言います。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」15】 しかし、呂布の部下は、一生徐州の客人として朽ち果てるつもりかと問います。天下に号令する野心はないのかと。その言葉に一瞬動揺する呂布。天下をとるためには国を得て、兵を養う必要があると部下は説きます。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」16】 弱肉強食は世の習い。徐州を手に入れるべきだと、呂布の決断を促します。呂布はついに決心し、部下達を起こすように命じます。張飛の酒乱が曹豹の裏切りを呼び、そして呂布の裏切りを呼び起こしたわけです。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」17】 いびきをかいて寝ていた張飛が目を覚ますと、城は大混乱。すでに混戦模様ですが、酒を飲んで寝込んでいた張飛方の方が不利。よく寝ている間に寝首を掻かれなかったなあ、と張飛の運の強さもありますが、ともかく、城は呂布の兵に攻めこまれています。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」18】 慌てて応戦しようとする張飛でしたが、まだ酒が残っているようで、頭がクラクラ、体はふらふらでとても戦える様子はありません。部下たちは張飛を見つけると、一時逃げるように進言します。すでに大勢は決しているのです。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」19】 怒りがわきおこる張飛は、呂布を討とうと剣を構えますが、酔った体で呂布に太刀打ちできるはずがありません。結局、部下たちの用意した馬に乗り逃走することにします。それを見た曹豹は、寄せばいいのに追いかけます。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」20】 殴られ恨みを晴らさんと、追撃する曹豹。しかし、張飛は曹豹の姿を見ると逆に引き返し、裏切り者である曹豹に立ち向かっていきます。張飛は騎馬隊に囲まれますが、次々と倒していきます。恐れをなした曹豹は、弓矢で狙うように指示します。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」21】 ところが、弓矢も件で払いのけてしまう張飛の勢いは止まりません。弓隊も切り倒し、曹豹めがけて駆けていきます。こんなはずじゃないと、曹豹は慌てて逃げますが、張飛が振り上げた剣の餌食になってしまいました。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」22】 曹豹の遺体を前に、馬から降りた張飛は、我に帰ります。そして、膝をつき、「これも俺の酒ぐせがなさせたことか。一杯の酒がこんな大事になろうとは…」と嘆きます。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」23】 「愚かな。俺はなんという愚かな男なんだ」と反省する張飛。しかし、時既に遅し。張飛は徐州を呂布に奪われるという大失態をしてしまいました。 これを契機にして、呂布と劉備の関係が逆転してしまいますが、そのへんのお話はまた次回です。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」24】 三国志の世界では、酒の上の失敗談はいくつかありますが、その中でも一、二を争うエピソード。酒乱気味の人は心しておくべきでしょう。酒の上とはいえ、その行動如何で全てを失うことがあるのです。酒は百薬の長でもあり、害悪の因ともなります。

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【横山光輝「三国志」講座53「裏切り」25】 お酒は楽しく嗜（たしな）むうちが花。暴飲して徐州城の張飛みたいになるなよ、と自戒も込めて…。 今回はここまで。