キニャール引用集

いやしの本棚@文フリ京都1/14 @ayagonmail

生命とは、なにものにも止められぬ慌ただしさのなかで移ろってゆく不断の変容なのだ。 ―パスカル・キニャール 高橋啓 訳『辺境の館』より

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パスカル・キニャール『辺境の館』を購入、そして読了。１冊の単行本ではあるけれども短篇小説。何と言えばいいのか…残酷で淫猥で生々しく、シュールともいえるほど唐突な場面もあり、それがどこまでも淡々と語られ…その語りの中に何とも深い淵が見えてくるというか…。とにかく、面白かった。

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正しい生活は死者たちのもとにあるのではないか、自分はおぞましい流刑に処せられているのではないか ―パスカル・キニャール 高橋啓 訳『辺境の館』より

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やはり勢いで、パスカル・キニャール 『アプロネニア・アウィティアの柘植の板』を買う。『辺境の館』一冊だけ読んで、いきなりこれって難易度高いのかなぁと思ったけど、ページを繰ってみると…面白い。わたしの好きな何か、永遠に読み終わらないタイプの本だ。

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九十三、香しいもの 銀梅花。 コリュコスの紅花。 花をつけた葡萄蔓の香り。 竜涎香の粉末。 香油に入れる甘松香と没薬。 ―キニャール『アプロネニア・アウィティアの柘植の板』より

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プレクーザの少年奴隷はとても美しい。プブリウスはフィロムスス・ゼテスの詩句二行を引く。 　美は声が響くと消えうせる 　海に沈むガレー船のごとく。 ―キニャール『アプロネニア・アウィティアの柘植の板』より

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欲望は日々われわれを狂わせ、それが欠ければ闇へと捨てられる。まことに闇は青い。 ―キニャール『辺境の館』より 絵：アルフォンス・オスベール「夜の歌」 pic.twitter.com/CkfBDPQL3p

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キニャール『舌の先まで出かかった名前』が届く。ふと開いたページにあったのは、こんな言葉。 「わたしたちは話し言葉によって絶滅させられた妖精のようなものだ。わたしたちが沈黙を破れば、妖精たちは跳ねまわっていたその瞬間にさえ姿を消す」 pic.twitter.com/SNXVmEs5Yk

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キニャール『舌の先まで出かかった名前』を読み始める。 「地獄はどこにある？息吹きあるものすべてが死に絶える自我の奥処の暗い岸辺はどこにある？若い女がもいで差し出す林檎に含まれているという、その地獄はいったいどこにある？すべてが罰せられるという、その場所はどこにある？」

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わたしは書きたいから書くのではない、習慣によって書くのでも、意思によって書くのでも、仕事だから書くのでもない。わたしは生き延びるために書いてきた。口を閉ざして語ることのできる唯一の方法だから書いてきたのだ。 ―キニャール『舌の先まで出かかった名前』より

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夜は言葉の源だ。そこには存在しない物の幻覚をもたらす夢が言葉を生じさせる。（中略）目に見える肉体を求めていると思っている欲望でさえも、この夜に帰依している。自分が今抱いている肉体のなかに欲望が求めているのは、みずからの欠損なのだ。 ―キニャール『舌の先まで出かかった名前』より

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わたしたちは自分の源に空白を持っている。 ―キニャール『舌の先まで出かかった名前』より 写真：Fred Holland Day「Vita Mystica」 pic.twitter.com/qJUdHpliNo

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欲望は不満と同じように、こう語る。 「わたしは満たされたい、わたしは死にたい。」 ―キニャール『舌の先まで出かかった名前』より 絵：Henrik Aarrestad Uldalen pic.twitter.com/2DSrGm2N9I

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逃れ去るものは影さえ映らない。現実のなかでも、鏡のなかでもそれは見えない。それがメリュジーヌだ。 ―キニャール『舌の先まで出かかった名前』より 写真：Erin Mulvehill, from Underwater pic.twitter.com/z3k5yLzmmK

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溶ける水、死にながら跳ねまわる液体の空間 未来が過去となり、死と生誕が等価となる空間 謎としての空白 源にさらに近い白 ―キニャール『舌の先まで出かかった名前』より 絵：ハーバート・ジェームス・ドレイパー pic.twitter.com/toiHxQVgqU

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