ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/12/24

日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber（HUB） @hyuugahikage

#twnovel 窓の外が白に染まっている。ついに積もった。父は「ずっと降らなきゃいいのに」と言いながら雪掻きの準備をする。でも私は庭に目を奪われた。一面の粉雪は美しくまるで劇場のようだ。その舞台に上手からコートを着てスコップを持った父が現れる。鼻唄を歌いながら。

@K_Ichida

#twnovel 気が付くと黒目が増えていた。右目に３つ、左目に４つの黒目がある。ちゃんと見えている。物が３つ、４つにだぶって見える。最初は不便だったが、しばらくすると慣れた。たったひとつなれないのは、家の扉を開ける時だ。不機嫌な妻の顔が３倍、４倍でせまってくると耐えられない。

ゆず @nanakoro8

#twnovel 「ハッピークリスマス」「今夜は離さないぜハニー」「やだ……ダーリンったら」「さあ、北京ダッグもいいがそろそろ君を食べさせてくれないかハニー」「んふふ、せっかちなのね」「君の魅力がそうさせるのさ」「もう、ダーリンったら……ん」　……何書いてるんだろう俺。

はるそん！ @haruson

#twnovel あの契約はなしなんて！前に約束したじゃないですか！あの時とは状況が違うんだ。お前もあの時のお前とは違うだろ。全ての業者を使い捨てた。それでも次の日には頭を下げてやってくる。俺は偉かった。それがどうだ。有り余る退職金を手に定年した今は年賀状すら一枚もこない。

駄のーと @da_ss_note

「15rpmだよ。きっかり15rpmだ。」私の手を取って彼はそう言った。音楽もないのに彼はステップを踏み始めた。一分間にきっかり十五回。一回にきっかり四秒間。私たちのステップが小さな部屋に満ちて、二人だけの舞踏会は音楽で満たされていった。 ＝15rpmのワルツ＝ #twnovel

Ak @Akinobu_E

#twnovel 日本から、電気が消えた。町中から明かりが消え、交通機関が麻痺し、人々はパニックに陥った。しかし、空では無数の星が見えるようになった。それを見て、ウサギはようやく穏やかな気分になった。

simmmonnnn @simmmonnnn

#twnovel 「思い出せよ。子供の頃のXmasを。ベッドの上で靴下の中のプレゼントに喜んだ日を」ついに彼女とベッドインという時に、俺には金が無かった。「その中に何かあるの？」彼女は、全裸の俺の股間にぶら下がる靴下を見る。その冷たい目に、リボンを巻いただけとは言い出せなくなった

無茶 @notastetea

ある双子の兄弟がいた。弟は秀才で、校内では常にトップクラスだった。しかし、彼は大学受験の直前になって交通事故に遭い命を絶った。幼馴染が言う。「南を東大に連れてって」落ちこぼれの兄は猛勉強し、弟の代わりに東大に合格した。そして替え玉受験で失格になった。 #twnovel

翼 @keith_mild

#twnovel Ｙ字路で別れそこなった黒い貴婦人が粛々と着いてくる。髑髏を抱えて歩いているから、すれ違う人は皆、ぎよっとした顔で見つめてくる。どうしてこんな事になってしまったのだと後悔しても、彼女を置き去りには出来そうにない。道の先に沈む夕日へ向かって、私達は延々と歩き続ける。

矢菱虎犇 @torabishi

「僕はサンタブーツミニ、隣の子はサンタブーツデラックス。パパ、どうしてサンタさんは差別をするの？」「いい質問だ。大人になったらよ～くわかるとだけ言っておこう。俺も子どもの頃、父に同じ質問をしたことがある。大人になったらその理由がよ～くわかるんだ」 #twnovel

矢菱虎犇 @torabishi

「先生、例の患者さんがみえました」「ああ、自分のことをサンタクロースだと思いこんでいる患者だな。まったく話にならん。通してくれ」「どうぞこちらに掛けて。何度言ったらわかってもらえるかな、君はサンタクロースじゃない。サンタは僕で、君はトナカイのルドルフなんだよ」 #twnovel

あまたす @amatasu

「ねえ、今日は手伝ってちょうだい。お爺ちゃんがぎっくり腰なの」「えぇ、マジかよ！友達と約束あんのに…」「お父さんも仕事なの知ってるでしょ？あんたしかいないんだから、早く！」結局、爺ちゃんの年季の入ったソリで、俺は夜空へ飛んだ。あーあ、早く自分用のソリ買いたいな。 #twnovel

かっとび @kattobi41

昔ポケベルってね、電池が切れるとき凄い音がするの、ピーッてまるで泣いてるみたい。あのイブの日、この橋であの教会の鐘を見ながら握りしめてた、その時すごい音がしてねポケベル、あの鐘が鳴ると、止まったの。最後にくれた彼のメッセージが消えてったわ、さよなら言ってたのね　＃twnovel

浅葉積木 @tsumiki_a

子供の頃にプレゼントを貰えなかったある金持ちが、サンタを困らせようと世界中のオモチャを買い占めた。サンタから手紙が届いた。『困った。』　金持ちは満足したが、オモチャの処分に困ったので世界中の子供達にただで配ることにした。悩んだ末、カードを付けた。『サンタより』 #twnovel

@akemi_miura

#twnovel 付け木はいらんかねー。いくら呼びかけても師走の街道は粉雪が舞うばかり。娘はとうとう商売をあきらめて、付け木に火を灯す。小さな炎の中に、優しかった祖母の幻を見る。ばっちゃ、会いたかったよ。寒いよ。ひもじいよ。連れて行っておくれよう。娘は西方浄土へ旅立つ。

@K_Ichida

#twnovel ふたりで手をつなぎ、雲ひとつない空を見上げた。「ウソっぽいね」彼女はそういって笑い、僕もうなずいた。僕らの頭の中にしかない空。遠い昔の戦いで、人類の認知機能は傷つき、正常に機能しなくなった。空も大地も手をつないだ彼女も、本当はなになのか誰にもわからない。

良崎 @kanfrog

通学路に雪がちらちらと舞う。また、雪虫だとかなんとか考えているのだろうか、と彼をそっと見上げた。「ホワイトクリスマスだな」「あれ、普通だね」「俺だっていつも虫ばかりじゃないよ。はい、これ」手渡されたのは小さなプレゼントの包み。中から出てきたのは昆虫図鑑だった。 #twnovel

@enjoe140

「削がれた雨滴の断面に風景が見え、市松模様の絨毯に四角い食卓と小さな椅子が並んでいました。母親らしき人物がこちらに気づき大口を開け、手からはコップが滑り千の破片へ砕け散るのが見えた気がして、男はナイフを構え直すと、降り注ぐ硝子の雨へと片っ端から切りつけるのです」 #twnovel

しーな@GO2完走 @xsheeenax

申し訳程度のサンタ帽をかぶってみた。常連客や同業者に笑われた。初見のお客は流石に無反応。そーんなに似合わないかねぇ、と不思議な魔女は指先でくるりと赤い帽子を回す。軌跡が星屑とスノーフレークスを生み、薄暗い店の中がクリスマス仕様に飾りつけられる。誰が片付けるんだ。 #twnovel

@K_Ichida

#twnovel クリスマスの街で貌のない人たちを見かけた。背中を丸め、ひっそりと逃げるように歩いている。恋人を駅で見送った男は、手を振り終えると貌をなくし、道の隅を寂しげに歩き出した。深夜には、街は貌のない人たちでいっぱいになった。

@K_Ichida

#twnovel 七面鳥の代わりに焼かれた鶏は、食卓に出されてもまだ意識があった。笑い声や会話が鶏の周りによどんでいる。ジャンクフードとケーキで腹のふくれた家族は鶏を食べずに眠った。鶏はみんなが寝静まった頃に、丸焼けの身体を起し、ストーブに体当たりして家に火を放った。

catroll @catroll

#twnovel 「ご覧ください、サンタクロースロボの偉容を！　彼らは宇宙に旅立って行くのです。旅の途中で原料を集め内部の工場でプレゼントに加工し届けるのです。銀河系全ての子供達に夢と愛を！」…そして何千年後伝説が生まれる。資源を奪い、ガラクタで文明を埋め潰す赤い巨人の伝説が。

中村ヘボピー @hebop_

"ニックさんて、毎晩MMOに来てるのに、クリスマスだけは用事があるって参加しないよね、見栄張らなくてもいいのに"…私はPCの電源を落とした。見栄じゃない、本当に用事があるのに…窓から外を見る。トナカイがプレゼントを積んで私を待っている。さあ行こう。 #twnovel #Xmas

田中静人／かなたん @kanatan_jg

#twnovel 少女は芋虫が大嫌いだった。道ばたで見つければ必ず踏みつぶし、クラスで飼っているカブトムシの幼虫もハサミで切り刻んだ。少女はやがて大人になり恋をした。何人もの男性と付き合った。ただ、彼女と付き合った男はみな、例外なく陰茎を損壊させられたという。

日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber（HUB） @hyuugahikage

#twnovel クリスマスイブってカップルだらけじゃん。あれ大体バイトなんだぜ。自治体が雰囲気のために雇ってんの。初対面で適当にデートごっこして、ホテルに入ったところで金もらって帰るって。本当にいちゃついてるカップルなんかほぼいないんだよ。本当だよ。俺はそう信じたいよ。