神庭亮介さんによる、風営法改正案についての内閣委員会質疑レポート

神庭亮介 @kamba_ryosuke

衆院内閣委員会で風営法改正案が可決されました。近々に衆院本会議を通過し、早ければ6月中にも参院で可決、成立する見通しです。後ほど、本日の質疑の詳細をツイートいたします。

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衆院内閣委員会。風営法改正案には、共産以外の各会派が賛成。共産は警察による恣意的な介入を招くおそれがある「改悪」だとして、反対討論を行いました。自民・民主議員らの提案で、照度の測定法や面積について具体的に定めることや、地域住民の意見に配慮することを求めた付帯決議も採択されました。

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内閣委員会。秋元司議員（自民）「特定遊興飲食店営業のエリアは政令の基準に従って、条例で定められる。現状の営業延長許容地域を参考にするのか。業界から心配の声が出ている」。辻義之・警察庁生活安全局長「具体的な地域は都道府県が決めるが、営業延長許容地域の大規模な繁華街などが参考になる」

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内閣委員会。秋元議員「日中は結婚式、夜１２時以降はクラブをするような二毛作営業について。飲食営業と特定遊興ではイスの配置など構造設備も変わると思うが、どう処理するか」。辻生安局長「具体的にどうなるかはよく確認しないと断定的に言えないが、構造設備の無承認変更となれば法に触れる」

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内閣委員会。浜村進議員（公明）「『遊興』という言葉の定義は」。山谷えり子・国家公安委員長「遊興という言葉は現行法でも使用している。積極的に働きかけて客に遊び興じさせること。音楽を流してダンスをさせること、ダンス、ショー、演芸を見せること。バンドの生演奏やのど自慢大会も該当する」

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内閣委員会。浜村議員「数日かけて行う野外ロックフェスティバルには世界中から音楽ファンが駆けつける。遊興に該当するのか。コンサート関係の業界とも意見交換してほしい」。辻生安局長「新たな形態のサービスが出てくる可能性もあるので、解釈運用基準に盛り込むなど、できるだけ明確にしたい」

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内閣委員会。寺田学議員（民主）「遊興の定義はものすごく幅が広い。深夜に酒を飲ませながら歌舞伎を見せたら、善良の風俗を害するのか」。辻生安局長「遊興を規制するのは、善良の風俗を害するおそれがあるから。ひとつひとつのことについて『これは害するか』と聞かれても、ただちに答えるのは困難」

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内閣委員会。寺田議員「あなたが答えを出さない限り、やっている側はわからない。深夜に酒を出して、落語を聞かせたり、歌舞伎を見せたりすることについて警察当局の見解を」。辻生安局長「遊興は営業者が積極的に遊び興じさせる行為。個々の形態について、（善良の風俗を）害した／害さないではない」

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内閣委員会。寺田議員「遊興は『存立危機事態』よりはるかに、はるかに曖昧。どんな場合、『積極的』と判断するのか」。辻生安局長「お客さんが自らお店と関係なく遊び興じる場合は除かれる。お店の方が盛り上げるような形でお客さんを遊び興じさせる場合です」。寺田議員「意味わかんないです」

神庭亮介 @kamba_ryosuke

内閣委員会。寺田議員「『働きかける』というのは生身の人間が、ということか。設備を用意して間接的に働き掛ける場合も含むのか」。辻生安局長「単に設備が設けられている場合は当たらない」。寺田議員「カラオケボックスを遊興に当てはまらないとしながら、それ以外を一括して遊興に入れるのは曖昧」

神庭亮介 @kamba_ryosuke

先ほど来、頻繁に登場している風営法の「遊興」という概念、わかりづらいと思いますので、よろしければこちらの記事をご参照ください。 （記者有論）ダンスクラブ規制緩和　夜の文化、萎縮招かぬよう　神庭亮介 - 朝日新聞デジタル asahi.com/articles/DA3S1…

神庭亮介 @kamba_ryosuke

内閣委員会。穀田恵二議員（共産）「特定遊興飲食店営業の許可をとらずに営業したらどうなるか」。辻生安局長「無許可営業になるので、2年の懲役か200万円以下の罰金」。（※記者注：現行法でも、深夜酒類提供飲食店営業に関して深夜遊興禁止が定められていますが、罰則まではありません）

神庭亮介 @kamba_ryosuke

内閣委員会。穀田議員「パブでW杯を見て盛り上がり、店主が『みんなでテレビを見て応援しよう』と言ったら？」。辻生安局長「スポーツバーはテレビを見て客が楽しむもの。たまさか声を掛けたということで、遊興に当たるとは考えていない」

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内閣委員会。河野正美議員（維新）「海の家がクラブのような営業をして、周辺に悪影響が出ている。期間限定のイベントや野外イベントの扱いは」。辻生安局長「期間限定でも基本は通常の風営法と同じ。野外における営業も設備を設けて接待したり、深夜に遊興をさせていれば、風俗営業か特定遊興になる」

神庭亮介 @kamba_ryosuke

【警察側の答弁まとめ】 ◎ダンスをさせる、ダンス・ショー・演芸を見せる、バンドの生演奏、のど自慢大会、海の家、期間限定・野外のイベント（音楽フェスも？）→深夜遊興として風営法の規制対象に ◎歌舞伎・落語→不明 ◎スポーツバー→多少であれば規制対象外 ◎カラオケ→規制対象外

神庭亮介 @kamba_ryosuke

無許可で営業すれば２年の懲役か２００万円以下の罰金が科される、風営法改正案の「深夜遊興飲食店営業」。「遊興」の定義が曖昧なため、内閣委員会では拡大解釈や恣意的な運用を懸念する声が相次ぎました。せっかく「踊れない国」が終わっても、｢遊べない国｣になってしまっては意味がないですよね。

神庭亮介 @kamba_ryosuke

そうならないように、参議院での実りある議論に期待したいと思います。警察当局は、クラブ以外の幅広い業界の声に耳を傾け、解釈運用基準の見直しに生かしてほしい。｢遊興｣が過度に広範なものにならないよう、適切に制限をかけていくことが、ナイトカルチャーの振興につながるのではないでしょうか。