ガソリンスタンドを"ガソスタ"と略すことについて

ガソリンスタンドを"ガソスタ"と略すことについての所感と代案
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0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ガソリンスタンドのことをガソスタって略す人いるけど、ガソスタって微妙に言いにくいよね。それならソリスタの方が言いやすいし何となくスタイリッシュな気がする。もしガソスタとソリスタという人がいたら、ガソスタは食事の前に手を洗わなそうだけど、ソリスタは小さい頃バイオリンとか習ってそう。

2015-05-27 09:30:11
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ガソスタ:10代で子供を作り結婚。左官職人として仕事は真面目にやっているが、酒を飲むと時々暴力を振るうことがある。休日はパチンコと立ち飲み屋を往復する。 ソリスタ:40手前まで結婚せず、親族の紹介でのお見合いを機に結婚。不動産で収入を得ながら趣味で喫茶店を経営している。

2015-05-27 09:40:49
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ガソスタは小さい頃家が貧乏で服もランドセルも兄のおさがりばかり、唯一おさがりじゃない安物のスニーカーはすぐに破れるからいつも補修しながら履いていました。裕福な家庭に育ったソリスタがいつも小学校にピカピカの靴を履いてくるのが気に入らなくて、ガソスタはよくソリスタをいじめていました。

2015-05-27 10:06:32
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

そんなガソスタですが運動神経は抜群に良かったので小中学校では体育祭の度にヒーローとなり、女子からもモテる方でした。所属していたバスケ部ではキャプテンとして活躍し、高校にもスポーツ推薦で進むことができました。順調そうに見えたガソスタの学生生活ですが、転機は高校2年生の時に訪れます。

2015-05-27 10:50:52
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ガソスタは高2の時、バスケ部の練習中に膝を故障してしまいます。故障の原因は靴、彼のド◯キで買った980円のバッシュでは膝への衝撃を吸収しきれず、ハードな練習に膝が耐え切れなかったのです。幸い膝は治療で治りましたが、そんな時に彼はソリスタがナイキのバッシュを履いているのを目にします

2015-05-27 11:25:43
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ガソスタがソリスタを恐喝し、高価なバッシュを強奪したことが明るみに出ることはありませんでした。ソリスタがそのことを誰にも話さなかったからです。当時ソリスタの父親は仕事で全国を飛び回っており、母親は別居中。学校に友達もいなかったソリスタの靴がなくなった事に誰も気づかなかったのです。

2015-05-27 14:07:58
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

バスケ部に復帰したガソスタは2年生ながらレギュラーの座を勝ち取り、全国大会に出場します。チームは惜しくも2回戦敗退しますが、ガソスタの活躍は目を見張るものがあり、来年はガソスタの年になるだろうと関係者達が囁く声も聞こえてくるほどでした。しかし、悲劇はそんな矢先に起こります。

2015-05-27 20:40:32
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

早くに父親を亡くしたガソスタにとって、家計を支えていた母親の長期入院は彼のバスケ人生、ひいては学生生活を終わらせる理由として十分でした。父親と駆け落ち同然で結婚した母親には頼れる親族もいません。彼は知人に左官の親方を紹介してもらい、そこで見習いとして働かせてもらうことになりました

2015-05-28 10:17:57
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ガソスタが働きはじめて間もなく、1通の督促状が届きました。それまで彼は母親が半年分も家賃を滞納していることを知りませんでした。安アパートとはいえ、仕事をはじめたばかりの自分に半年分は一度に返せる額ではありません。督促状を母親に見せると「迷惑をかけてすまない」と泣き崩れていました。

2015-05-28 12:13:02
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ガソスタの父親と母親が昔飲食店を経営していたこと、その店は彼がまだ幼い頃に潰れ、その時の借金が残っていること、入院を機に自己破産を考えていること、母親がそれらを語り始めるまで彼はなぜ自分の家がこんなに貧乏なのか知りませんでした。

2015-05-28 12:34:42
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

しかし、たとえ母親が自己破産したとても、家賃は払わないと追い出されてしまいます。ガソスタは大家さんに事情を説明し、支払いを待ってもらうよう直談判することにしました。彼は大家さんには一度も会ったことがありません。母親の話では大家さんは会社の経営もしており、大変多忙な方だとか。

2015-05-28 12:46:22
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

大家さんの家は自宅から自転車で15分ほどのところにありました。いかにも金持ちの住む家といった感じの大きな一戸建てで、ガレージに外車が停まっており、2階のベランダには天体望遠鏡が見えます。ガソスタは自分もこんな家に生まれていればと思いながら、玄関の呼び鈴を押しました。

2015-05-28 20:26:38
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

母親と同世代と思われるその中年男性は、玄関先でひとしきりガソスタの話を聞き終えても、どうも信用できないといった様子でした。それでもガソスタが深々と頭を下げ続けていると、大家はこう言いました。「その靴、けっこう高いだろう。家賃を半年も滞納する家庭の人間が買えるようなもんじゃない。」

2015-05-28 20:44:33
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ソリスタは昔から父親とはあまり馬が合いません。父親は仕事で家を空けることが多く、ソリスタが家にひとりでいても暇しないようにと色々なものを買い与えました。漫画やゲーム機などはもちろん、若者の間で流行っていると耳にしたものは頼んでもいないのに全て買って来ました。

2015-05-29 08:51:59
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

あのガソスタに奪い取られたバッシュも父親が勝手に買って来たもので、ファッションやスポーツに興味のないソリスタにとっては何がいいのかよく分かりませんでしたが、父親は品薄でなかなか買えないところを関係者に頼んで入手したんだとご満悦そうでした。父親とは根本的に価値観が違うようです。

2015-05-29 09:12:46
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ソリスタは幼い頃から内向的で不器用な子供でした。小学校に入っても友達を作ろうとせず、ひとり部屋で本ばかり読んでいる彼に父親は空手をやらせようとしましたが、これに母親が猛反対。空手をやりたくなかったソリスタがホッとしましたのも束の間、母親は彼をバイオリン教室に連れて行きます。

2015-05-29 21:59:05
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

興味も無ければやる気も無い、おまけに才能も無い、他の子供とも仲良くならない、ソリスタのバイオリンの腕前は上がるわけもなく、ど素人の域を出ないまま最初の発表会を迎えます。両親は苦虫を噛み潰したような表情で彼の演奏を聴き続け、彼はその月でバイオリン教室を卒業することになりました。

2015-05-29 22:03:38
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

「だから空手にしろと」「そんな野蛮なことさせれません」ソリスタはいつも両親の喧嘩をBGMに星を眺めていました。彼が唯一好きなことは星を見ながら空想にふけることです。しかし両親に「何か好きなことはないのか」と尋ねられた時にそう答えると「そういうのではない」とあっさり否定されました。

2015-05-29 22:11:34
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ソリスタが中学にあがる頃には、彼が勉強だけは誰よりもできるということが明らかになり、自然と両親も彼に習い事をさせようとはしなくなりました。勉強についても別にやる気があったわけではなく、単に頭が良かっただけですが、親というのは目に見えて結果が出ると安心するものみたいです。

2015-05-29 22:28:21
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ソリスタが高校に入学した年のある日、彼が家に帰ると父親が酒瓶片手に荒れていました。「母さん、出てったよ」「どこへ?」「実家」彼の家から徒歩10分、父の会社の隣が母の実家です。「どうせ明日も職場で会うんでしょ」「まぁそうだけど」近すぎるのが良くないのか、それ以来母は戻って来ません。

2015-05-29 23:19:04
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

それから1年、三者面談を控えソリスタもそろそろ進路を決めないといけない時期。父親が本を読んでいたソリスタに「大体お前は将来会社を継ぐ気はあるのか」と尋ねてきました。彼が継ぐ気はないとあっさり応えると「お前には野心というものがないのか」「俺が若かった頃は…」と説教をはじめました。

2015-05-29 23:26:05
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

普段はソリスタもお説教はハイハイと受け流しますが、その日はあまりにもしつこかったので「僕には父さんみたいに出世のために社長の娘と結婚するほどの野心はないです」と言い放ち部屋に戻りました。それ以来、彼らの間には気まずい空気が流れており、2人住まいのこの家はさらに静けさを増しました。

2015-05-29 23:26:54
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

久々に家の中で父の声を聞いたその時、ソリスタは2階の自室にいました。珍しく来客かなと思いつつ気にせず本を読んでいましたが、父と話している相手の声に聞き覚えがあり、慌てて2階の廊下から吹き抜けになっている玄関を覗き込みました。そこには父の前で頭を下げ続けるガソスタの姿がありました。

2015-05-29 23:43:41
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ガソスタが上方からの視線を感じて顔を上げると、2階からこちらを見ているソリスタと目が合いました。一瞬にして血の気が引き、微動だにできません。「この靴は大家さんの息子さんからカツアゲしたもので、本当にお金が無いんです」と言うわけにもいかず、ただ口をパクパクさせるので精一杯でした。

2015-05-29 23:54:04
0.03代目極薄亭ゴム太郎師匠 @gomutaro

ソリスタは先ほど漏れ聞こえていた家賃滞納の話と目の前の光景から得られる情報を整理し、今自分が生まれて初めて「生かすも殺すも自分次第」という状況にあることに気づきました。あの自分をいじめ続けていたガソスタが父親の所有するアパートに住んでいたなんて、それまで全く知りませんでした。

2015-05-30 00:03:00