悪堕ちの性差について

悪堕ちジャンルは面白いもので、悪堕ちするキャラの性差、作品の作者の性差、読者や市場の性差によってその性質を変えます。ここでは、悪堕研究機構のこれまでの調査から見えてきた悪堕ちの性差の“傾向”について、まとめていきます。
16
悪堕研究機構 @utakuochi

「悪堕ちの性差」それは悪堕ち研究の永遠の課題であり、一方で禁忌とされ、長年まとめることを憚られた分野でもあります。まだまだ深く研究できる分野でもありますが、ここでは現在判明している傾向について、お話ししたいと思います。

2015-05-06 19:58:30
悪堕研究機構 @utakuochi

なぜ悪堕ちの性差のまとめが禁忌かといいますと、性差とは「片方の性の立場からもう片方の性を知ること」、その延長上で「結果と過程」「実用性と物語性」といった違いが対立を生んでしまう。両者が組み合わさってこそ悪堕ちは美しいと考える堕研にとって、これは全く望んでいない結果になるためです。

2015-05-06 20:12:50
悪堕研究機構 @utakuochi

特に悪堕ちジャンルにおいては、悪堕ちを性の対象とする人が多いです。性欲は人間が持つ根本的な欲望の内の一つで、性差によって性欲が理解されない、否定されることは、悪堕ちジャンルが好きな人の人間性を否定することに繋がります。他人を受け入れる寛容さを持って話を聞いていただければ幸いです。

2015-05-06 20:20:36
悪堕研究機構 @utakuochi

先に具体的な数値からですが、この悪堕研究機構の公式アカウントをフォローしている90%は男性で、残りの10%が女性という結果が出ています。ということは、ツイッターをやっている人で「悪堕ち」に興味がある人の9割が男性ということになります。ちなみに堕研の構成員は6:4です。

2015-05-06 22:15:21
悪堕研究機構 @utakuochi

一方で、堕研機関誌に一度でも記事を投稿したことがある堕研メンバーの男女比は4:6となります。ということは、男性向け悪堕ちは供給不足で、女性向け悪堕ちは供給過多となるべきなのですが、実際にそれを受け取る男女比が9:1となるため、特に女性向け悪堕ちが供給不足だと思われているわけです。

2015-05-06 22:41:37
悪堕研究機構 @utakuochi

ちなみにこちら、「男性作家は男性向け悪堕ち作品を創る」「女性作家は女性向け悪堕ち作品を創る」という仮定のもとに導き出しておりますが、堕研内においてもそれが100%当てはまる訳ではございませんのでご安心ください。

2015-05-06 22:45:08
悪堕研究機構 @utakuochi

先に堕研のフォロワーの9割が男性と申し上げましたが、「悪堕ち」というタグ、もしくはサークル説明文を付けて活動している作家さんの8割から9割が男性であることが判明しております。この事実から、悪堕ちは男性向けジャンルである、と世間一般に認識されていることが分かります。

2015-05-07 22:28:49
悪堕研究機構 @utakuochi

世間一般には、悪堕ちは男性向けジャンルだと認識されてるわけですが、堕研は悪堕ちは性差によって切り分けられるべきでないと考えております。それは、悪堕ちの定義に立ち返る以前に、堕研がその活動を通じて「男性向け女性向け問わない悪堕ち作品を世に出す女性作家」を内包しているからです。

2015-05-07 23:38:59
悪堕研究機構 @utakuochi

悪堕ちジャンルが男性向けだと認識される理由はいくつかありますが、最大の理由は元々男性成人向けコンテンツから生まれたものだからです。「ヒロインが洗脳や調教されて悪の住人になるのはすごく性的だけど、それを括るジャンルがない」というところから「悪堕ち」という“タグ”が生まれたわけです。

2015-05-09 10:45:41
悪堕研究機構 @utakuochi

「男性向け」という表現は業が深く、十中八九「女性キャラがメインの性的な内容」となります。このため、ジャンルによらず実用性(結果)が重んじられ、視覚的に訴える部分が強くなる傾向があります。特に悪堕ちジャンルはギャップ萌えを根底にしているため、視覚的なギャップが前面に出てしまいます。

2015-05-10 12:56:11
悪堕研究機構 @utakuochi

男性作家が外面を描き、女性作家が内面を書いたとしても、それを受け取る側の多くはファーストインプレッションとして視覚的な情報に左右されるため、外面に重きをおいた作品が優位となった結果、悪堕ちは男性向けジャンルだと現在でも認識されていると考えております。

2015-05-10 13:12:18
悪堕研究機構 @utakuochi

男性は悪堕ちに実用性を求めると前述しましたが、これが悪堕ちの性差の大前提となる部分です。男性は悪堕ちに実用性を求め、性的であることを重視し、一方で女性は悪堕ちに実用性や性的さを求めず、物語性を求めるため、堕ちる前から堕ちた後のアフターストーリーまでの一連の流れを重視します。

2015-05-10 20:06:47
悪堕研究機構 @utakuochi

悪堕ちジャンルには「二次元エンド」という言葉があります。これは物語の最後で堕ちた/堕ちかけたヒロインが復活したり、悪堕ちした姿を披露するだけで物語が終わったりして、悪堕ち的に肩透かしを食らう展開のことを指しますが、これは実用性を重視する目的において、至極当然な展開と言えます。

2015-05-12 01:41:12
悪堕研究機構 @utakuochi

「二次元エンド」とは、掛けるコストに比べて最大限の効果を発揮できる、商業的に見て最も最適な悪堕ちの解であります。一方で、そういった悪堕ちに満足できないというのは女性に限らず、男性から見ても当然の感覚です。そこには悪堕ちの性差ではなく、需要と供給のすれ違いがあるためです。

2015-05-12 23:35:00
悪堕研究機構 @utakuochi

さて、話を戻します。生物学的に男性は「結果」を重要視し、女性は「過程」を重要視すると言われています。元々は男女が果たすべき役割の違いから派生したものと考えられるこの性差ですが、悪堕ちにおいても如実な違いとなって現れております。これを男女どちらの観点からも迫っていきましょう。

2015-05-13 01:17:00
悪堕研究機構 @utakuochi

【注釈】これまでの考察で「実用性」という言葉を使っておりますが、この文脈に限っては「オカズとして使えるかどうか」という意味です。オカズと聞いてわからない方は個別に検索して調査いただければ幸いです。

2015-05-13 23:28:54
悪堕研究機構 @utakuochi

男性は“結果”を重要視します。これは、ある目的を達成するためにはどういう手段を取ればいいかを考察したり、事象の結果がどうなったかということを求めることに繋がります。このため、悪堕ちに関しては「悪堕ちさせる手段=シチュエーション」や「悪堕ちした結果=堕ち後の姿」を求めるわけです。

2015-05-14 00:06:27
悪堕研究機構 @utakuochi

男性は“結果”を求めると言いました。これは「悪堕ちに過程はいらない」という意味合いではありません。「結果」には、それを説明する「事象」と「原因」があり、「事象」「原因」「結果」が“論理的”に連結されることを望みます。故に男性も、このような観点で見た「過程」を求めます。

2015-05-15 22:41:59
悪堕研究機構 @utakuochi

女性は“過程”を重要視します。これは、悪堕ちした結果どうなったかということよりも、その結果に対し、そこに繋がる物語や、そこからどう展開されるのかという「物語性」を求めるということです。いわば、悪堕ちは物語を盛り上げるために必要な手段であって、悪堕ちが目的ではありません。

2015-05-16 00:47:44
悪堕研究機構 @utakuochi

心理学的・ジェンダー論的根拠はまだまだ薄いですが、これまでのヒアリングから見えてきた悪堕ちの性差について、悪堕ちに対する考え方の違いを図にまとめてみました。 pic.twitter.com/hOONj1qvjt

2015-05-17 19:34:10
拡大
悪堕研究機構 @utakuochi

男性の考える悪堕ちは起承転結で言えば「転」の部分、つまり変化する部分であるため、ギャップ萌えを推すことになります。一方で、女性が考える悪堕ちは悪堕ちする前から悪堕ちした後までの「承転結」の部分であるため、物語性、特に“悪堕ちでしか叶えられない望み”を推すことになります。

2015-05-19 03:05:42
悪堕研究機構 @utakuochi

ここから表現を改め、男性に多く見られる悪堕ちに対する嗜好を「男性的(悪堕ち)嗜好」、女に多く見られる悪堕ちに対する嗜好を「女性的(悪堕ち)嗜好」と呼びます。男性的嗜好では「転」が重要視されるため、短絡的には「起→転」といった即堕ち2コマであっても、悪堕ちとして愛でられます。

2015-05-20 02:22:35
悪堕研究機構 @utakuochi

「即堕ち2コマ」というのは、男性的悪堕ち嗜好を端的に表したものであり、それは「堕ち前の姿」と「堕ち後の姿」のたった2枚の絵で成り立っています。絵という表現技法からわかるように、男性的嗜好とは視覚面でのギャップ萌えであるわけですが、女性的嗜好はこれを不服とします。

2015-05-20 23:31:16
悪堕研究機構 @utakuochi

女性的悪堕ち嗜好の根本には「悪堕ちとは過程であり手段である」という考えがあります。これはつまり、「対象者を悪堕ちという手段を用いて“(運命)改変”を行いたいのであり、どのように改変されていくか、その過程が重要」ということに繋がります。

2015-05-23 10:12:46
悪堕研究機構 @utakuochi

悪堕ちとは「変化」に対する嗜好です。男性的嗜好では「変化の結果」=「(視覚的)ギャップ」を愛でる一方で、女性的嗜好では「変化の過程」=「変わりゆく過程」を愛でます。しかし前述のように、視覚面が一見では前面に出てくるので、ギャップ萌えの概念が女性的嗜好では不服とされることが多い。

2015-05-23 13:50:33