- haiiro8116
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さてと、リハビリリハビリ。 今回は東方でレミリアと咲夜の『朝』のはじめだけをちょっと書いてみた。
2015-06-04 20:03:20レミリア・スカーレットの朝は早い。 吸血鬼である彼女にとっての朝は夕暮れなので、1日という人の生活サイクルで見ると早いのか遅いのかと言われると遅い気もするが、まあ早い。そういう事にしておこう。 兎に角、彼女は目覚めるのだ。夕陽で。 繰り返すが、夕陽で。
2015-06-04 20:04:02「うぉあっちぃ!?」 レミリアは軽くかすった太陽光で、ベッドから飛び起きた。 幻想郷は霧の湖の畔に佇む荘厳華美にして紅き吸血鬼の館。紅魔館の主である《永遠に幼い紅き月》レミリア・スカーレットの優雅なる目覚めである。
2015-06-04 20:04:23髪は寝乱れてぼさぼさに拡がっており、寝覚めに訪れた危機に汗を垂らしているが、華麗な目覚めなのだ。誰も見ていないから良いのだ。 さて。彼女の見た目は幼い。知らないものが見れば、10歳程度の少女に見える事だろう。
2015-06-04 20:04:40だが彼女は吸血鬼であり、既に500年以上の年月を生きている長命なる妖なのだ。 尤もこの幻想郷に於いては、500年以上でも然程長命とは言えないのが事実でもあるのだが。
2015-06-04 20:04:53「うー・・・危ない危ない。危うく火傷する所だったわ」 紅魔館に於いて、彼女の部屋は西側にある。故に朝日は差し込まないわけだが、夕陽は差し込み放題である。 普通の吸血鬼ならば、其処でカーテンという文明の利器を利用するものだが、彼女は違う。
2015-06-04 20:05:07《ツェペシュの末裔たる者、たかが沈みゆく夕陽程度に負けてはならないものだわ》と高らかに誇らしく宣言し、カーテンを開け放ったまま眠っているのだ。 そして時折、黒焦げでのた打ち回りながら目を覚ますわけだが、誇り高き吸血鬼たる者、一度高らかに宣言した事は曲げないものなのである。
2015-06-04 20:05:39なので、彼女は毎回目覚めにチキンレース染みた所業を行っているわけだ。 ・・・決して、彼女の従者である少女がそう先回りして言ったから、どうにも引っ込みがつかなくなったわけでは無い。決して。
2015-06-04 20:05:57「お目覚めになられましたか。お早う御座います、お嬢様」 ドアの開く音も無く、むしろ何の前触れも無く、突如として少女が出現した。 給仕の衣装に身を包み、佇む姿は瀟洒にして完全。先程書いた彼女の従者、名は十六夜 咲夜という。
2015-06-04 20:06:13「おはよう、咲夜。もうすぐ忌々しい太陽も沈む。良い朝ね」 従者の挨拶に返事をしながら、レミリアは両腕を横に広げる。 「はい、お嬢様。」 咲夜は一礼の後、時間を停めた。
2015-06-04 20:06:49彼女は吸血鬼の館に住まう者であるが、吸血鬼ではない。だが、超常の力を操る者である。 幻想郷の求聞持である稗田阿求が求聞史紀にて曰く、《時間を操る程度の能力》。 彼女はこの異能にて、吸血鬼たる主に仕えている。
2015-06-04 20:07:07「それではお嬢様、お召替えをさせて戴きます」 時が停止したままの紅魔館で、咲夜はレミリアの夜着を素早く脱がせると、まず全身を濡れタオルで拭いて清め、髪を梳いて乱れを直し整え、レミリアのお気に入りの服を着せる。
2015-06-04 20:07:35「完了いたしましたわ、お嬢様」 「うん。今日も完璧ね、咲夜」 「恐縮に御座います」 満足そうな主の声に、咲夜は一礼した。 この可愛らしい主の褒め言葉は、咲夜という従者にとっての愉悦の1つであり、生きる意味の1つである。
2015-06-04 20:08:22「それではお嬢様、お食事の準備が出来ております」 「今日もアレが食べたいわ。アレはきちんと用意してある?」 「はい、勿論。」 咲夜は主の言葉に淀み無く返答する。 主の要求で予測出来る事柄には事前に完全に対応する。それが咲夜のモットーである。
2015-06-04 20:09:05意外なようだが、紅魔館の朝食は洋食である事は滅多に無い。 白い炊き立て御飯に、霧の湖で獲れた魚の干物に、味噌汁に沢庵と、何処からどう見ても完全無欠に和食である。
2015-06-04 20:09:28何故ならば、主のレミリア自身が和食党だからである。《朝はやっぱり御飯でないと、力が出ないわね。パンとか駄目よ》という事らしい。 「うん、やっぱり朝は和食に限るわね」 レミリアは吸血鬼なので御飯はただの嗜好品でしかないのだが、気分の問題なのかもしれない。
2015-06-04 20:09:54「咲夜、アレは?」 「勿論、用意してございますわ」 咲夜はそう言うと藁の包みを取り出して開き、中身を空の器に入れる。それは、よく糸を引く大豆の発酵食品。名産地は水戸。 分かり易く言うと納豆である。
2015-06-04 20:10:19「うーん、やっぱり納豆は藁から出したてに限るわ、良い匂い・・・」 レミリアは納豆の臭いを嗅いで、うっとりとした表情を浮かべる。どう見ても西洋人の少女の容姿であるレミリアだが、彼女はこの納豆が大好物なのだ。
2015-06-04 20:10:37ぶっちゃけた話、出来る事なら吸血鬼ではなく、吸納豆鬼になりたいくらいな彼女である。 好きなものと必要なものが違うというのは良くある話だが、血よりも納豆が好きな吸血鬼というのも、かなり珍しいのではなかろうか。 アイデンティティの危機と言っても良い感すらある。
2015-06-04 20:10:50「ふんふんふふ~ん♪」 その納豆に、レミリアは特製の醤油を数滴垂らす。 実はこの醤油が、彼女の本来の食べ物である人の血液が混ざった咲夜特製の醤油である。
2015-06-04 20:11:14「混ぜ混ぜ~♪混ぜ混ぜ~♪」 楽しそうに納豆を混ぜるレミリア。 彼女は吸血鬼としてはかなりの小食であり、更に吸血鬼という妖は本来、毎日血を吸う生き物でもない。
2015-06-04 20:11:33故に、毎日醤油に混ぜられた少量の血液を、納豆と一緒に体内に取り込む事で生きている。 まあつまり、毎日納豆食って生きているという、世にも不思議な吸血鬼である。
2015-06-04 20:11:49取り敢えずここまで( ˘ω˘ ) 続きは書くかもしれないし、書かないかもしれない。 リハビリだしね。
2015-06-04 20:12:29