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2015年6月4日

シンポジウム「国立自然史博物館をふくしまに!」のまとめ

2015年6月4日午後1時から福島市の福島テルサで開かれたシンポジウム「国立自然史博物館をふくしまに!」の内容について、参加していたK. Nakagawa(@ku_nakag)さんが、終了後に連続ツイートしたものをまとめました。 シンポジウムは福島県自然史博物館設立推進協議会の主催。日本学術会議が昨年、東北地方と沖縄県の2カ所に国立自然史博物館を設置するのが望ましいとする構想をまとめたのを受けて、開催されたもの(福島民報より)。
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K. Nakagawa @ku_nakag

福島市で行われたシンポジウム「国立自然史博物館をふくしまに!」に参加してきた。結果的にはいろいろと再確認の多い議論となったのではないかな。

2015-06-04 19:07:27
K. Nakagawa @ku_nakag

挨拶はシンポ主催者で福島大学名誉教授の樫村さん。長いこと福島県に自然史系博物館設立の働きかけを続けてきた一人だ。

2015-06-04 19:12:41
K. Nakagawa @ku_nakag

講演者1人目は東工大名誉教授の岸本さん。日本学術会議における戦後から現在に至る自然史博物館設立にたいする動向を概説。学術会議における国立自然史博構想はなんと1956年、60年も前から始まっているという。

2015-06-04 19:38:21
K. Nakagawa @ku_nakag

しかし、その構想は’58年には科博の機能を拡充することで棚上げに。議論は続いたが、自然史基礎研究のセンターとしての自然史博物館を求めたはずが、資料蓄積機能のない基礎生物学研究所の創設にとどまる、それが’66年。

2015-06-04 19:43:25
K. Nakagawa @ku_nakag

自然史博構想は2度棚上げされた形だ。以降30年以上その機運は途絶えてしまう。

2015-06-04 19:47:30
K. Nakagawa @ku_nakag

一方でいわゆる文化財、歴史・民俗などの基盤は着々と整備されている。東京・京都・奈良・九州…いずれも国立の博物館があって、さらにいえば2つの国立の研究施設がある。対して国立の自然史博は依然ゼロのまま。

2015-06-04 19:50:22
K. Nakagawa @ku_nakag

※あ、直前のツイートは次の講演者の馬渡さんの発言だったかも。

2015-06-04 19:51:33
K. Nakagawa @ku_nakag

次の二人目の講演者は北海道大名誉教授の馬渡さん。岸本さんと同じく日本学術会議を畑にするかた。

2015-06-04 19:53:49
K. Nakagawa @ku_nakag

まずは海外と比べての日本の自然史分野の非力さ。ワシントン、ロンドン、パリ・・・名だたる博物館の名前が出て、一方現在の自然史研究を担っている科博の標本数は?

2015-06-04 19:57:51
K. Nakagawa @ku_nakag

パリとかと比べるのは酷なのではとも思うけど、でも自然を研究し、理解することがいかに重要であるか、その点日本が後進国なのは確か。

2015-06-04 20:02:09
K. Nakagawa @ku_nakag

衣食住だけでヒトは満たされているのか?サルと違うのは文化を持つこと。では文化とは何か?

2015-06-04 20:03:15
K. Nakagawa @ku_nakag

遺伝子という情報は細胞・身体というモノを介して受け継がれている。おなじように文化もまた、モノを介して受け継がれていく。モノは脆い。しかし、保存しておけばいつでも文化という情報を引き出せる。

2015-06-04 20:07:52
K. Nakagawa @ku_nakag

新しい自然史博物館構想では、学芸員は居ない。研究員、テクニシャン、コレクションマネジャー、エデュケーター、コミュニケーターなどの分業体制を目指す。

2015-06-04 20:12:32
K. Nakagawa @ku_nakag

馬渡さんのプレゼンは面白い。遺伝子の受け継がれる様子を文化のそれになぞらえるのは生物屋ならつい共感してしまうだろう。

2015-06-04 20:16:23
K. Nakagawa @ku_nakag

次に東北・福島代表の福島大学教授の黒沢さん。やはり福島県の自然史業界でながく尽力してきた一人だ。今回は福島の自然史業界のあまりにも暗い状況を解説してくれた。

2015-06-04 20:19:09
K. Nakagawa @ku_nakag

まず福島の自然史の機関の「無さ」。各県の自然史分野の「発達段階」を例に。第一段階は県内に自然史シンクタンクが無い段階。レッドリスト調査などがアマチュア頼みで、標本の収容先もない状態。

2015-06-04 20:23:49
K. Nakagawa @ku_nakag

第二段階は自然史博物館があり、標本の組織だっての収集・保護がなされていること。多くの県がこれにあたる。第三段階は集積された標本情報の整理、データベース化が進んでいること。

2015-06-04 20:25:54
K. Nakagawa @ku_nakag

第4段階。自然史資料のデータベースをもとにした優れた環境行政が進められるようになる状態。この域に達しているのが神奈川や兵庫県など。

2015-06-04 20:27:23
K. Nakagawa @ku_nakag

では福島県はどこか?もちろん第一段階。県立の自然史施設は存在しない。県内大学には理学系の学部もなかった。県立・国立の研究施設もない。組織的、積極的に標本を収集・保存しているのは県内で黒沢研究室のみ。でも、もし私が退官したら?それらの標本の行き場はない。

2015-06-04 20:31:12
K. Nakagawa @ku_nakag

これほど県内で自然史施設が乏しい県もない。自然史を扱う施設は市立と町立が一つずつ、計2か所、だけ。全国でも最低。これがどのような症状を生み出しているのか?

2015-06-04 20:36:39
K. Nakagawa @ku_nakag

これほど自然に囲まれた環境でありながら、それらを生かした観光産業や農林水産業が発展していない。自然に関する関心の低さや誤った環境保護活動がはびこっている。県の財産といえるフタバスズキリュウは県外へ流出。他にもタイプ標本や著名なコレクションが散逸した。

2015-06-04 20:42:05
K. Nakagawa @ku_nakag

国立自然史博を誘致するのにも冷静に考える必要がある。おそらく県民の思っている県民に都合のよい状況は訪れない。冷静な議論をしていかなければ首都移転誘致活動(※)によって県民が負債を抱えた状況を再び繰り返すだろう。

2015-06-04 20:48:30
K. Nakagawa @ku_nakag

(※脚注、首都移転誘致とは文字通り福島に首都を移すという動きが過去にあった。福島空港が福島でも郡山でもなく須賀川市にあってほとんど使われていなかったり、現在では無用の道路が整備されたのもそのせい。)

2015-06-04 20:59:38
K. Nakagawa @ku_nakag

また、福島県に誘致するうえで不利な点は大きい。隣県にそもそも科博があるということ、原発事故の影響から外国人研究者の来訪に影響があるだろうこと。

2015-06-04 21:02:30
K. Nakagawa @ku_nakag

一方で、「自然史・災害博物館」にする、自然景観の素晴らしい猪苗代湖畔に博物館を建設するなど、福島県が国立博物館を誘致する意味、メリットはある。都心からのアクセスも比較的良い点もそう。

2015-06-04 21:05:59