同じ集団を検査すれば前倒し分の発見率は低下するが、過剰診断分の発見率は低下するとは限らない。

韓国の成人の甲状腺がんの罹患率は著明に増加しています。専門家は、この増加分は過剰診断(将来、症状を引き起こさないがんを診断している)と考えています。なぜ、専門家がそう考えているかについての説明のため、同じ集団に対し、検診を繰り返したら発見率がどうなるのかについて考察してみました。
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名取宏(なとろむ) @NATROM

@iPatrioticmom この400の増加が「前倒し効果」です。ここまでOKですか?以上を図入りで解説しています。[ d.hatena.ne.jp/NATROM/0015060… ]。ブログのコメント欄でコメントしていただいても結構です。字数制限がないのでその方が私としては望ましいです。

2015-06-06 21:10:47

↑過剰診断がゼロであると仮定した場合、「前倒し効果」だけでは韓国における著明な罹患率増加を説明できないことを示すためのモデルを提示しました。

iPatrioticmom @iPatrioticmom

実際には前倒し分だけではなく、成長しないであろう癌も発見されるので、同じ集団を検査すれば前倒し分も過剰診断分も、発見率は低下するはずです。新規集団を検査しつづければ低下しません。韓国全国民を検査するには相当時間がかかるはずです。 twitter.com/NATROM/status/…

2015-06-07 08:48:30
名取宏(なとろむ) @NATROM

@iPatrioticmom 「同じ集団を検査すれば前倒し分も過剰診断分も、発見率は低下するはず」という主張について、前倒し分についてはその通りですが、過剰診断分には必ずしも当てはまりません。なぜなら新規に過剰診断分のがんが発生しうるからです。

2015-06-07 22:55:05
iPatrioticmom @iPatrioticmom

同じ集団を3年後に再検診して、1cm以下の癌が発見された場合、やはり3/5が過剰診断で2/5が将来大きくなる前倒し分のはずですよ。新規に発生するのは過剰診断分だけということはありえないです。 twitter.com/NATROM/status/…

2015-06-08 09:02:23

↑正直言いまして、iPatrioticmomさんのおっしゃる「やはり3/5が過剰診断で2/5が将来大きくなる前倒し分のはず」というのは意味がよくわかりません。私の提示したモデルのことであれば、過剰診断はゼロです。実際の検診のことであれば、1 cm以下の癌のうち、どのぐらいが過剰診断であるかは、明確にはわかっていません。少なくとも3/5ってことはありません。もっとずっと多いはずです。ただ、「新規に発生するのは過剰診断分だけ」ってことはありえませんね。

名取宏(なとろむ) @NATROM

@iPatrioticmom 「同じ集団を3年後に再検診して、1cm以下の癌が発見された場合、やはり3/5が過剰診断で2/5が将来大きくなる前倒し分のはず」というのは、「iPatrioticmomさんが前提としているモデルが正しいと仮定して」の話です。

2015-06-08 15:44:06
iPatrioticmom @iPatrioticmom

3年前の検診では見つからなった1cm以下の癌がすべて将来的に臨床症状を呈することはない過剰診断分だとなぜ断言できるので?山梨大のデータでも2cm以上は4mm/yearくらいですが、成長速度が速いから大きくなるわけですよね。 twitter.com/NATROM/status/…

2015-06-08 19:53:21

↑iPatrioticmomさんは、誰かが「3年前の検診では見つからなった1cm以下の癌がすべて将来的に臨床症状を呈することはない過剰診断分だ」と断言している、という誤解に陥っているようです。なぜそのような誤解をされたのが、よくわかりません。

(仮想的なモデルの話ではなく)実際の検診において、3年前に検診した集団に対し、もう一度検診を行い、1cm以下の癌が見つかったとしましょう。そのうちのどれぐらいが過剰診断で、どれぐらいが「前倒し効果」なのかは明確にはわかりません。「3/5が過剰診断で2/5が将来大きくなる前倒し分」などとは言えません。

しかし、「ほとんどが過剰診断である」とは言えます。なぜなら、甲状腺がんはもともと増殖がゆっくりであり、とくに1cm以下ではきわめて緩徐だからです。この点については、iPatrioticmomさんも同意ができていたはずです。ただし、全部が過剰診断であるとは断言できません。割合としては小さいですが、将来において症状を引き起こすがん(「前倒し」分)も見つかるでしょう。

ここでの論点は、「同じ集団を検査したときに発見された1cm以下の癌のどのくらいが過剰診断か」ではありません。「同じ集団を検査すれば前倒し分も過剰診断分も、発見率は低下するはず」という主張が正しいかどうかです。

「同じ集団を検査すれば前倒し分の発見率が低下する」という主張については異論はありません。

「同じ集団を検査すれば過剰診断分の発見率が低下する」という主張については異論があります。低下するかもしれませんし、低下しないかもしれません。大規模な甲状腺検診を行わなければ、過剰診断分の甲状腺がんがどのような自然経過をたどるのかを知ることはできません。可能性としては、「けっこうポコポコ発生しては消えている」のかもしれませんよ。これは調べてみないとわかりません。

でもって、韓国では意図せずに大規模な甲状腺検診を行っているんですね。複数回の検診を受けた人たちがいるのですが、甲状腺がんの発見率は下がっていないんです。「同じ集団を検査すれば前倒し分の発見率が低下する」はずなのに、不思議ですね。これが韓国で診断された甲状腺がんには相当数の過剰診断があると考える理由の一つです。

『「複数回の検診を受けた人たちがいる」としても割合として少ないはずだ』という反論が予想されますが、それはそれで韓国の高い甲状腺がん罹患率を説明するために過剰診断を持ち出さなければならない理由になるんですが、それはまた別の機会に。