孫泰蔵さん、BRUTUS (ブルータス) 2011年 1/15号 を読んで考えたことまとめ

孫泰蔵さん( .@taizoson )が、BRUTUS (ブルータス) 2011年 1/15号 を読んで考えたツイートのまとめ amazon BRUTUS (ブルータス) 2011年 1/15号 http://amzn.to/fljciz
5
taizoson.eth @TaizoSon

小説家でヒップホップの先駆者でもあるいとうせいこう氏と哲学者の萱野稔人氏は、ハーバード大学教授のマイケル・サンデル氏の著書「これからの『正義』の話をしよう」について、彼が政治哲学者として初めて「人間にとって社会的承認がすごく大事である」と指摘したことを評価し、次のように語った。

2010-12-27 08:11:59
taizoson.eth @TaizoSon

萱野稔人氏「人は誰でも自分の人生に価値があったことを確認したい。自分が死んでゼロになってしまうなら、自分がなぜ生まれてきたのか?その意義を考えるわけですよね。しかしその時に、人間は他者との関係の中でしか自分の存在意義を確認することができないんです。それが『承認』ということです。」

2010-12-27 08:12:07
taizoson.eth @TaizoSon

萱野稔人氏「その承認というものが必要な限り、人はある社会や共同体に帰属することを捨てられない。それが正義の問題に深く関わっている、とサンデルは言っているわけです。」

2010-12-27 08:12:16
taizoson.eth @TaizoSon

いとうせいこう氏「少し前に『自分探し』という言葉が流行したけど、自分で自分を探すなんてのは愚かですよね。自分の中を掘っても掘っても、絶対自分は分からないし、まして社会的承認は永遠に得られない。それが今やっと、『自分以外の他者が必要なんだ』と多くの人が気づいたというか。」

2010-12-27 08:12:24
taizoson.eth @TaizoSon

いとうせいこう氏「一方、多くの人たちが自分たちが真っ先に切り捨てられちゃうような政策を熱狂的に支持する。戦争が起こったら一番に前線に立たされそうな人たちが戦争待望論みたいな発言をしたりね。この矛盾はいったい何なのだ、とずっと考えているんですが、どういう心理かまったくわからない。」

2010-12-27 08:12:33
taizoson.eth @TaizoSon

萱野稔人氏「結局、人間はうまくいっている人のことが妬ましいんですよね。とにかく目先の溜飲を下げることが優先されてしまう。そのように嫉妬を感じてしまうということ自体が、サンデルが言っている『人は社会的承認なしでは生きられない』ということの傍証ともなっています。」

2010-12-27 08:12:42
taizoson.eth @TaizoSon

萱野稔人氏「ルサンチマンに駆られて他人を攻撃することは、自信のないちっぽけなプライドで自己を正当化することにしかなりません。では、そういった嫉妬をどう超えればいいのか。」

2010-12-27 08:12:50
taizoson.eth @TaizoSon

いとうせいこう氏「それは結局、『他社を承認する』ということからしか始まらないんじゃないですかね。自己を正当化するだけでは、社会性から遠ざかっていくしかないわけですから。他人を承認していくことで、回りまわって自己も承認されていくんですよね。」

2010-12-27 08:12:57
taizoson.eth @TaizoSon

萱野稔人氏「そうなんです。だから、自分がいつでも『与えることができる』と考えたほうがいいんですよ。お金がなくても『与える』ことってできるじゃないですか。」

2010-12-27 08:13:04
taizoson.eth @TaizoSon

いとうせいこう氏「そのとおり!それってまさにHIPHOP的なものですよ。他人の作った音源をサンプリングしてトラックを使ったら、レコードの裏に『Respect to』とクレジットして、またその曲をDJが使って他の何かに利用するとか、連続して回っていく。」

2010-12-27 08:13:12
taizoson.eth @TaizoSon

いとうせいこう氏「人間って欲しがるだけじゃなくて、「Give」したくなる動物でもあるんだと思うんですよ。そのことを僕たちは認めてもいいはずなんです。『良かったよ』『おもしろかったよ』って口に出していうだけでもいいんだよね。そんなの、出し惜しみしないでいいじゃん!」

2010-12-27 08:13:19
taizoson.eth @TaizoSon

いとうせいこう氏「TwitterでおもしろいことをつぶやくことだってGiveでしょ?Twitterはお金にならない、とか言ってる人もいるけど、そこにちゃんとバリューが湧き出て流動しているんですよ。そんなことでも、『俺って価値あるじゃん』と思えるはずなんだ。」

2010-12-27 08:13:26
taizoson.eth @TaizoSon

このお二人のやりとりはすごくしっくりくる。今という時代は、経済やテクノロジーの激動だけでなく、哲学や思想においても激動期であることを実感する。BRUTUS 2011 1/1・15合併号(マガジンハウス)は今という時代を俯瞰し掘り下げる道標として最適の特集が組まれている。必読。

2010-12-27 08:14:05