良いきのこの乾燥標本の作り方

アマチュアのイグチ専門家、gyu-kenさんが、状態の良いきのこの標本の作り方を解説する。
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牛研 @gyukankin
ウラベニヤマイグチを検討中。すでに縁シスチジアが崩壊している標本だった。
牛研 @gyukankin
縁シスチジアの役目が子実層を守ることだとすれば、子実体が十分に成熟した段階で自らを崩壊させるようにできているのだろう。
牛研 @gyukankin
こういう標本は胞子の大きさを見るのには都合がいい。視野いっぱいに胞子が見える。 pic.twitter.com/lDsbm7IJgi
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牛研 @gyukankin
状態の悪い標本を見ていると、こんなもの見ても何も分からねえー!っとたたき壊したくなるが、ハーバリウムに所蔵された古い標本はたいていこれに該当するので、ぐっと堪えなくては。
牛研 @gyukankin
状態の悪い標本は大方、乾燥の方法が不味かったと推測される。
牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方:一番良くないのは、熱のみによる乾燥。電熱線や電球の熱等。温度の管理に失敗すると組織が煮えてしまう。こういった標本で子実層(担子器や側シスチジア等)がまともに見えたためしがない。
牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方2:写真は1965年ころのアメリカのイグチ。電球による熱乾燥と思われる。組織が煮えてしまった実例。見てもほぼ何も分からない
牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方2:写真アップするの忘れた pic.twitter.com/swyt6VW9um
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牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方3:おすすめはドライフルーツメーカー。最近は安価になっており1万円以下で入手可能。温度調整機能、タイマー機能付きのものが吉。
牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方4:温度は経験則から50度程度が良いようだ。ただし、乾燥機の設定温度と実測値には開きがあるので要検討の課題。ニガイグチモドキを大量に乾燥した時は、つい高めの温度設定にしてしまい、結果、固い標本となってしまった。
牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方5:ちょっと前に、ベニタケをやっている方とお話ししたが、60度以上でないと虫が湧く可能性があるとのことだ。私は虫の害は未経験。50度程度で完全に乾かしたのちに60度以上に温度を上げて、虫退治をするのがいいのかも。これも検討課題。
牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方6:温風が直接標本に当たるのがよいと考えている。温風乾燥でも採集袋に入れたままだと、空気の流れが遮断されているので、結果、熱のみによる乾燥と変わらないかもしれない。これも検討課題。
牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方7:写真は適切に乾燥させた標本の子実層托実質断面。菌糸の構造が手に取るように分かる。 pic.twitter.com/2OhzEF4ZpX
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牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方8:単なる熱乾燥と同程度に良くないのは、冷蔵庫に放置して乾かすこと。水分が少しずつぬけながら細胞が少しずつしぼんでいくのだろう。KOHでも全然復活しないやっかいな標本になる。
牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方9:これまでに見た標本で、一番きれいに形態が保存されていて見やすかったのは真空冷凍乾燥のもの。冷凍により組織が破壊されているのではないかと思っていたが、事実は全く逆だった。
牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方9の続き:写真はBoletus viscidipellis ヌメリイロガワリのかさ表皮と柄シスチジア。真空冷凍乾燥のホロタイプ。神奈川県博所蔵。 pic.twitter.com/5E0nKCBb9i
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牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方10:真空冷凍乾燥に匹敵するものは出来ないのか?ということでやってみたのが冷凍庫放置法。予想以上に良い出来上がりだった。 boletus.sakura.ne.jp/oboe/340.html
牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方11:写真は、最初が生、次が冷凍乾燥で冷凍庫から取り出した直後のもの。ほぼ生の時の姿を維持している。が、2年放置したら色が褪せてしまった。光と酸素が原因か?例えば遮光して窒素ガスを充填するなどで退色を防げるのかも。 pic.twitter.com/q2lhZvfnvD
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牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方12:冷凍乾燥標本の実例。サケツバタケの側シスチジア(水封)。通常、乾燥標本をKOHで柔軟化せずに水だけでこれだけ見えることはあり得ない。 pic.twitter.com/WUhjvzFQBF
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牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方13:写真はかさ径1mm程度のMarasmiusの一種のひだ断面。冷凍乾燥。通常の温風乾燥では子実体が縮んでしまいこのような切片を切るのは至難の業。 pic.twitter.com/AraqCcX1Mm
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牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方14:冷凍乾燥に於ける冷凍時間の目安 小型のMycenaやチャワンタケなど:2-4週間 小〜中型のハラタケ型きのこ:3ヶ月 中〜大型のイグチ:3-6ヶ月
牛研 @gyukankin
@gyukankin 良い乾燥標本の作り方15:肉質で水分含有量が多いイグチの場合、温風乾燥にしろ冷凍乾燥にしろ、子実体を切断するのが良い。なるべく早く水分を追い出すため。肉に切れ込みを入れると尚良い。 pic.twitter.com/24dhFjil85
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牛研 @gyukankin
@gyukankin 良い乾燥標本の作り方16:切断の際には、管孔部分のスライスを数枚切っておく。顕微鏡観察に有利。写真はホテイイロガワリの標本。すでに顕微鏡観察のために切り取った跡がある。 pic.twitter.com/vx4DSqK87N
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牛研 @gyukankin
良い乾燥標本の作り方17:最後に一番大事なことを。良い状態のきのこを丁寧採集し、土やゴミを丁寧に除去し、丁寧に持ち帰り、丁寧に処理すること。基本的に子実体には気軽に触っていい箇所はない。きのこの柄はきのこを持つための取っ手ではないということ。

コメント

山下ひかるssula @hikasukepon 2015年6月11日
まとめを更新しました。
@6roku3 2015年6月11日
カビる、虫が湧く対策としては脱酸素剤つかって密封するのも手ですよ。お手軽な窒素充填の代わりにもなるかと
さっこ@眠れる森の人妻 @sakko_o 2015年6月11日
きのこの標本…(それだけでお気に入りにするやつ)
牛研 @gyukankin 2015年6月11日
脱酸素剤はノーチェックでした。今度ためしてみます。ありがとうございました。
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