『スタジオの音が聴こえる』に参考文献を付けて欲しかった、という声を頂いたのですが、基本、自分の足で取材した一次情報はないに等しいので、参考資料を挙げていくと、たぶん、本文テキストと同じくらいの量になっちゃうんですよね。
2015-06-10 06:08:39近くにある参考文献っぽい本は、こんなところだったりしますが。 pic.twitter.com/fbJkDkFnve
2015-06-10 06:11:04でも、書籍はそんなに参考にしていないです。連載原稿を書いていたのは2009年〜2013年。写真のグリン・ジョンズ本とか、レッキング・クルー本とか、出てないですし。フィル・ラモーンのA&Rスタジオは訃報を聞いて、急遽書いたので、本からはたぶん何も拾ってない。
2015-06-10 06:15:18単行本化にあたって、書き下ろした60〜70年代インディペンデント・スタジオに関する文章は、この『Chasing Sound』なんかに同じような考察があったりしますが、見つけたのは脱稿後だったり。 amazon.co.jp/gp/product/142…
2015-06-10 06:19:37実際のところ、「このアルバムはどこどこ録音」ということですら、情報の扱いは難しい。『スタジオの音が聴こえる』のシグマ・サウンドの章には、アーチー・ベル&ザ・ドレルズの「アイ・キャント・ストップ・ダンシング」が出てくるが、日本盤ライナーにはこれはシグマ録音と書いてある。
2015-06-10 07:55:38Wikipediaを見ても、やはりシグマ・サウンド録音と書いてある。だが、ギャンブル&ハフの本にはNYのアトランティック・スタジオで録音したと書いてある。その録音時にはシグマはまだオープン直前だったぽい。でも、『スタジオの音が聴こえる』でアトランティック録音と書いた決め手は…
2015-06-10 07:58:19…ネットのとある掲示板で、ミュージシャンの一人のボビー・イーライだったかが、その当日の朝、ニューヨークに向かう時の話をしているのを見かけたからだった。
2015-06-10 07:59:59『スタジオの音が聴こえる』の各章は4000字程度の各スタジオについてのコラムに過ぎない。で、スタジオに関する情報というのは、公式のものが限られているから、この曲はギャンブル&ハフ一行がアトランティックに行って録音と判断するだけでも、こんな複数の情報から僕の推論を出している。
2015-06-10 08:07:11その情報入手先を列挙していったら、4000字のコラムと同じくらいの字数を要してしまう。本は学術書ではなく、エンターテインメント本であり、僕のリスニング体験に基づいたコラムを書いていったつもりだから、そうした情報参照先については載せていない。載せたら、本の価格も上がってしまうし。
2015-06-10 08:11:43上記発言は下記「コレクション」の中での連続ツイート。参考文献をつけるつけないの話から、情報の「事実性」が批評行為の優劣の基礎付けにどこまでなりえるか?みたいな議論になるはずだったであろうやりとり。
↓上記「Wikipediaを見ても、やはりシグマ・サウンド録音と~」から「その情報入手を列挙していったら~」までをRTして
今RTした健太郎さんのツイートが読めてよかった。『スタジオの音が聴こえる』を読んでてすごく気になったのは、これらの情報をどうやって正確なものであると判断しているんだろうというものだったんですよね。実際録音に、誰がどういう形で関わっているかを正確に判断するのって難しい。
2015-06-11 00:07:25誰がどうやってだけでなく、場所も。『ポストロック・ディスク・ガイド』でレビューを書いたときも、エンジニアが録音にどのように関わっているのか書くとき、色んなサイトやら当時のインタビューやら色々調べたりしたけど、判別できず書くのを断念したものがいくつかあった。情報がバラバラ。
2015-06-11 00:10:21だから健太郎さんにはそのへんの判断をどのようにしたのかいつかお伺いしようと思っていたのだけど、やはりケースバイケースで複雑なプロセスを経て判断されたんだなと。労作だなー。
2015-06-11 00:11:33@lovesydbarrett いや、どこまで事実性が担保されているかといえば、かなり怪しいですよ。でも、そこで止まってもつまらないでしょ。例えば、ブルーズ研究の本なんて物凄い数が出ていて、いろいろ違うことが書いてある。そういう考古学的なもので良いんじゃないかと。
2015-06-11 00:21:37@kentarotakahash ああ、なるほどです。なんだかストンときました。それぞれ事実か怪しいところがあっても、その一つの解釈は歴史の厚みになって、物語を紡ぎだすと。それは別の物語への呼び水となるかもしれませんしね。なんだか不思議な本で、色々と考えさせられます。
2015-06-11 00:28:28@kentarotakahash 健太郎さんの耳の物語にもなっているので、歴史解釈とパーソナルなものが密に絡み合っていてスリリングです。。たぶんそのへんが、この本の不思議なフィーリングの原因かなと。いや、深夜にすみません!ちょっと色々考えさせられてしまってwすごい本です。。
2015-06-11 00:33:34@lovesydbarrett そうそう、後の人がより正確な史実を解明するかもしれないけど、先行研究がないとそこまで進まなかったりもするでしょう。かつ、研究とか言っても、レコードに関するウンチクなんて、エンターテインメントの一部なんだし、間違い探しもまたエンタメ。
2015-06-11 00:35:31@kentarotakahash 研究というのはそうやって受け継がれ発展してゆくものなので、当たり前のことではあるのですが、今回それを痛感しました。大切なことを学んだ気持ちです、ありがとうございます。
2015-06-11 00:38:49@lovesydbarrett その音楽がどうしてそこに、その形であるのかっていうのは、解けない謎な訳じゃないですか。クレジット的なことの解明なんて、その入り口も入り口で。その先の迷宮は耳でしか探れないし、結局は何も解けてなくて、妄想膨らませただけに過ぎないかもしれないけど…
2015-06-11 00:46:28