Cs137の環境半減期

再摂取がない条件で生物体内でのCs137の減衰を考えるには物理的半減期とあわせて生物学的半減期を使いますが、再摂取や流入がありうる自然環境中でのCs137の減衰を考えるには物理学的半減期とあわせて環境半減期を使います。 1/生物体内での実効半減期=(1/物理的半減期 + 1/生物学的半減期) 1/自然環境中での実効半減期=(1/物理的半減期 + 1/環境半減期) 続きを読む
69

<言葉の意味の整理>
まとめ公開後に以下のご教示をいただきましたので、タイトルを「Cs137の生態的半減期」から「Cs137の環境半減期」に修正しました。まとめ本編に収録したツイート中の「生態的半減期」は「環境半減期」に読み替えてご覧ください。

ryoko @Ryoko_is

読み間違い・誤訳で騒ぎになるというのもけっこう繰り返し起きてるよね .@parasite2006 さんの「Cs137の生態的半減期」をお気に入りにしました。 togetter.com/li/835395

2015-06-17 09:30:50
buvery @buvery

@Ryoko_is @parasite2006 (英語の問題ですが、ecological half life を 生態的半減期と訳すより、環境半減期とした方がわかりよいと思います。)

2015-06-18 09:58:49
nao @parasite2006

@buvery @Ryoko_is 有難うございます。IAEAのこの資料bit.ly/1TvhL5Z のp.7の定義によれば生物学的半減期(biological half-life)とは追加摂取がない状態での生物における物質移動による半減期、生態的半減期(続く)

2015-06-18 10:02:50

(↑引用の資料はIAEA Technical Report 472 "Handbook of Parameter Values for the Prediction of Radionuclide Transfer in Terrestrial and Freshwater Environments" (2010) といい、全文のPDFファイルが訂正とともにここhttp://bit.ly/1RbZ97e に公開されています)

nao @parasite2006

@buvery @Ryoko_is (続き)(ecological half-life)とは追加摂取がある状況での生物(自然環境における野生動植物)における物質移動による半減期とあるのですが、水や土壌のような無生物からの物質移動による半減期は環境半減期で大丈夫なのですね?

2015-06-18 10:07:01
nao @parasite2006

@buvery @Ryoko_is (別の所で環境半減期というのは生態系や食物連鎖の中の半減期という説明を見たのですが、この場合関係する複数種の生物種の生態的半減期のうち一番長いものをとるのか、それとも個体数をかけて全体の量の半減期を実際に求めるのかと考え込んでいます)

2015-06-18 10:12:42
buvery @buvery

@parasite2006 @Ryoko_is これですが、Ivanovらの元論文では、ecological half life を The time during which half of the activity of the radionuclide is

2015-06-18 17:39:19
buvery @buvery

@parasite2006 @Ryoko_is removed from the soil layer, without taking into account its physical decay. と言っていますから、『物理的減衰』以外のものすべて、です。

2015-06-18 17:40:22
buvery @buvery

@parasite2006 @Ryoko_is だから、IAEAの定義に関わらず、途中に動植物が関与しているかに関わらず、『物理的崩壊によるもの以外残り全部の減衰』のことだから、結局『環境半減期』でよいと思います。

2015-06-18 17:41:44
nao @parasite2006

@buvery @Ryoko_is 重ねてお礼申し上げます。おかげさまで確信を持って「生態的半減期」を「環境半減期」に置き替えることができます。

2015-06-18 18:01:28
nao @parasite2006

@buvery @Ryoko_is おとといこういう説明bit.ly/1fiUZ1B bit.ly/1fiV9pD を受けて、この原著者の言葉の使い方はよほど変わっているのだろうか、それともこの分野ではこういう言葉使いをするのかと悩んでいました。

2015-06-18 18:06:18
buvery @buvery

@parasite2006 @Ryoko_is 書いているのがロシア人で、英語は外国語なので、ecological もenvironmental も似たようなつもりなんだと思います。

2015-06-18 18:11:49
nao @parasite2006

@buvery ありがとうございます、これですっきりいたしました。

2015-06-18 18:12:47
buvery @buvery

@parasite2006 @Ryoko_is 生態学的半減期の説明をした人は、『環境の中での動物の集団での半減期』というIAEAの使い方です。それは、それでよいのじゃないでしょうか。ま、ここの話は特定の動物の集団の話じゃないので、無関係です。

2015-06-18 18:12:49

本編ここから

発端

Wadanhyll Aethelwine @WadeAthel

アメリカエネルギー省のデータベースに有名な論文が出てる。 一般的に言われてる放射性物質の半減期は単なる計算値で、実測値とは別。 Cs-137の実際の半減期は180年から320年と言ってるね osti.gov/scitech/biblio… pic.twitter.com/jFz9lrFLbY

2015-06-15 04:04:13
拡大
拡大

これはウクライナと米国の共同研究結果で、2009年に米国化学会発行の雑誌Environmental Sciences and Technologyに投稿された論文の原稿です(この雑誌のホームページで著者名で検索してもヒットしないのは、これが実際には学会のポスター発表の要旨として提出されたものだったためとわかりました。おそらく要旨集として特別号を発行して載せたものと思われます)。
チェルノブイリ事故後の1986年中に原発から4-60 kmの範囲に全部で11カ所の測定点を設けて(残念ながら測定点の位置を表示した地図はありません)土壌中の放射性物質濃度を事故の21.3年後まで繰り返し測定して垂直方向の分布の時間変化を調べ、地表から5 cmまでの土壌層中のCs137とSr90の濃度の環境半減期を求めています。320年というのは測定点ごとに算出されたCs137の環境半減期のうち最大の値です。

解説その1

あ〜る菊池誠(反緊縮)公式 @kikumaco

@hyd3nekosuki ecological half time が物理的半減期より数倍長いと言ってるだけですよね

2015-06-16 08:54:10

論文原稿の3ページ目の脚注に環境半減期=ecological half-timeの説明があります。
"The time during which half of the activity of the radionuclide is removed from the soil layer, without taking into account its physical decay."
「物理的崩壊を考慮しない場合、放射性核種の活性の半分が土壌層から除かれるのにかかる時間」

あ〜る菊池誠(反緊縮)公式 @kikumaco

@hyd3nekosuki 生物学的半減期と同様の概念だし、今さらCs137の物理的半減期が大きく変わることなどありえないと分かりそうなものですが

2015-06-16 09:07:59

再摂取がない条件で生物体内でのCs137の減衰を考えるには物理的半減期とあわせて生物学的半減期を使いますが、再摂取や流入がありうる自然環境中でのCs137の減衰を考えるには物理学的半減期とあわせて環境半減期を使います。

1/生物体内での実効半減期=(1/物理的半減期 + 1/生物学的半減期)
1/自然環境中での実効半減期=(1/物理的半減期 + 1/環境半減期)

物理的半減期が原子核の崩壊がどのくらい頻繁に起こるかを表すのに対し、生物学的半減期や環境半減期は物質の移動の速さを表し、同じ元素なら異なる同位体でも(放射性の有無を問わず)共通です。

1 ・・ 5 次へ