議論における2つの反論方法-主張型と論証型
しかし紹介がてらに改めて『反論の技術』を読んでいると、やはりまだまだ私はダメだなと気付かされる。もう一回読んでちゃんと日頃から意識しないとな。
2015-06-17 23:33:44反論には「主張型反論」と「論証型反論」の二つがあって、これは意識して使い分けた方が良い。 まあ、例を出すべきか。たとえば「日本経済のために原発を推進するべきだ」に対して、こちらが原発反対側で争いたいとしよう。
2015-06-17 23:37:00「主張型反論」の場合、極端な話をすると、相手の言論を読まなくてもいい。たとえば「深刻な健康被害が出る恐れがあるため、原発は廃止するべきだ」のように反論する。反対の主張をするのがメインで、根拠はなにかありさえすれば良い。ここでは「健康被害」が根拠になっている。
2015-06-17 23:39:11一方「論証型反論」の場合はこうはならない。相手の言論の根拠を何らかの形で崩すことが求められる。たとえば「~~という理由から、原発は日本経済のためにならない。よってあなたの主張である原発推進は成立しない」などと述べなければならない。
2015-06-17 23:42:10むろんどちらも一長一短あるのだが、「主張型反論」で議論をすると、話が並行線で終わってしまうことが多い。「経済と健康被害どちらを優先するべきか」という価値信念の対立問題に回収されてしまい、「ああ、価値観の違いですね」に帰着してしまうのである。
2015-06-17 23:44:04だが「論証型反論」では、反論内容が正しければ相手は「価値観の違い」などと言って逃げられない。「日本経済のために原発を推進する」と主張する人は、「原発が日本経済のためにならないこと」が証明されると完全に主張の根拠を失い、撤退せざるを得なくなる。
2015-06-17 23:45:50ドラクエでたとえると、主張型反論は「こんぼう」で、「だいたい常に一定ダメージが期待できるが、一発で殺すところまではいけない」。論証型反論は「どくばり」で「なかなか当たらないが、当たると必殺」という感じだろうか。
2015-06-17 23:51:25とりあえず何かに反論したくなったら、まずは「論証型反論」を目指してみると良い。よく相手の言うことを読まねばならんし、事実関係を崩そうと思ったら調べることも必要になる。主張型反論ばかりしていると、こういう努力を怠って「自分が言いたいことだけ言って終わり」になりやすい。
2015-06-18 00:02:44政治系の議題で収拾がつかなくなるか、あるいは収拾がついても「価値観は人それぞれ」になってしまいやすいのは、基本的にお互いに「主張型反論」ばかりやるからである。
2015-06-18 00:11:29まー、「相手が提示した根拠とルールに沿って、かつ結論を破壊する」ことが求められる「論証型反論」はやってみれば分かるがかなり難しい。易きに流れるのも無理はないというもの。
2015-06-18 00:13:42とはいえ、簡単で雑な主張型反論は、ぶっちゃけ開き直ってしまえば喰らっても痛くも痒くもない。「いや別に俺はそのルールでやらないし」の一言で済まされてしまう。
2015-06-18 00:21:00たとえば「お前、その発言は不愉快だからやめろ」という最も簡単で雑な主張型反論は、論理としては「ある発言が私を不愉快にするものであった場合、あなたはそれを撤回する義務がある」ということだが、これに対しては「いや、私は別にあなたを不愉快にしない義務など負ってない」で終わる。
2015-06-18 00:23:51なお、今回は全般的に非常に単純化していることにご留意いただきたい。実際の議論はもっと複雑だ。たとえば「不愉快にしない義務」もモノによっては法律に明記されていて、現実に存在する。根拠も複数があるのが普通だし、「すべて完全に潰し切る」のは難しい。
2015-06-18 08:27:36さらに「現実に相対して行う議論」となると、別物である。相手の意見に対し完璧な論証型反論が出来るとしても、それは相手の面子を完全に潰すということであり、やるなら言い方や表情、仕草などに配慮を要する。
2015-06-18 08:31:01また偉そうに言っておいて、私が完璧に出来ているかというと、最初に述べた通り、出来ていない。ただ意識しているなら少しずつ改善していけるのではないかと思う。
2015-06-18 08:33:28