樹齢18年の笹が本丸に赴任しました

植物 @sunnyway_bamboo

正直なところを言いますとですね、審神者になって人間の常識を噛みしめるまではですね、人間のつける花飾りは、「彼女募集中」や「発情期です」のサインだと思っていたのですよ。 植物にとって花とは生殖器ですからね。故に歌仙兼定のアレは「女ァ！！！花粉付けさせろやぁ！」に見えていたのですよ。

植物 @sunnyway_bamboo

花とは植物の生殖器故、花飾りはお相手募集のサインだと長らく勘違いしておりました。 歌仙兼定は文化人らしく堂々と巨大な生殖器を胸元に付けてそういったアピールをしていたのかとばかり…違ったのですよねえ

植物 @sunnyway_bamboo

除草剤かけんぞ！と言われたことがあるのですがね、この植物は笹であります故、表面的にかけられた除草剤如きでは死にません。 もっといえば、笹故、一つでちょっとしたエリア一帯を占拠しているのです。 隣に生えてる奴？ええ、それも私の一部であります。といった風に。 我こそは我にして我らなり

植物 @sunnyway_bamboo

審神者に就任できたのは本当に奇跡でしたよ。一生懸命生きるために身につけた地下茎をテロだ何だと言ってくる人間はひどいとかこぼしていたらですね、時の政府所属の神職がそれを聞いたのですよ。 ええ、植物の言葉がわかる時点でわかりましたよ。いい血筋の方だと。 政府の持つ人員はすごいですね。

植物 @sunnyway_bamboo

不肖この植物、ご神木のたぐいではありませぬが、樹齢１８年ほどの笹となれば一角のエリア持ちです。 そのうちドリアードにでもなれそうなものでして、人とそう変わらん意識を持っております。 人にはよく疎まれて切られましたが、笹の成長力はその程度で阻めるものではありませんでしたし。

植物 @sunnyway_bamboo

たけのこの頃の皮がしっかりついておりますでしょう。これが笹たる証です。 ああ、話が逸れましたな。 要するに霊力を持つ程度には樹齢を重ねた笹でした故、審神者の適性もありました。そこに目をつけられまして、この植物の言葉を解す神職さんを通訳に手続きをし、本丸を任されたのです。

植物 @sunnyway_bamboo

この植物が顕現させた刀剣なれば、繋がりがあります故、植物が念を送るという形で意思の疎通が可能なのです。初期刀の陸奥守吉行はよく話しかけに来てくれますな。 が、はたから見れば庭の一角に一方的に話し続けている刀剣男士です。 そう、強制手入れ待ったなしの構図ですな。

植物 @sunnyway_bamboo

演練には身の一部を切り離して鉢植えに入れた、ポータブル植物を刀剣に持っていかせております。 本丸の庭に植えてあるこの植物とスカイプで繋がっている状態のノートパソコンを運搬させているようなものですな。 無論会場でもうちの刀剣は怪訝な顔ばかりされます。植木に話しかけているのですからな

植物 @sunnyway_bamboo

チュートリアルで鍛刀した前田藤四郎はよく虫を落としたりしてくれます。 甲斐甲斐しく世話してくれるのは可愛らしいですな。 心配せずともこの植物はずっと野で自分の力だけで生きてきたのですからそこまでの世話などいりませんと伝えました所、お付の役目をしたいのだと真摯に訴えられました…

植物 @sunnyway_bamboo

やはり人間に付きたかったのでしょうね… 植物が主となればお付の仕事は畑仕事の中期のような、虫落としばかりになってしまいますからね… この本丸は、彼にはお世辞にも嬉しいとは言えない環境となったことでしょう

植物 @sunnyway_bamboo

チュートリアルの終了後、自分で鍛刀してみた時に出たのが燭台切光忠。 彼はどうにもこの植物を上手く受け入れられていないのかもしれませんが、人の気持もよくわからないこの植物に、その道具であった刀のそれなぞどうして把握できましょうか。

植物 @sunnyway_bamboo

「君にとっての格好いいって、どういうものなんだろう」 あの太刀はこれをどういった意図で聞いてきたのでしょうか。不肖植物には理解ができませんでした。どんな答えを期待されていたのか、考えても無駄と思いまして。 「曲がらずまっすぐ立っていられること」 と、とても私的な返答をいたしました

植物 @sunnyway_bamboo

真っ直ぐに長く伸びられるのは、エリアを掌握する木の才覚ですから。 高く伸びて他の木よりも多く日をあびられる。生命力の強さは我々には一番です故、その基準でもって答えるしかありませんでした。 彼はこの植物に何が聞きたかったのでしょうか。

植物 @sunnyway_bamboo

彼の言う「格好いい」は刀の持つ美術的価値と実用性の均衡でしょうか。それとも自分を使い、守った、「人間」に近づき、その人間の中での完璧さの追求なのでしょうか。 後者だとしたらこの植物は彼の美学を追求することにどう協力できましょう。そもそも人ではないのですから。

植物 @sunnyway_bamboo

とにもかくにも、少ない資材でもって次に何ができようかと考え、刀装をオール50で3つほど作りました。 特上騎兵を作ってくれたのは嬉しい限りですが、前田藤四郎は自分に装備できるものを作り、己を守って欲しいです。 出陣を見送る際、少しだけ、黒い背広がこちらを向こうとしたのが見えました。

植物 @sunnyway_bamboo

初出陣で真剣必殺を出していながら負けてきた陸奥守吉行を思い出しつつ、帰ってくるのを待ちました。 時間をかけずにすぐに3口の刀は戻ってきたのですが、そこで気づいたのです。 野の笹であった頃は放置されいることが普通でしたが、これからはいつも、言葉を解す相手が関わってくることになるのを

植物 @sunnyway_bamboo

それをこの植物は煩わしく思うことになっていくのでしょうかね。 それとも慣れて、むしろ好ましく思うことになるのでしょうかね。 これからこの本丸にも刀剣が増えていくわけですから。 地下に伸ばした茎を知らずのうちに踏む輩も増えていくのですね… いえ、たけのこは強いですけれど。

植物 @sunnyway_bamboo

だなどと考えている意味がどこにありましょうか。帰ってきた部隊に手入れ部屋へとの指示を出しましたら、軽傷の陸奥守吉行が刀を一口持って来たのですよ。戦力増強として、こいつも目覚めさせてくれと。 これが今剣、竹林が足場に見えている短刀との出会いでした。

植物 @sunnyway_bamboo

あの天狗もどきの短刀は自己紹介するやいなや、この植物の葉を掴み 「たけじゃあなかったんですね。てんぐのすみかにはなったことがなさそうです」 だなんて。 値踏みをされたのでしょうか？

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何か言い返そうかと思っていました所、しれっと飛び上がってこの植物のうちの一本の幹に飛びのり、大きくしならせては別の幹に飛び乗りと… 今まで人間にそんな扱いをされたことがありませんでした故、この短刀は何のつもりでそんなことをしているのかわかりませなんだ

植物 @sunnyway_bamboo

「ほかのかたなはていれべやか、きずをおってやすんでいるか。たいくつですので、あそばせてもらってます。あるじさまはしなやかでかたくてとってもいいきですね！」 許可の一つもとらないのでしょうかと思いましたが、そもそも竹科は彼の足場でしか無く、精霊としての格は植物が下でしたね。

植物 @sunnyway_bamboo

「ささでありながらぼくたちのあるじになれるのは、すごいことだとおもいます。みてのとおり、ぼくはとんだりはねたりするのがとくいですから、いくさでたくさんあるじさまのやくにたちますよ！」 ディスプレイ…人間で言う自己アピールも兼ねていたのでしょうかね。

植物 @sunnyway_bamboo

戦果をあげれば沢山遊ばせてあげると言っておきました。2205年まで18年領域を広げ続けて生きておりましたが、足場にされて飛び回られたことは一度もありませんでした故不慣れどころではないのです。 今剣はあまり気にした様子もなく「はーい！」と可愛らしく返事をしていました。

植物 @sunnyway_bamboo

けれど、直後に魂のまだ未熟な竹やぶで遊びはじめたので、あの短刀の評価はそのままにしておきました。 あとできいたのですが、樹齢を重ねた竹や笹は飛び心地が格別だそうなので、この植物が遊んでやるのはなによりも嬉しいそうです。 植物としてみれば遊ばれているだけなのですが

植物 @sunnyway_bamboo

植物は部隊の傷が癒えるやいなや戦場へ送り続けました。軽傷は基本的に無傷とみなしておりました。植物には彼らの傷の程度がかれらにとってどんなものか、わからなかったのです。なにせ痛みをよくわからないものでして… 本丸は、うめき声ばかりが響く場所に成ってしまいました