【ロボ娘】死んだ世界を旅するモノ【ポストアポカリプス】

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

カプセルから「生まれた」ロボ娘が、かつて人間が起こした戦争の痕跡を追いかけて廃墟と化した地上を探索するポストアポカリプスなRPGとか。

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「私は暖かさを知らない。知っているのは、核の冬で凍てついた大地。私は仲間を知らない。知っているのは、永遠の孤独。私は青空を知らない。知っているのは、重く閉ざされた灰色の空。それらは記憶媒体では見たことはある。けれどそれは過去の幻影だ」

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「私の『祖先』たちは、パーツの故障とともに『死んで』いったという。しかし、私の身体にはナノマシンが入っていて、故障したパーツの自己修復を行っている。大きく破損すれば追いつかないらしいが、私しか居ないし、自分を傷つけることも出来ないから、その心配もいらない」

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「記憶媒体がいっぱいになると、私は『家』に連絡をする。記憶を移し替えるのだ。もっとも、送信した記憶がちゃんと届いて、残されているのかどうか定かではない。もう『忘れる』くらい、家には帰っていない」

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「私は何のために残されたのだろう。そう思うことがある。＜観測されなくなった世界は存在しないも同然＞。誰かがそう言っていたのを思い出す。私は世界を存在させるために存在しているのだろうか。とすれば、私がいなくなれば、この世界もなくなるのだろうか。ゲームの電源を切るように」

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「太陽の光。青い空。白い雲。ここにはそれがある。存在しない世界、サーバーの中の世界、人間が逃げ込んだ世界。けれど私は知っている。それらは本当は存在しない、エミュレートしたものでしかないと。だから少しだけ『悲しく』なって、私はログアウトするのだ」

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「この世界も、もうすぐ駄目になるらしい。人はバグってるし、真っ赤な雨が降っている。極彩色の空に、モノクロの虹がかかっている。サーバーの修理ができればいいのだけれど、それらは鋼鉄の扉の向こう側にあって、開けることは出来ない。さながら、棺桶といったところだろうか」

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「あちこちにある量子サーバーに接続して様子を見たり、冷えきって死んでしまった世界を旅したり、ときどき物思いにふけったり。そうして、私の毎日は過ぎていきます。もっとも、昼も夜も大して変わらないのだけれど」

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「雲の向こう側に、今でも星空はあるのだろうか。もしかしたら、閉ざされたこの世界の向こう側には、もう何もないのかもしれない、そう思うことがある」

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「今日は……珍しいものを見ました。落下したと思われる空中都市の残骸。かなり大きい。もしかしたら、新しいアーカイブがあるかも……そう思って、私は中に足を踏み入れました。そこにあったのは……おびただしい量の白骨。手を合わせると、私はその場を去りました」

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「後から知りましたが……あれは死んだ人を収容するユニットだったようです。それが都市を離れ、さまよううちに、地上に落ちた。死体になってようやく、地上に帰ってこれた……そういうことのようです」

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「海は凍っているけれど……あまり、歩きたくはありません。クレバスに飲み込まれたら、救援を期待することも出来ませんから。危険は避けるに限ります」

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「空に人間が移り住んだのと同じ頃、地下深くに居住区を作って、核の冬をやり過ごそうとした人間もいたらしい、と聞いたことがあります。実際、いくつかの痕跡を見つけました。けれど、無事なものはひとつとしてありませんでした」

かげひと(ΦωΦ) @KGHT_2

ロボ娘「旅を人生に例えた人間が居る、とアーカイブで知りました。だとすれば、私の一人っきりの旅路は、何に例えられるのでしょうか？」