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【深夜0時の小説ラジオ】「改正」 高橋源一郎氏

作家の高橋源一郎氏( @takagengen )による、東京都改正青少年育成条例に関する連続ツイートです。自分自身のためにまとめました。
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高橋源一郎 @takagengen

午前0時の小説ラジオ・本日の予告編1・久しぶりですね、「小説ラジオ」。今日は、「東京都青少年保護育成条例『改正』案」についてツイートする予定です。この件については、いままでほとんどなにもツイートしませんでした。その理由も含めて、今晩、やってみたいと思っています。

2010-12-28 23:24:38
高橋源一郎 @takagengen

本日の予告編2・ちなみに、今日は、「ぼく」や「わたし」ではなく、「おれ」がツイートします。その理由もまた、後でお知らせします。では、みなさん。あと三十分ほど後、午前0時にお会いしましょう。

2010-12-28 23:27:27
高橋源一郎 @takagengen

「午前0時の小説ラジオ」・「東京都青少年の健全な育成に関する条例」なんかで青少年が健全に育成できると思ってんのかよ・1……「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の「改正」案……って長すぎるだろ、これ……が都議会で可決、成立した。みなさんは、どのような感想を持たれただろうか。

2010-12-29 00:00:09
高橋源一郎 @takagengen

「改正」2…おれはもちろん「改正」案には反対なんだが、その論拠は、多くの反対者のそれとは、少々異なるかもしれない。おれが、この件に関してほとんどツイートしなかった理由はそれだ。そもそもおれは、今回の「改正」案にだけ反対なのではない。20年前の「有害」コミック指定にも反対だった。

2010-12-29 00:02:39
高橋源一郎 @takagengen

「改正」3・いや、「改正」前の「条例」にも反対だ。というか、ポルノチックなものを(だけではないが)取り締まるあらゆる試みに反対だからだ。そういうと、おれは「表現の自由」を守るために、反対していると思われるかもしれない。もちろん、おれは、他人の「表現の自由」は守るべきだと考える。

2010-12-29 00:05:14
高橋源一郎 @takagengen

「改正」4・だが、おれ自身に関してはあまり「表現の自由」を主張しようとは思わない。おれは書きたいものを書く。規制したいやつがいたら勝手にするがいい。おれはあらゆる手段を駆使して、ひとりでもやる。それだけだ。

2010-12-29 00:07:51
高橋源一郎 @takagengen

「改正」5・この問題に関して、常套句のようにいわれる言葉がある。「あなたは、こんな作品を子どもに見せられますか?」。バカいうな。「こんな作品」はおれたちが見せるものじゃなくて、子どもが勝手に見るものだろう。いや、おれは、「こんな作品」を子どもたちにぜひ見てもらいたいと思っている。

2010-12-29 00:10:13
高橋源一郎 @takagengen

「改正」6・おれの立場はこうだ。「青少年の健全な育成」のために、ポルノチックな作品を読むことは絶対に必要不可欠だ。おれは、4歳と6歳の子どもを育てている父親として、そう断言する。そのようなおれの意見が、圧倒的な「公共性」を持つかどうかは、おれにも判然としない。

2010-12-29 00:13:09
高橋源一郎 @takagengen

「改正」7・一つの「意見」が「公共性」を有するには、平準化が必要だ。そのためには、他人の意見や感想に合わせなければならない。その重要性をよくわかりつつ、それでも、おれは、おれの「肉体」を通して正しいと思える思想を捨てるわけにはいかないと考える。そもそも、おれはいい子じゃないし。

2010-12-29 00:16:14
高橋源一郎 @takagengen

「改正」8・たとえば、「児童ポルノ」はさすがにまずいと、「改正」案に反対する人間も思うかもしれない。おれは、どれほど醜悪な作品、最低の作品もまた同じように必要だと考える人間だ。そういった劣悪な作品は、子どもに悪影響を与えるのか? ここからは、おれの個人的に体験について書いてみる。

2010-12-29 00:19:21
高橋源一郎 @takagengen

「改正」9・おれが生まれて初めて「極悪ポルノ」にぶつかったのは、小学校2年の時だ。おれは父親が隠していた「看護婦レイプ小説(挿絵入り)」と「近親相姦少女レイプ小説(挿絵入り)」を発見したのだ。正直、天地が裂けるほどの衝撃を受けたね。よく意味はわからなかったが、ヤバイと思った。

2010-12-29 00:22:02
高橋源一郎 @takagengen

「改正」10・まだ幼い性欲がいたずらに刺激されたのも事実だった。それまで、一重だった世界が二重に見えた。おれがそれを読んだことは絶対に誰にもいってはならない「秘密」だった。そう、おれは「秘密」を知ったのだ。そして、おれは、しばらくして、小説や文学と呼ばれるものを読むようになった。

2010-12-29 00:24:15
高橋源一郎 @takagengen

「改正」11・そこでいったい何が起きたのか。おれの考えでは、「光と闇の分離」が起こったのである。劣悪な作品、ポルノチックな作品は、「罪」であり「闇」であり「毒」なのかもしれない。では、「闇」は不要で、危険なものなのか? 断じて違う。「闇」はなくてはならないものだ。

2010-12-29 00:26:53
高橋源一郎 @takagengen

「改正」12・「闇」がなければ、誰も、光り輝く世界を知りようがないのだから。最初のうちは、誰も「闇」を知らない。「闇」を知らないということは、「光」を知らないということだ。おれは、子どもたちに「光」と「闇」の世界があることを知ってもらいたい。そのために、ポルノは必要不可欠なのだ。

2010-12-29 00:30:21
高橋源一郎 @takagengen

「改正」13・おれが、そういうと、「あなたは、自分の子どもにポルノを見せるのか」というアホがいることは書いた。見せねえよ、そんなもの。おれは、家では断固としてゾーニングをする。ポルノチックなものは追放する。もし、子どもが持っているのを見つけたら、取り上げる。

2010-12-29 00:32:03
高橋源一郎 @takagengen

「改正」14・子どもが「なんで、ダメなの?」と訊ねたら、「まだ早い!」でお終い。、子どもは不満を感じるだろう。それでいいのだ。後は自分で探せばいいのである。家庭でゾーニング、学校でゾーニング、それで十分じゃねえか。彼らは数少ない時間と、狭い空間をぬって怪しいものを見つけるだろう。

2010-12-29 00:34:40
高橋源一郎 @takagengen

「改正」15・ポルノや暴力が子どもたちに悪影響を与えると信じるやつがたくさんいる。おれの考えでは、そいつらは、自分がきわめてポルノチックな人間なので、他人もそうなるに違いないと思い込んでいるのである。はっきりいって、それ、ビョーキですから。医者に行った方がいいと思うぜ。

2010-12-29 00:37:21
高橋源一郎 @takagengen

「改正」16・そいつらは、子どもを信じていないのである。子どもの能力についてなにも知らないのだ。おれは、そういう人間こそ、青少年の「健全な育成」に害をなしていると思うね。もちろん、ポルノチックなもの、「闇」は危険だ。成長を促すだけではなく、取り込み、破滅させることもあるだろう。

2010-12-29 00:40:24
高橋源一郎 @takagengen

「改正」17・それがこわい、というなら、子どもたちになにも見せるな。あらゆる文化は、光と闇でセットになっているのだ。危険なものばかりじゃないか。テレビも本もみんな奪い、部屋に閉じ込め、オナニーできないように、後ろ手錠にでもしておくことだ。彼らのほんとうの希望は、それなのだ。

2010-12-29 00:42:34
高橋源一郎 @takagengen

「改正」18・「性的」なものが青少年に害毒を与える、という意見が、如何に現実離れとした妄想であるかを膨大な資料で立証した『青少年に有害! 子どもの「性」に怯える社会』の中で、著者は、こんなことを書いている。「放送電波から情報やセックスが消え去ることなどありそうもない…」

2010-12-29 00:45:24
高橋源一郎 @takagengen

「改正」19・「…どんな法律も、インターネット用のどんなフィルターも、どれほど用心深い両親も、二歳を超えた子どもの目に触れるまえに、すべてのページ、すべての画素に注意を払うことはできない。高校の新入生ローラ・メギヴァーンは、こうした方法で子どもを『守る』べきで、それが可能だと…」

2010-12-29 00:47:13
高橋源一郎 @takagengen

「改正」20・…考えている親たちに向かって鋭い、哀れむような調子で語りかけた。地元ヴァーモントの新聞にこう書いたのだ。『あなたがたが興味を持ちそうな物を知っています。鍵のかかるクローゼットです』--子どもをそこに押しこめておけばいいというのである。子どもがメディアを利用するとき…

2010-12-29 00:49:24
高橋源一郎 @takagengen

「改正」21・「…ローラが考えている以上に、大人は影響力を持つことができる。しかし、検閲は保護ではないという点で、彼女は正しい。それよりも大人は、性の世界に進む子どもに戦う機会を与えるために、正確で現実的な情報と、愛とセックスをめぐる豊穣なイメージと物語で、その世界をいっぱいに」

2010-12-29 00:51:26
高橋源一郎 @takagengen

「改正」22・「…してやらなければならない」。必要なのは、規制することではない。性の「闇」が横溢するなら、それに抗する、豊かな世界を与えることが、彼らをサポートする最大の力なのだ。だが、やつらは、「規制」するだけで、なにも与えようとはしないのである。なぜって? バカだからだよ!

2010-12-29 00:53:09
高橋源一郎 @takagengen

「改正」23・これで、まだ半分ぐらいだね。ゆるゆる行こう。おれが、今回の「改正」案反対側に明確に立たなかったのは、いままでツイートしたように、そもそも、考え方が違っているからだ。だが、もう一つ理由がある。おれは、「改正」案への反対側の人たちが、少々紳士的すぎると感じているからだ。

2010-12-29 00:55:26
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