これを読んでからもう一度原発問題を考えてみよう!「日本の原発存廃をめぐる議論がややこしいのは・・・」烏賀陽弘道 @hirougaya

3
烏賀陽 弘道 @hirougaya

1)日本の原発存廃をめぐる議論がややこしいのは、原発はエネルギー問題を超えた外交、特に安全保障問題の一角であるという点だ。

2015-06-25 22:02:55
烏賀陽 弘道 @hirougaya

1)日本の原発存廃をめぐる議論がややこしいのは、原発はエネルギー問題を超えた外交、特に安全保障問題の一角であるという点だ。

2015-06-25 22:02:55
烏賀陽 弘道 @hirougaya

2)日本への原発導入が始まった1950年代は東西冷戦が燃え広がった時期(朝鮮戦争の前後)であり、その中でアメリカが西側陣営を構築していく過程だった。アメリカは原子力発電というそれまで軍事機密だった技術を積極的に公開し、移転することで自国に味方する陣営国に「ヒモ」をつけていった。

2015-06-25 22:04:09
烏賀陽 弘道 @hirougaya

3)重要な要素はふたつある。A=電力エネルギー供給という一国の基本に自国技術の『ヒモ」をつけることで、その国を自分のヒモつき友好国にする。B=電力供給を安定化して工業化を促すことで「共産主義発生の巣」である「貧困」を追放する。

2015-06-25 22:06:57
烏賀陽 弘道 @hirougaya

4)つまりアメリカにとって原発輸出は友好国陣営構築のための「エネルギー外交」であり「技術移転外交」だった。この意向にもっとも忠実に従った国が日本である。

2015-06-25 22:08:03
烏賀陽 弘道 @hirougaya

5)第二次世界大戦敗北のトラウマから覚めきれない1950年代の日本の指導層(政治家、官僚、学者、マスメディアなど)にとっての至上命題は「世界の潮流に遅れるな」であった。「世界の潮流」とはアメリカの始動する西側陣営の潮流だった。

2015-06-25 22:09:39
烏賀陽 弘道 @hirougaya

6)1950年代の日本のトラウマは「第二次世界大戦で負けたのは科学技術を軽視して精神主義(大和魂、天皇陛下への忠誠など)で勝てると思ったこと」である。その反動で「科学技術の崇拝・過剰な礼賛」が起きた。そのシンボルのひとつが原発だった。

2015-06-25 22:12:00
烏賀陽 弘道 @hirougaya

7)また「日本がエネルギー貧困国であるゆえに、アメリカの石油禁輸措置に追い込まれ、戦争をせざるをえなかった(産油地帯である現インドネシア周辺の占領)」というトラウマも、1950年代の日本の指導層の胸にあった。

2015-06-25 22:14:19
烏賀陽 弘道 @hirougaya

8)この「エネルギー貧困国であるがゆえに戦争に追い込まれた」というトラウマは、現在も日本の政府当局者の「エネルギーの安定供給」というオブセッションになってつながっている。

2015-06-25 22:14:53
烏賀陽 弘道 @hirougaya

10)「原発は事故を起こすと放射能をばらまくから危険だ。廃止せよ」という原発反対者の論は「そんなことはわかっている。しかし、必要なのだ」という推進派の「必要悪」論で一蹴されるだろう。実際、そうなっている。

2015-06-25 22:18:02
烏賀陽 弘道 @hirougaya

11)「原発推進派」と呼ばれる人々の中には、エネルギー供給の観点から原発を必要とする人もいれば、日米同盟のために必要とする人もいる。また経済問題(安定したエネルギー供給は経済運営の基本)として論じる人もいる。つまり「推進派」「存置派」はそうした人々の連合体である。

2015-06-25 22:20:30
烏賀陽 弘道 @hirougaya

12)日米同盟とう外交政策上「ないほうがいいに決まっているが、必要なのでやむをえない」施設のもうひとつの例として「在日米軍基地」がある。よって、外交戦略というビッグピクチャーから見れば「原発」「在日米軍基地」はよく似た従兄弟のような存在として姿を現す

2015-06-25 22:22:34
烏賀陽 弘道 @hirougaya

13)「ないほうがいいに決まっているが、必要だから」と存置している原発と在日米軍基地は「経済的に低開発状態にある僻地に、経済的見返りをエサに受け入れさせる」「首都から離れた辺境に負担を押し付ける」という点がそっくりである。

2015-06-25 22:25:23
烏賀陽 弘道 @hirougaya

14)こうした原発と米軍基地という「必要悪施設」に反対する人にも問題が発生する。「環境問題」や「市民の安全問題」という観点から反対する人々と「日米同盟に反対する」と反対する人々がごちゃごちゃに入り乱れているのだ。両者は目指す政治的ゴールがまったく異なるので、共闘するのが難しい。

2015-06-25 22:28:18
烏賀陽 弘道 @hirougaya

15)同じ原発反対派でも、どうした政治的ゴールから原発存置に反対しているのかよく見分けないと、とんでもない無関係の政治的目標への運動に巻き込まれる。

2015-06-25 22:37:17
烏賀陽 弘道 @hirougaya

16)原発問題を「日米同盟」「安全保障」というビッグ・ピクチャーから見つめてみると、推進・存置に固執している勢力が自民党であることはまったく驚くにあたらない。自民党こそはそうした冷戦期の西側陣営構築期に「反共産主義」「西側陣営入り」だけを党是に結成された、冷戦期の遺物だからだ。

2015-06-25 22:41:15
烏賀陽 弘道 @hirougaya

17)同様の理由で、在日米軍基地の存続に固執する政治勢力が自民党であることも、まったく驚くに値しない。

2015-06-25 22:42:40
烏賀陽 弘道 @hirougaya

18)本来は、1992年に冷戦が完全に終了した時点で、自民党や原発、在日米軍基地を含めた「冷戦時代の遺物」をどう処理するのか「冷戦体制の廃炉処理」を始めるべきだったのだ。しかし、戦後惰眠をむさぼった国民は、それすら気づかないまま20年を浪費した。そして2011年3月11日を迎えた

2015-06-25 22:45:12
烏賀陽 弘道 @hirougaya

18)本来は、1992年に冷戦が完全に終了した時点で、自民党や原発、在日米軍基地を含めた「冷戦時代の遺物」をどう処理するのか「冷戦体制の廃炉処理」を始めるべきだったのだ。しかし、戦後惰眠をむさぼった国民は、それすら気づかないまま20年を浪費した。そして2011年3月11日を迎えた

2015-06-25 22:45:12
烏賀陽 弘道 @hirougaya

19)とりあえずおしまい。

2015-06-25 22:45:24

なるほど!大学の講義みっちり2単位分のダイジェストだわ。