2015年6月28日

山本七平botまとめ/【十五年周期仮説でみる昭和史/昭和における変動⑨】日本社会における高齢者問題は共同体内に隠居制を設けて対応すべし

山本七平『1990年代の日本』/十五年周期仮説でみる昭和史/昭和における変動/維持のための革新/219頁以降より抜粋引用。
山本七平bot @yamamoto7hei

①この日本のような社会においては、やはり日本的な方法を考えなければいけない。 これが、つまり企業が高齢者をどう待遇するかという事になる訳で、この場合、伝統的な方法が一番いいのではないか。 つまり日本には昔″隠居″というものが存在した。では隠居とは何か。<『1990年代の日本』

2015-06-24 18:08:57
山本七平bot @yamamoto7hei

②これは貞永式目のところで記したが、大体、一定年齢以上になると、共同体内の、年功への尊敬はそのままであって、責任と義務も免除される。 そのかわり収入は減る。 共同体内の位置は低下せずにその職務は変わっていく。 ここに″隠居仕事″という言葉があるわけである。

2015-06-24 18:39:01
山本七平bot @yamamoto7hei

③つまり、今日からあの人は隠居である。その人の共同体内における尊敬は変わらないけれども、隠居だから玄関番でもしようかと言っても、これは少しも異常な事ではない。 それが当たり前になる。 それが少しも社会からおかしな目で見られない。 同時に隠居という一つの社会的位置が保証される。

2015-06-24 19:09:01
山本七平bot @yamamoto7hei

④こういうシステムが昔あったわけで、日本のような閉鎖的な社会においては、こういうシステムが生まれて不思議ではない。 この前、東大の村上、公文、佐藤の三先生とこれはどう機能させたらいいのだろうというような話になって、いろいろな意見が出た。

2015-06-24 19:38:57
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤例えば地方自治体は定年退職者以外は採ってはいけない、 何も区役所の窓口に若い人間がいて、一日ポカーンとしている必要はない。 だから職業選択の自由を逆に制限して、こういう職種は定年退職者に必ずあけておかなければいけないとする法律をつくったらどうかという意見もあった訳である。

2015-06-24 20:09:03
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥こういう方法も確かに考えられるが…一番いいのは、今まで属していた共同体内における処遇が一番いいのではないか。 そうなると会社で何らかのそういうシステムを考える。 こうすると老人になっても、定年後も働かなければならない。 それが本人にとって苦痛かというと、決して苦痛ではない。

2015-06-24 20:39:05
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦日本人は、その方がいいのであって、逆にそのときにスパッと仕事がなくなり、同時に属している共同体といっさい縁が切れるというのは大変なショックになる。 だが考えてみれば、これはショックになって当然であろう。

2015-06-24 21:09:00
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧組織だけで共同体が別な社会は構わないが、そうでなくて、日本のように機能集団である組織と共同体が表裏一体になっている社会で、企業をやめる事は同時に共同体から追放される結果になる。 その二つが重なっているのだという事をはっきり意識して、これは共同体的に処理する以外に方法はない。

2015-06-24 21:39:06
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨それをやれば、日本は逆に一番スムースに高齢者問題が処理できるのではないか。 日本の伝統的社会は、常に隠居制がないと成り立たないようになっていた。 その伝統は長かったのだが、明治以降相当に崩れてしまった。 もう一度これを見直していけば、案外いい解決方法があるのではないか。

2015-06-24 22:08:59
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩同時にこれを支えるものとして、日本人の意識が保守化してきた。 たとえば、成績順位よりも恩を採るとか、会社の重要な会議よりも恩人の臨終を大切にするとか、この意識ができてきたことは、逆にいま言ったシステムが、うまく機能するような意識が出てきたのであると見ていいのではないか。

2015-06-24 22:38:59
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪これを行うのは一つの改革だが、この改革がつまり維持のための改革である。 日本は、大体今までそれをやってきたので、今の自分達の生活水準とか、社会全般を維持したいがために、何らかの問題が出てきたら、そこを改革して維持していく。 これをうまくやってきた民族である。

2015-06-24 23:09:06
山本七平bot @yamamoto7hei

⑫エネルギーの転換から、社会システムの転換にいたる、維持のための転換は大変にうまいから、そちらへ方法を探すのが80年代における最も大切な課題だと思う。 これが問題になってくるのは、むしろ90年代に入ってからであろうと思うが、いまのうちに用意をしておく必要があろう。

2015-06-24 23:39:03
山本七平bot @yamamoto7hei

⑬それ以外の点で、危機とか、混迷とか言われているが、そんなに大きな問題があるとは考えられない。 基本さえつかんでおけば、間違いなく80年代を過ごしていける、 そして後から振り返れば75年から90年までは、最も平穏だった期間となるのではないかと思う。

2015-06-25 08:09:01

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