柑橘鎮守府、機帆船夏の日の風物詩

瀬戸内にはたくさんの機帆船が行き来してます。蜜柑舟なんかぐっときますね。http://ailine.jp/eaeuaeyeoeaafafafaf この鎮守府の日常も機帆船は欠かせません。たとえば提督がでかける下駄がわりとか…
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お~い。声が聞こえる、というよりも何か間延びした汽笛である。 「きましたよ、提督。」 一隻の機帆船が軍港の桟橋に接岸する。 #柑橘鎮守府

2015-06-28 22:04:22
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機帆船にも船魂はある。機帆船娘はたいていが小柄なわりに剛力である。「ちわあ、集荷しにきましたあ。」 元気な声が響く。 #柑橘鎮守府

2015-06-28 22:10:21
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「その帆、広げられるのかい?」「失礼ですね!今でもちょくちょく帆走してますよ!」 満帆にすると、へたな競技用クルーザーよりも出ると自慢する。 #柑橘鎮守府

2015-06-28 22:17:46
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そうこう言っているうちに蜜柑箱が船倉に積み込まれていく。え?いま違うもん積み込んでなかったか? 「焼玉と帆走ですからね、寝ぼけたパッシブソナーは楽々スルーです」 #柑橘鎮守府

2015-06-28 22:21:02
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提督がちょこんと飛び乗る。 「おお。遠洋リーファー殿のご乗船、光栄であります!」 ちょいと離れ島の観測哨を視察に行くのに機帆船便乗は便利。 #柑橘鎮守府

2015-06-28 22:26:47
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機帆船は瀬戸内の海をいくつもの小島の間を縫って目的の豊後水道近くまで行く。一応警備と称して漣と朧がついてくる。 しかしどうも二人とも緊張感に欠ける風情 #柑橘鎮守府

2015-06-28 22:32:24
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「漣、なんで水着なの。制服着なさい制服。」 「ええ?大海令でですよう?うちら第七のほかに村雨ちゃんと白露ちゃんも指示出てますけどご主人。」 「そのご主人もやめなさい。というかほんにトンチキな指令しか最近出ないな。」 #柑橘鎮守府

2015-06-28 22:36:05
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かっかっかと機帆船娘の哄笑が波間に響く。 「うちらももうちと暑うなったらトップレスじゃけえ。」 帆を張って傘代わりにするからいいんだそうだ。 いやよくないだろ。 #柑橘鎮守府

2015-06-28 22:40:32
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そういえば機帆船娘は概ね肌がそれほど焼けずにきれいだ。毎度塗粧が行き届いているからだろう。 近くを大型のケミカル船が錆のういた船腹を見せながら通り過ぎて対照的だ。 #柑橘鎮守府

2015-06-28 22:44:16
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目的の島の近くで汽笛を鳴らすと信号弾がぱ~んと上がる。なんだか小学校の運動会の花火っぽくてあまり華々しくない。 見張り員として当番の当たっている木曾が撃たせたのだ。 #柑橘鎮守府

2015-06-28 22:48:28
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着桟すると提督が飛び降り、ついで補給物資の陸揚げ。木曾は焼酎ビンを抱え、涼風は「お、ありがてえ!」と五月雨からの菓子袋を店開きする。 一方で島で駐留している艦娘が交代で作る蜜柑類を箱ごと機帆船に積み込む。 #柑橘鎮守府

2015-06-28 22:53:33
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「ほいじゃ、明日の今時分にまた寄りますわ。」またぴゅ~と汽笛を吹いて機帆船は桟橋を離れる。提督は今夜は他の二隻ともどもここに泊まる。 # 柑橘鎮守府

2015-06-28 22:57:22
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「提督起せよ。」木曾が涼風に言う。「合点!」 今は島中が寝静まる丑三つ時。さっきまでの呑めや歌えよがウソのようだ。 桟橋の沖、暗闇の中から焼玉のくぐもった音。小さな航路灯がようやくついた。 一隻の木製の古びた機帆船が着桟してきた。#柑橘鎮守府

2015-06-29 23:03:59
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提督は目を擦りながら船上に降りる。よっとと。 「おやまあ、可愛らしい提督さんじゃね。」 その機帆船はおかみさんめいた妙に年増な声をあげた。 #柑橘鎮守府

2015-06-29 23:07:46
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少し酒臭いか? 「よろしく頼みます。」 「あいよ、お宅の偉い子からたいがい聞いてる。」 どうせ日向あたりだろう。 「人と話すとき気後れするタイプだ。悪く思わんでくれ。」 「ハハハわかってるって。」#柑橘鎮守府

2015-06-29 23:12:42
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漣と朧の二人も乗り込む。艤装のかわりにスキューバの道具となにやら装具を身につける。「やっぱ水着で正解でしょ提督。」 #柑橘鎮守府

2015-06-29 23:15:16
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木製の古ぼけた機帆船は機関の音をごとごと言わせながら内海の穏やかな海面を走って行く。漣がときどき天測しながら方向を指示する。なにげに手馴れている。機帆船は言われた方に舵を切る。#柑橘鎮守府

2015-07-05 22:29:50
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「ああ、そろそろかねえ。」漣に言われて船が止まる。朧が大きめのスーツケース状のものを開け、漣は船のヘリから1mくらいのステンレスパイプにコードをつけたセンサーとCCDを貼ったものを水中に下ろす。ポータブル式の水中探査機だ。#柑橘鎮守府

2015-07-05 22:45:54
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すこ~し船動かしてね、と漣に言われて機帆船は微速前進。30分ほど進んだところでモニターを見ていた朧が手を上げた。船足がとまる。すぐに融通がkjきくのがこの機帆船のよいところ。うちの艦娘と息が合ってるのだ。#柑橘鎮守府

2015-07-05 22:49:53
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「じゃ、提督、いってきます。」そういうと彼女はゴーグルとマウスを付けるとどぼんと海中に沈んでいった。海底まで4m。その落下する姿は朧もモニターで追っている。#柑橘鎮守府

2015-07-05 22:52:20
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提督がのぞくと、海底は泥がなだらかにひろがる。だが、ところどころ隆起と何かの物体が散乱しているばらけた家のような__。提督は目をみはった「弁天船だ」 #柑橘鎮守府

2015-07-05 23:05:17
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geocities.jp/shimizuke1955/… かつてこの国の沿岸を物資を満載して駆け回った帆船。速度は7ノット、この機帆船をも凌駕したという。 pic.twitter.com/oaB4NERihr

2015-07-05 23:11:07
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漣の声がイヤホンにひびく。「朧ちゃん、やっぱおりてきて!一人じゃ手に負えない!」#柑橘鎮守府

2015-07-05 23:12:40
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提督に監視をまかせて朧も潜水。やがて、二人は順々に海底からの土産を機帆船の上に積み始めた。、壷、皿、甕、土瓶、その割れた欠片。いずれも泥と海草にまみれて正体がつかない。#柑橘鎮守府

2015-07-05 23:15:51
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機帆船も感心するというか呆れた声をあげる。「いや。今日はずいぶん大漁だねえ。」なにやら汚そうな古びた陶器を一つ一つ吟味する提督を冷やかしているようにも見える。#柑橘鎮守府

2015-07-05 23:18:27