ストレイトロード:ルート140(13周目)
- Rista_Bakeya
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ヒロイン代表:藍(13/ストレイトロード) 今や化屋の女子キャラ筆頭。風の魔女という呼び名は能力由来ですが本人の行動も風そのもの。大人の世界のことはまだまだ知らないことたくさんですが、大人の権威を利用して乗っかることは心得たようです。 pic.twitter.com/imTxNXuig6
2015-06-07 01:28:25おじさん代表:ゼファール(45/ストレイトロード) 短編もルート140も彼の一人称。夢に向かって学問に励んでいたはずなのに、いつの間にか出世街道から転げ落ちて放浪生活。脱出したと思ったら魔女の手下に。成功も苦労も、藍ちゃんに足りてない理系の知識も携え、今日も保護者やってます。
2015-06-07 01:29:37ストレイトロードの通信事情(1) 最初の短編等にもある通り、この話の世界ではクリーチャーに空を乗っ取られたので人間は陸路と海路しか使えない。ビルや電波塔は巣の土台、人工衛星は続々引退、辛うじて平地のアンテナが生きてる程度。電力も現実の世界のように恵まれてはいない。人口激減したし。
2015-06-04 13:16:05通信事情(2) 地下ケーブルのお陰で街と街が寸断はないけど遠くはなった。藍達が使う携帯端末は今のスマホより多少性能いいもの。ただし材料も人手も買い手も少ないのでお高い。しかも電波の届くエリアは基本的に人里だけ。少し離れただけで圏外。(140の中で設定間違えてるかもしれないけど)
2015-06-04 13:16:58通信事情(3) 電波の提供範囲だけ一昔前に戻った感じです。リアルタイムより確実性重視でメールが活躍。キャリアはインフラ他諸々の不足で競争もできないので統合が進んで、かき集めた人と資源でようやく維持。だから通信料も高いしサービスとか言ってられない。荒野の真ん中でルート探しとか無理。
2015-06-04 13:17:11街角に人が集まっていた。その後ろで藍が足を止め、彼らの頭上を見上げた。軒先に並んだ無数の鳥が揃って人だかりの内側を見下ろしていた。それを見る間に藍を見失った私がしばらく待っていると、突然人々が歓声を上げ、鳥が一斉に飛び去った。溝に嵌まった小鳥を藍が助け出していたことは後に知った。
2015-05-14 20:18:30「捕まったら大変だから、頑張って振り切ってね」藍は果物を買うような口調で私に命じたが、どれほど急いでも後続の車がミラーの中から消えない。完全に背後を取られている。土地勘の無さが痛い。「次の角を右」隣からの提案は無視した。彼女は標識を見ていない。交通違反は敵を更に加速させる火種だ。
2015-05-15 19:40:04産声を扉越しに聞いた時、私はまず安堵し、それから両手を組んでいたことに気づいた。夜通し車を飛ばした疲労が消えるほど長い時間祈っていたようだ。昨日出会ったばかりの人の為に。「まさか帰り道も面倒見るの」隣に座る藍は浮かない顔をしている。「赤ちゃんって目立つから狙われやすいの。大変よ」
2015-05-16 22:05:41少年は壁を見上げて胸を張った。ここ最近で一番の出来映えだと彼は言う。残念ながら私には何種類もの絵具を力任せに撒いたようにしか見えないが、若き芸術家と年の近い藍はどう思ったか。「…最悪」吐き捨てられた一言に驚いて振り向くと、藍は顔を覆っていた。自慢の髪に付いた青色の塊が震えていた。
2015-05-17 22:46:24私達が車に乗り込み同時にドアを閉めても、記者達の質問は雹のように窓を叩き続けた。慎重にアクセルを踏む私の右隣で藍は唇を閉ざしている。ここは怒りを抑える場面だ。無闇に大風を呼んでも良い結果は訪れないと彼女は自覚している。追跡を振り切り街が遠くなった頃、私は黙って助手席の窓を開けた。
2015-05-18 19:21:38「待って」ベンチから立とうとした私を藍が止めた。後頭部に虫がいるから動くなという。だが彼女はそれを追い払うどころか、静止を指示しながら後退りした。事態を理解したのは私の手元が暗くなった時。背後に立った巨体が細長い舌をくねらせ虫を巻き取る姿が、西日の下で濃い影としてはっきり見えた。
2015-05-19 19:36:12刃が文字通り風を切った。鋭い音が止んだ時、その切っ先は私の喉元に届く寸前で静止していた。「刀を下ろしなさい!」藍の声に威嚇の響きが混ざる。「ご心配なく。今日は挨拶をしに来ただけだから」襲撃者は余裕の表情を崩さない。彼が刀を鞘に納めると同時に深く息を吐くと、微かに煙草の匂いがした。
2015-05-20 19:45:50今日の藍は電話越しに口論している。怪物の生態に関する意見では意気投合している研究家と、別の話題で意見がぶつかったらしい。「カレーの具材にイチゴってどう思う?」通話を切るなり尋ねられた私は困惑した。「わたし、あの人の味覚が全然分かんない」人それぞれ、は恐らく期待される答えではない。
2015-05-21 22:25:25ドレスの背中の紐を結べないと嘆く藍に手を貸したら、終わるなり再度の退室を命じられた。仕度は途中だという。「髪直してないし、お化粧もまだだし」大人ばかり集まるパーティだからと言って子供に化粧が要るのか。疑問の代わりの溜息を察した魔女が扉越しに言った。「大人を騙すには便利な道具よ?」
2015-05-22 20:00:00