山本七平botまとめ/【1990年代の日本/1990年に向けて①】日本の国際的地位を保証する大前提「経済的優位の維持」は大丈夫か?

山本七平『1990年代の日本』/1990年代の日本/1990年に向けて/経済的優位の維持/242頁以降より抜粋引用。
0
山本七平bot @yamamoto7hei

①【1990年に向けて/経済的優位の維持】まず基本を忘れてはならないであろう。 日本の国際的地位はその経済的優位に基づいているが、現在でもいずれの国でもこの前提は同じである。<『1990年代の日本』

2015-06-27 18:08:57
山本七平bot @yamamoto7hei

②ソビエトが威信を失ったのは軍事力の欠如からではなく、経済面における劣悪さの露呈からである。 これは明治と全く違う情況がすでに現出していることを意味している。 象徴的にいえば、ソビエトの輸出商品は年とともに″後進国化″していく。

2015-06-27 18:39:01
山本七平bot @yamamoto7hei

③世界は経済においてそれ以上何もソビエトに期待しないし、期待できないこと、それは武力で補うことのできない威信の低下を招く。 だがそれでも何とか現状を維持していけるのが資源国家の強みだが、日本がその状態になればおしまいである。

2015-06-27 19:08:58
山本七平bot @yamamoto7hei

④従って経済的優位の維持は、80年代であろうと90年代であろうと、一切の前提のはずである。 この点で大丈夫であろうか。 日本の強みの一つは、勤勉で質のよい労働力だといわれるが、前章で記したように、実は、アメリカと余り差がないのである。

2015-06-27 19:38:56
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤もし働くことの中心性が逆転し、…また日本のレジャー本位、家族本位がさらに上昇してその分だけ仕事本位が減り、アメリカが「負けるものか」と仕事本位が上昇し、今ですら日本より低いレジャー本位、家族本位がさらに減れば、両者の関係は逆転するであろう。

2015-06-27 20:09:00
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥アメリカは立ち上がりは遅いが立ち上がると物凄い。 第一次世界大戦の時すでに、その軍需生産は「一年目ゼロ、二年目ちょろちょろ、三年目洪水」といわれた。 これは太平洋戦争でもいえる。 一年目すなわち昭和17年はゼロ、18年はちょろちょろ、19年は洪水である。

2015-06-27 20:38:56
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦そして日本は圧倒される。経済的競争に於ても同じ事が起る。 油断をしていればラッセル・ブラッドンが『日本人への警鐘』で記しているような「経済のミッドウェー」が起らないという保証はない。 昭和17年に日本の新聞はルーズベルトの軍備大拡充計画を「数字に乗った狂人」と嘲笑していた。

2015-06-27 21:08:58
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧更に大本営海軍報道部長の平出大佐は「軍艦は二、三年で造りうるが一艦を指揮しうる艦長は五年や十年では養成できない」と主張していた。 いわば人材に於て質が落ちるから数字の優位は意味がないというその調子は、現代の新聞のレーガン大統領及びレーガノミックスヘの否定的評価とよく似ている。

2015-06-27 21:39:00
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨だがアメリカは少なくとも「一年目のゼロ」からは脱出しつつあるようである。 いわばまず物価の鎮静とインフレマインドの消失、170万戸と予想される新規住宅着工数や自動車販売の回復、現実化し始めたハイテク投資、(続

2015-06-27 22:08:55
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩続>更に産業の新転換を意味する空前の倒産数と裏腹の史上最高の新規企業設立数などは、すでに何かが胎動していることを物語っている。 …他の資料も、ニュアンスの違いはあっても、ほぼ同じことを示している。 これから急速に高齢化社会に向う日本が、これに対してどのように対抗するか。

2015-06-27 22:38:59