日本の音階とか東方Projectの音階とかどうのこうの
構成
- 日本の音階を考える
- 1.1 全音と短三度がある話
- 1.2 半音と長三度がある話
- 1.3 全音も、半音も、あるんだよ
- 東方Projectの音階を考える
- 2.1 あんな音階使おうか、こんな音程使おうか
- 2.2 具体例
- 2.3 つまり日本っぽい音楽って?
3(翌日). 日本音楽と西洋音楽 - 3.1 日本音楽
- 3.2 旋律の日本 vs 和声の西洋
- 3.3 俺たちゃ日本人
- 他、なんかリプとか
- その1
- その2
1. 日本の音階を考える
1.1 全音と短三度がある話
日本の音階を考える。 日本で古くから体系化されている日本音楽(厳密には大陸からの輸入音楽だが)といえばまず雅楽が浮かび上がる訳だけれど、雅楽の音階では西洋の長調・短調みたく呂・律にグループ分けがなされている。
2015-04-16 23:35:20いわゆる呂旋法と律旋法ってやつだけれど、細かい音程の構成や上行系・下行系に違いがあるとかはさておき、注目したい点が、呂律のどちらの音階にも半音の隔たりを一切持たないというところ。ミとファとか、シとドとか。
2015-04-16 23:38:21西洋音楽の音階を見てみると、長音階・短音階どちらにも大体半音の隔たりが2つあるし(ミ-ファ、シ-ド、ソ♯-ラあたり)、大体全音単位の音程の隔たりが連なる中に所々半音の響きが含まれていることが洋楽の音階の特徴といえる。
2015-04-16 23:42:40逆に日本の雅楽の音階(呂律)には洋楽のように半音の隔たりを持たないとすれば、何を持っているのか、全音の隔たりは勿論洋楽と同じくある。残りあるのは短三度(余談:短三度でなく長三度を含ませると南国風、いわゆる琉球音階っぽくなる)。半音はなくて、全音と短三度が音階中に含まれている。
2015-04-16 23:46:08日本音楽史上、比較的古めの時代の音楽や、中国伝統音楽を意識した雰囲気の楽曲作りをするのであれば、呂旋法だとか律旋法だとか上行・下行だとかの勉強をせずとも、簡単な話、メロディラインに“半音”の隔たりさえ使わなければそれっぽくなると言うことが可能。
2015-04-16 23:49:37簡単な事を言ってしまったけれども、実際は半音を使わない、だけでなく、順次進行は長二度(必然的にそうなるが)、三度の跳躍は短三度という他の条件も意識すればするほど、あっち方面の音楽の情緒に近くなるというわけだ。
2015-04-16 23:51:19逆に言うと、日本音楽史上古めの音楽や、中国伝統音楽あたりを意識した楽曲の中で、半音の音程を含むメロディを作ってしまうと西洋かぶれっぽくなってしまうということだ。
2015-04-16 23:53:461.2 半音と長三度がある話
しかァァァァァァァァァァしィィィッッ!!半音を含まないとか半音を含んだら西洋かぶれとは言ったものの、これはあくまで、日本音楽史上古い部類の音楽(主に雅楽)、もしくは中国や朝鮮半島といった大陸・東南アジアの伝統音楽を意識する際の話であって日本音楽に真正な半音がないわけではない。
2015-04-16 23:59:01日本音楽では江戸時代の時にちょっとした異変が起きましてですね。雅楽ってのは平安時代に隆盛し貴族を中心に栄えた音楽でちょっと高尚(?)だった訳だけれど、武士が台頭するようになるとまあ雅楽は落ち着き、日本の庶民文化が大きく花開いた江戸時代では雅楽に対して俗楽が大きく広まる訳ですよ。
2015-04-17 00:04:45勿論中世の間も俗楽ってのは庶民の音楽として充分あっただろうし、おそらく音楽の響きは雅楽の理論を踏襲しているだろうと思う。しかし江戸時代になってから江戸では陰旋法っていう新しい流行りの音階が生まれまして、こいつがもうジャパネスクな響きなんですわね。
2015-04-17 00:08:58どうして陰旋法ってもんが生まれたのかはよう分からんけど、んまあ流れとしてはヨーロッパで言う教会旋法が長調と短調に吸収されました~~ってのと似たような進化じゃないかなーと思うのですが、陰旋法ってのは何が画期的かというとここでれっきとした“半音”が日本音楽の中で現れるんですわね。
2015-04-17 00:10:38陰旋法に対する旋法は陽旋法で、俗楽は陽旋法と陰旋法の二種類、これも同じく洋楽の長調・短調、雅楽の呂旋法・律旋法と似たような二元論的関係。
2015-04-17 00:14:23主音をDとしますと(上行・下行の差は坊田かずま氏の解釈によりないものとする)、 陽旋法はD-E-G-A-C-D、半音の音程が一切含まれていないことが分かるでしょう。 一方で陰旋法は一部の音が♭になり、D-Es-G-As-C-D。
2015-04-17 00:15:36見ての通りD-EsとG-Asで二箇所の半音が生まれ、方やEs-GとAs-Cで音程が開いた分長三度が生まれました。まあ特に音階上今まで日本音楽で存在しなかった半音(装飾的な半音階を除く)が、江戸時代に何らかの突然変異で生まれちゃった訳ですよ。
2015-04-17 00:17:33大体皆さんがよくお琴(箏)の音楽を聴く時に鳴ってる響きは陰旋法の響きですよね。八橋検校っていうすんごい人が江戸にお琴を流行らせたんだからまあそうですわな。ララララララララ~~~ラソミ♭レシ♭ラソミ♭レシ♭ラソレ~~~~とかすれば誰でもお琴になれる。
2015-04-17 00:20:51なんで陰旋法が生まれたのかはよく分からんけど、ともかく陰旋法が持つ半音の音程、当時の江戸の人々はこれを美しく雅な響だと考えていたそうです。そんなわけで俗楽では、半音の音程を持たない陽旋法は田舎節音階とも呼ばれ、半音を持つ雅な陰旋法は都節音階という別名でも呼ばれてますね。
2015-04-17 00:24:05