ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10101517:ニチョーム・ウォー #6

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆「ドーモ。サブジュゲイターです。ニチョームの皆さん。降伏をするもしないも御自由になさい」 ◆

2015-07-04 14:12:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10101517:ニチョーム・ウォー】#6

2015-07-04 14:12:39
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KRAAAAAAASH!「グワーッ!」ネザークイーンは転倒をこらえた。『状況はどうだ。帰還するぞ』フォレストの通信。「サブジュゲイターが到達した」ネザークイーンは呻いた。「バイオニンジャは無力化されてしまう。337で戦えるのはフロッグマン=サンとディスカバリー=サン。つまり」 1

2015-07-04 14:19:30
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『俺はとにかく戻る。ルイナー=サンとハイドラがスターゲイザーらの足止めにかかった』「アータも無事じゃすまないでしょう」サワタリはヨロシサンのバイオ筋繊維を移植している。『だが俺は他の連中よりはマシだ。戻らねばなるまい。戻る』「DAMN……」ネザークイーンは懐のハンカチを噛んだ。2

2015-07-04 14:22:33
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『見えない奴はどうだ?』不意に割り込んできたのはシルバーキーのアカウントだ。『今、コマンダーをやったぞ』僥倖!ネザークイーンは目を見開く。監視カメラ網には、路上を行き交うヤクザがはっきり映っている!「確認した」だが……遅きに失したか?否!それを決めるのは全てが終わってからだ。3

2015-07-04 14:30:48
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これで「粋桃」の者達が包囲軍に対処できる。ネザークイーンのニューロンがスパークする。最善手を……最善手を!「そこはどこ?」『広場だ!あ、いや、土地勘がよ……』「柱にプレートがあるでしょ。それを読み上げて」『ヤモト=サンがアサイラムとかいう奴と交戦中で……そっちはどうなんだ』4

2015-07-04 14:35:58
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「時間の問題ね」ネザークイーンは答えた。「ここはもう落ちる」KRAAASH!再び建物が揺れた。「アータたち」ネザークイーンはハッカー達に言った。「ここを引き払う準備に入って」「しかし……」「でもイクサは続く。特に通信機。無線装置。それを死守する。『粋桃』に戦力を集める」5

2015-07-04 14:38:52
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「ネザークイーン=サン」ガガピー!断続的なハウリングと共に、苛立たしげな声が届く。「単独で出てきなさい。話はまずはそこからです。このままあなた方のヤグラ337ビルディングを叩き潰してもよいのですよ!」「クソッ……」ディスカバリーが壁に手をついて体勢を立て直す。「俺ら、どうする」6

2015-07-04 14:41:43
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『ちょっと待て……待て』切羽詰ったシルバーキーの声が入ってくる。『何かやれる筈……やれる筈だぞ。俺も考える。考えるぞ。だから……』KRAAASH!「グワーッ!」車椅子をディスカバリーが支えた。「慣れてきた。動ける。どうする!」「出てきなさい!ネザークイーン=サン!」ガガピー!7

2015-07-04 14:44:55
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「フン!」サブジュゲイターは拡声器を投げ捨て、腕組みして、攻略対象のヤグラ337ビルディングを睨み据えた。「スッゾ!」クローンヤクザY200が素早く滑り込んで拡声器を受け止める。機敏である。「オーテ・ツミといったところです。時間の問題でしょう」サブジュゲイターはキュアに言った。9

2015-07-04 14:51:27
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「マスモーフ=サンのバイタル信号が消失しました」オペレートヤクザが知らせた。「あらそう」キュアは美しい髪を弄びながら呟いた。「今更どうという事もありますまい」サブジュゲイターが言った。キュアは答えた。「敵を侮ってかかる性格は直しようが無いのかしら?」「侮っておりませんよ」 10

2015-07-04 14:57:01
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ヨロシサン製薬軍はヤグラ337ビルディングの隣の区画に装甲車両を停めて陣を敷く。キュアはパラソルつきのチェアに腰かけて脚を組み、没個性なニンジャに脚をマッサージさせている。ナムサン。治療契約のジツによって名を奪われ、永遠の奉仕を強いられるニンジャ、ペイシェントの一人だ。11

2015-07-04 15:01:02
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キュアのジツは超自然的な治療。瀕死の負傷者、たとえば心臓を失うほどの重体者であっても、たちどころに治す事が可能だ。だが治療を受けた者は二度とキュアの命令に逆らう事ができない。治療の折にニューロンに楔が打たれるからだ。その代償を含め、極めてヨロシサン製薬的なニンジャといえた。12

2015-07-04 15:06:15
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「サブジュゲイター=サン。貴方は社の期待を背負っている。ゆえに……」「イヤーッ!」「グワーッ!」カラテ・シャウトと共に、陣の境界を警護していたクローンヤクザY200の一人が高く宙を舞った。「あらあら」キュアは不快げに目を伏せた。動こうとするサブジュゲイターを制する。 13

2015-07-04 15:09:57
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「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」装甲車を挟んで、戦闘の声が徐々にパラソルチェアに近づいてくる。「新商品といえどもヤクザは所詮ヤクザ」キュアは身も蓋もなくコメントした。「どちらにせよ、縁起のよい眺めではないわね」「「私が!」」ペイシェント二人が進み出た。14

2015-07-04 15:12:11
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「褒美がほしいの?卑しいこと」「「ほしいです!」」ペイシェント二人がドゲザした。「なまじ知性があるだけ、豚よりも哀れね」キュアは別のペイシェントが差し出す茶器を受け取り、頷いた。「ヨロシイ。お行きなさい」「「行ってまいります!イヤーッ!」」バック転、側転!装甲車を飛び越える!15

2015-07-04 15:16:21
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「面白いでしょう?」キュアはサブジュゲイターに言った。サブジュゲイターはYESともNOとも言わなかった。「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「……イヤーッ!」「アバーッ!」装甲車の向こうで天高くペイシェントの身体が跳ねあがった。「あらあら」 16

2015-07-04 15:20:45
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「イヤーッ!」追うように跳躍、装甲車のルーフに着地し、キュアたちを見下ろしたのは、アフロヘアーのニンジャである。「ドーモ。スーサイドです」「ああ、例の」キュアはサブジュゲイターを見た。サブジュゲイターは頷いた。「面倒な……」「そろそろ貴方は337にヨロシ・ジツを展開なさいな」17

2015-07-04 15:23:11
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「ハイヨロコンデー……イヤーッ!」サブジュゲイターは両こめかみに指をあて、身構える。「グワーッ!」吹き飛ばされてきたペイシェントはキュアの足元に落下した。「イヤーッ!」茶汲みのペイシェントがその者にケリ・キックをあびせ吹き飛ばした。そして装甲車に向かって跳んだ。「イヤーッ!」18

2015-07-04 15:26:21
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「イヤーッ!」スーサイドは飛び移って来るペイシェントを一人また一人殴り飛ばし、更なるカラテを構える。ペイシェントは奴隷といえどニンジャ。バランスを取り直し再びスーサイドに向かってくる。そしてそれを眺めるキュア。「期待に応えられるかしら、貴方たち?それとも再戦でもやはり駄目?」19

2015-07-04 15:30:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

再戦、然り。逃げながら戦うスーサイドに迫っていた数十分前までの彼らには、確かに各々のニンジャネームがあった。今は無い。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」スーサイドを挟み撃ちに攻撃する彼らの目には憎しみの感情が燃えている。そして己の境遇への哀れが。 20

2015-07-04 15:32:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「頑張りなさい。何度でも治してあげる」キュアはチャを啜った。「何度でもね。だから、私の手をそこの卑しいニンジャ相手に煩わせないよう、頑張りなさい……」「「肝に銘じております!」」スーサイドにカラテを繰り出しながら、ペイシェントは叫んだ。「イヤーッ!」「グワーッ!」 21

2015-07-04 15:35:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ム……これは」ジツに集中していたサブジュゲイターは表情を曇らせ、回転ジャンプで陣営を飛び出した。キュアはその後ろ姿を見、茶菓子を手に取る。サブジュゲイターはよくやっている。頼もしい野心。キュアを始めとする上位社員がヨロシ・ジツの抗体を持つ事を知らぬ哀れさも、またよい。22

2015-07-04 15:45:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サブジュゲイターはニューロンをロックされており、上位社員に手を出す事がそもそもできない。何らかの方法でそれを破っても、ヨロシ・ジツは無効。二重三重のプロテクションである。裏を返せば、彼に注ぎ込まれたのはそれだけ重大なテクノロジーという事。キュアらの彼にかける期待は大きい。23

2015-07-04 15:50:21
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