ニンジャスレイヤー二次創作【クロス・バイオニンジャ・アンド・リサーチャーズ】
- jinkou_gom
- 1607
- 2
- 0
- 0
ドーモドーモ、ただいまよりノリでテキストカラテを流していきます。ノープランですのでご容赦を……実況して頂ける奇特な方がいれば #gomtk タグをお使いください。
2015-07-05 21:17:15「アカチャン……オッキクネアカチャン、ステキな子!」草木も眠るウシミツ・アワー。陰鬱な森に似つかわしくないポップスを歌いながら一人の男が道無き道を進む。ネオサイタマ郊外に鬱蒼と茂るこの森に生物の影はない。「アカチャン……家族、そのようなもの……」1
2015-07-05 21:24:53曲がサビに差し掛かったところで男は足を止めた。それまで彼の行く手を阻んでいた木々は突如として消え、前方には不自然なクレーター。男は歌いながらクレーターの中心に歩を進める。「アカチャン……家族……家族アカチャン……WOW」男が屈み、地面の亀裂に手をかざした。キャバァーン!2
2015-07-05 21:29:27亀裂は円形に広がり、その奥深くからマンホールの蓋めいた円盤が上昇してくる。男はなおも歌を止めない。「家族…生きる」男が円盤に乗り中央のボタンを押すと、円盤は急下降を始めた。勢いで彼の白衣が翻りポケットのIDカードが宙に舞った。彼はそれを慌ててキャッチする。3
2015-07-05 21:35:56カードに記された肩書きは……ナムサン。暗黒メガコーポヨロシサン製薬研究員、その名はサワタリ・モリヤ。痩せぎすな身体は急下降の勢いでふらふらと左右に揺れ、彼の歌うポップスの音程もふらつく。「地下ドスエ、足元に、オキヲツケテ」電子マイコ音声を聞きながらも彼は段差で躓きかけた。4
2015-07-05 21:39:31到着から程なくして彼は42号研究室に辿り着いた。彼はカードキーをドアにかざす。しかしこれはフェイク、実際はその手首に光線を照射し静脈認証を行っているのだ。もし胡乱な侵入者がカードキーを奪い取り研究室を襲撃しようとすれば、光線は熱戦へ変わり即座にその者の手首を焼き落とす仕組みだ。4
2015-07-05 21:46:22中にはすでに一人の男がいた。「ドーモドーモ、ナカタ=サン」しかし男は水槽を見つめたまま、サワタリのアイサツを無視した形だ。シツレイだがサワタリは糾弾できるはずもない。サワタリの年収はナカタの月給にも満たない。ナカタはカチグミでサワタリは一般研究員に過ぎないのだから。6
2015-07-05 21:52:35サワタリも、ナカタが己に関心を持っていないことはとうに知っている。彼は儀礼的なアイサツを済ませるとすぐに部屋の右側、ナカタの眺めるそれと対角線上にある水槽を向いた。「フロッグマン、元気にしていたか」「こんなところで元気も何もあるかよ」7
2015-07-05 21:57:32フロッグマンと呼ばれた「それ」は気怠そうに答えた。それと表記された理由は彼の外見を見れば自明であろう。水槽の中は透明な水で満たされているが、しかしその隅に緑色の汚泥めいた何かが浮いていて声を発している。そしてそれこそが、サワタリにフロッグマンと呼ばれた、ニンジャなのだ。7
2015-07-05 22:00:52「おや、サワタリ=サン。アイサツくらいして入室したまえよ」サワタリの背後からナカタが声をかけた。「ドーモ」「しかしまあ、君の部署の……エートなんだったか。フロストマン?まだ不定形のままなのか」「フロッグマンです。そういうそちらは研究も順調なようで」8
2015-07-05 22:06:07サワタリの問いにナカタは目を爛々と輝かせた。人付き合いに疎いサワタリにも見て取れる確かな狂気。自分の研究を持つようになれば、いずれは俺もそうなるのだろうかと、彼はふと思う。「ああ、順調も順調。既に彼はヤクザクラン一つを壊滅させている。嗚呼、愛おしいロブスター……」9
2015-07-05 22:11:41「おい、ナカタ」奥の水槽から声が聞こえた。「おお、ロブスターよ。どうしたのだ」ナカタはすぐさま振り返り水槽に駆け寄る。「傷はもう治った。オイランとスシを寄越せ。両方オーガニックだぞ」ナカタは眉を寄せた。「だがロブスター、君のバイタルサインは未だイエロー……」「ダマラッシェー!」9
2015-07-05 22:17:33恐るべきニンジャスラング!ナカタは当然失禁……だがその表情は恍惚としている。「ロブスター、胚から造られたバイオニンジャの君が、古のニンジャスラングを……スシとオイランだったね。ヨロコンデー……我が愛しのアカチャンよ」部屋から出てどこかへ向かうナカタの背中をサワタリは見つめた。11
2015-07-05 22:22:42「全く気持ちの悪い男だ」水槽の中でエビめいた紫のニンジャが身じろぎした。「そこのお前は何をしている。俺がオイランを呼んだのだ、早く部屋から出て行け!」ロブスターは恐るべき両のハサミをサワタリに向けた。その中にはスリケン発射口!「アイエッ!」サワタリはよろよろとドアへ向かった。12
2015-07-05 22:29:01「逃げんじゃねえ、大将!」フロッグマンが叫んだ。サワタリは振り返り、ロブスターと、未だ定型を持たぬ緑を交互に見た。「よおロブスター=サン、うちのサワタリ=サンに向かって随分な口利くじゃねえか!」水槽の水が激しく震え、緑のモヤを中心にして渦を作り出す!13
2015-07-05 22:36:15