ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10101517:ニチョーム・ウォー #7
『ヨー、この死に損ないの耳にも色々入ってきてるぜ。すぐそこじゃイッキ・ウチコワシが暴動を煽動中だ!スナック感覚な破壊衝動!グルーヴレスなシケた暴動!抜けたらそこにハイデッカー検問!奴らの中身ヤクザクローン!同じ脳ミソ積んだ殺人ドローン!市民!市民!市民!お前は何処に属してる!』1
2015-07-06 14:32:57『今すぐ所属を言え!銃を持つか支配者様に平伏せ!今すぐ返事をしてチャンス倍点!……どれもファック!くだらん選択肢と制限時間押し付けるマザファッカども!全てファックだ!俺の所属は俺だ!……そして、ヨー、人々!ニチョーム・ストリート……』2
2015-07-06 14:36:12ガリガリ……ザザッ……隔壁封鎖以後、沈黙していた街頭スピーカーが咳払いめいたノイズを発し、そして、鳴った。『ニチョーム・ストリート……高いヘイの向こう何かが起こってるぜ!』「イヤーッ!」ヤモトはアサイラムの打ち込みを二刀で弾き、後ろへ跳んで、看板を蹴った。「イヤーッ!」 3
2015-07-06 14:42:33『何もかも覆い隠して、ヨロシサン製薬とハイデッカーが死と欺瞞の一大キャンペーン展開中!』「イヤーッ!」アサイラムは驚異的跳躍力によってヤモトを追う。ヤモトは瓦に手をかけて身体を引き上げ、背後から斬りつけるアサイラムのジャンプ斬りを二刀で受ける。「イヤーッ!」 4
2015-07-06 14:43:52二者は瓦屋根の上で睨み合う。「放送……?何のつもりだ」アサイラムは呟いた。ヤモトはやや身を低くする。もはやオリガミはとうに弾切れ。「さあね」彼女は呟いた。『どうやらそこにもリスナー!このレディオを聴いて抵抗中だ!無線電波のホットライン!』「アタイ達はレディオを聴いて……抵抗中」5
2015-07-06 14:48:41アサイラムのニンジャ第六感はニンジャ存在の接近を察知。ほどなく、下の通りに走り込んでくるセントールとディスカバリーを発見。サブジュゲイターの通信が彼を急かした。彼は舌打ちした。「無駄の極みだ。おとなしく四刀に裂かれて死ね、小娘。音など空気」「空気を取り返した」ヤモトが言った。6
2015-07-06 14:56:55「イアイド!」「イヤーッ!」アサイラムはカタナを繰り出す!ヤモトはひらりと身をかわし、打ち返す!「イアイド!」「イヤーッ!」アサイラムは更にカタナを繰り出す!ヤモトは打ち返す!嵐のごとき斬撃、その焦りは、下を走ってくるディスカバリー達を殺害する道を拓くためのブーストである。 7
2015-07-06 15:09:01ヤモトにもそれがわかる!ゆえに退くわけにはゆかぬ!彼女の目の桜色の輝きが増し、ナンバンとカロウシの刀身に光が差す。マフラーめいた光の布が炎めいてボウボウと爆ぜ始める!『……ヨー、KMCレディオ、始まって以来の即時リクエスト受付中、声を聞かせてくれよ、ニチョーム!』8
2015-07-06 15:12:38「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」時間当たり二倍以上の斬撃が飛び交う。「イヤーッ!」「ンアーッ!」アサイラムのカタナがヤモトを捉える。カロウシがクルクルと宙を飛び、瓦に突き立つ。「イヤーッ!」「イヤーッ!」ヤモトは一刀で、防ぐ!……防ぐ!9
2015-07-06 15:16:14『モシモシ、こちら、ニチョーム』レディオと繋がった声は……ザクロ。『アータのレディオのリスナーが隣にいるのよ』『アッ……俺ですか……マジですか!』場違いな緊張と喜びを滲ませる声は、ハッカーの一人。熾烈な攻撃に歪んでいたヤモトの口元に、思わず笑みが浮かぶ。アサイラムは激昂する。10
2015-07-06 15:20:23『ヨー、名前は』『エート……じゃあ、サシバで』『サシバ?ファッキンクールだな』『その、今も俺がいるこのビルは吹っ飛びそうで、ニンジャに攻撃を受けていて……今も、エヘヘ、壁に空いた風穴から壁が吹き込んできます。隣でタイピングしてた友達は……一足先にサンズ・リバー渡っちまった』 11
2015-07-06 15:29:43ヤモトはいなし、躱す。刃を当てる。アサイラム。フルメンポの隙間からのぞく目。怒りと殺意、そして、目の前の小娘が、幾度もの死線を潜り抜け、死を看取り、敵を滅ぼしてきた熟練の戦士である事へのあらためての認識……。『……ヨー、ならお前は死なねえさ。大丈夫だ。頑張れよ』12
2015-07-06 15:35:47『リクエストしなきゃ』ザクロが口を挟み、促す。ハッカーはどもりながら言う『アッ……BSCVATMの……あの、新曲を!』『ハッハハハ!そう来るよなァ!ちょっと待ってろよ!間を持たせてくれ!』『あのッ!リスナーの皆……聴こえますか!俺たちは、その、ニチョームの真っただ中、壁の中』13
2015-07-06 15:43:09「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」『声も出せないまま、地図から消されそう。信じてほしいが自信は無いや、政府もハイデッカーも全部敵、八方塞がり、奴らのニンジャとテックが向かって来る、そう、ニンジャ、何のインガか、俺らはニンジャと共にニンジャと戦ってる……』14
2015-07-06 15:47:58ハッカーの声には嗚咽が混じる。『ヨー、しっかりしろ!しょうがねえ、サシバを助けてやれよ、頼むぜDJニスイ!DJデリヴァラー!俺の息子!……ファック!ああ!畜生め!また生き返れよ!……』「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」『……レイズ・ザ・フラッグ!』 15
2015-07-06 15:53:13ヤモトとアサイラムは軽傷を負い、タタミ二枚の間合い。ヤモトは瓦を蹴り、跳ね返るように再び向かって行く!アサイラムは四刀を交互に構え、必殺の構えを取る!『ヘイ、奴はカラテの怪物!チャカ抜く暇ない哀れなホルスター!キック!キック!カラテ!フォー、ファイヴ、シックスで15人殺す!』16
2015-07-06 15:59:20「イヤーッ!」「クアドラプル・イアイド!イヤーッ!」『BLAMBLAMBLAM!変則ブラストビートめいた無慈悲なる銃弾のアサシンカラテ!』二者は交錯し、背中合わせ、瓦に着地、ビートはニチョーム無線通信ノイズ、サシバの声をリアルタイム・サンプルし、リピートし、打ち鳴らす。 17
2015-07-06 16:01:38それは有機物じみて形を変える、一定しないBPM、ブレイク、サンプル、さながらニンジャのイクサのごとく、ヤモトは迸る己の血を押さえ、しかし踏みとどまり、振り返る、アサイラムもまた方向転換、四刀を水平に、竜巻めいた回転斬撃、ヤモトはナンバンを右手で逆手に持ち、左手は前にかざす。18
2015-07-06 16:05:24「イイイイイヤアアーッ!」襲い来るアサイラムの殺戮斬撃、「イヤーッ!」ヤモトは踏み込む、そして止める、アサイラムのカタナ、ひとつ、ふたつ、みっつ、四つ目が狙い来るはヤモトの顔を水平に両断せんとする刃、切っ先が止まる、ヤモトの口で止まる、噛みしめる、血が滴る、歯で、止める! 19
2015-07-06 16:11:03アサイラムは弾かれた三刀でトドメを狙う、振り上げる、肩甲骨、否、少し上、首の後ろのやや下に、その時深々と埋め込まれたのは、後ろから飛び来たったカロウシ。サクラ・エンハンスメント。『ヨー、人々、聞け!そいつはニンジャ!こちらニチョーム!空いた風穴!』ヤモトは飛び退がる! 20
2015-07-06 16:14:42「ヌ……アバーッ!」アサイラムの背中から緑のバイオ血液が迸る。ヤモトは深く呼吸しようとし、咳き込む、後ずさり、よろめき、屋根から落ちる。アサイラムの目がギラリと輝く。彼もまた追って跳ぶ、カタナを振り上げ、落下しながらのカイシャクを狙う!「イヤーッ!」 21
2015-07-06 16:18:56『お前暗闇の中で捻る違法電波ラジオのチュナー!やがて立ち上がる人々の津波!オイ!ゲームの支配者を守る壁に大穴が開くぞ!ニチョーム!人々!起きろ!』落下するヤモトの目は再び焦点を取り戻す。そして投げた。ナンバンを。桜色に光るカタナは空中で跳ね返り、アサイラムの首を横から貫いた。22
2015-07-06 16:24:59ヤモトは肺に残った空気を血と共に吐き出し、今度こそ目を閉じる。「イヤーッ!」下の道路、駆けつけたニンジャが斜めに飛び、頭からアスファルトに落ちるヤモトを抱えて着地した。そして彼、シルバーキーは、背後に落下するアサイラムを振り返った。「サヨ……ナラ!」アサイラムは爆発四散した。23
2015-07-06 16:27:17彼は注意してヤモトを降ろした。彼はIRC通信機に報告する。「シルバーキー、ポイントに到達、合流する。その……結構ヤバイ。ヤモト=サンが……敵は殺ったンだが」彼は装束の袖を裂き、出血おびただしい傷口をきつく結んだ。すぐに血の染みが生じる。彼はより強く縛った。「誰か来れるか!」24
2015-07-06 16:33:24