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  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 11:13:32
    【ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10101526:フェアウェル・マイ・シャドウ】#6
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 11:17:05
    そこで電波リンクは途切れた。コミュニケーションは不完全。ニチョームやナンシーとの最終的な作戦合意は、何一つ行われていない。 1
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 11:23:34
    『……ニチョームへ行くッ!』ユンコは自らのボディ整備を急ピッチで仕上げにかかった。『自殺行為だぞ!?お友達を助けるのか!?』『……さあ!?友達なんて一人もいないけど!』『この世界を救済するか!?』『カルトとか興味なし!』『なら何のために行く!?』『いま私にしかできないから!』 2
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 11:32:40
    ユンコは最後のスクリューを締め、カーテン布を引いた。「そして生き残ってやる!」反抗的な顔、腕、腿に傷、機械部露出。片手片足は姉から引き継いだ歪で素晴らしい継ぎ接ぎ。『私と父さんにさんざんナメた真似をしてくれたファック野郎共に、一泡吹かせるんだ!この胸に宿ったデータとカラテで!』3
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 11:43:19
    「噫!死の大渦に自ら飛びこむか!報復か!」レイジの心臓が暗い激情とともに高鳴り、痛みを引きずりながら立ち上がった。暗闇に浸していた影の腕が、ブチブチと根を切るように引き抜かれた。『手伝ってくれるよね?』ユンコが少し残酷に笑った。『お前を逃がすためならどこへでも!』影は逆らえぬ。4
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 11:51:53
    『このファッキン世界に逃げ場なんて無いでしょ?』ユンコは強化PVC製サイバーレインコートを羽織り、壁のボタンを叩いた。ガレージ床がエレベータめいて揺れ、二人を乗せて下降した。『その通りだ』シャドウウィーヴは得心した。そして癒し終えた影の腕の感触を確かめるように、カラテを握った。5
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 11:59:19
    『データは?』『色々物理バックアップを取った』ユンコは記憶ディスクを手渡した。出撃路へ向け、エレベータは軋んだ音と共に下降を続ける。『呪いのせいで死なないんでしょ?ひとつ預かって。もしもの時はYCNANに』『そうならない事を祈る』『たくさん祈っておいて、何かクールな言葉でね』 6
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 12:10:11
    ガゴン!リフトが床を打った。『どう動く』『見てて』ユンコはLAN直結を解除してリフトを降り、進み、覆い布を取り去った。そこには二台の傷だらけのモーターサイクルが並んでいた。ロードキル・デトネイター!そしてアイアンオトメ!「物凄く速いから」ユンコが二台のIRCロックを解除した! 7
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 12:19:22
    胸の奥でモーター回路が高鳴る。「行こう、戦いに行こう、ニチョームへ」ユンコはサイバーゴーグルを下ろしロードキルに跨がった。一方シャドウウィーヴは、この鋼鉄の怪物が誰のものであったかを知り、僅かに表情を歪めた。それに跨がることで、己自身の魂があの男の軍門に下るのではないかと。 8
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 12:32:26
    ドルルルルン!ロードキルのヘッドライトが灯る!出撃路が開く!「行こう!」「行くぞ!」シャドウウィーヴは車体側面にペイントされた「忍」「殺」の文字を影の腕の爪で削り、ニンジャのための重モーターサイクルに跨がった!ゴアオオオン!解き放たれた二台は黄昏時のメガロシティに飛び出した! 9
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 12:37:43
    『ハタモト・エージェントのシャドウドラゴンが裏切りました』アルゴスの声は冷徹だ。「そうか」チバは醒めた目でそのIRCを睨み、市街監視カメラの分析映像に目を転じた。「このガキは何者だ」『シャドウウィーヴと名乗り、機密データ格納オイランドロイドとともに逃走、現在はいずこかに潜伏』11
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 12:46:11
    「包囲網を超えられた時点でデータ奪還作戦は失敗。物理バックアップをバラ撒かれて終わりだ。被害予測を立てろ。アクシスの余剰戦力は全てニチョームに回せ。一気に畳み掛けろ」『シャドウドラゴン、現在はシャドウウィーヴ……がラオモト邸襲撃可能性高確率。戦力配備を』アルゴスが提言する。 12
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 12:53:55
    確かにあの裏切者は、ラオモト邸の現状を知っているだろう。チバは短い思案の後、苛立たしげに眉根を寄せ、葉巻を吹かして否定する。「要らん。来ればネヴァーモアが殺す」『了承』アルゴスがアクシスIRCへとコマンドを送り、チバ邸に向かいかけていた輸送ヘリ群がニチョーム方面へと転進した。13
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 13:00:16
    戦略は全て、アガメムノンに予め定義された通り、アルゴスが管理している。アルゴスは極めて有能だ。だが彼のタイプ速度にも限界はある。一区画ならまだしも、アリめいた逃亡者を捜すため、市街の全監視カメラ群を大規模ハックする事は難しい。本来、アルゴスは前線に関わり過ぎてはならぬのだ。 14
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 13:07:19
    「スワッシュバックラーはどうした」『戦闘離脱し、輸送中』「急がせろ。スパルタカスは待機」チバはここでIRCを一時切断し、喘ぐような息を吐いた。「ハナミ儀式はまだ終わらんのか……!早くしろ、アガメムノン……!いつまで待たせるつもりだ、僕のカンニンブクロが爆発しそうだぞ……!」 15
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 13:14:34
    左様、ハナミ儀式が終了するまで、アガメムノンは動けぬ。逆に言えば、ハナミ儀式が終了するやいなや、アマクダリは再びアガメムノンの力を得るのだ。そしてネオサイタマ政治中枢、カスミガセキ・ジグラット最深部では、長きに渡る儀式がいよいよ佳境を迎えようとしていた。 17
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 13:18:23
    この玄室は真に重要な式典にのみ用いられる。あらゆる電波は遮断され、通信端末やUNIXの持ち込みすら不可。式中にそれらパーソナル機器を操作することは極めてシツレイにあたり、直ちにケジメを強いられる。もはや時代錯誤とさえ思える旧世紀のモラルが、未だこの空間には息づいているのだ。 18
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 13:26:14
    壁にはカケジク、鏡、柊、シメナワなどの霊的オブジェクトと経年変色したLANケーブル群が奇妙な対比を成し、平安時代からタイムリープしてきたかの如き正装カンヌシが式を執り行う。グレーター議員、警視総監、法曹界代表、湾岸警備隊長官など、錚々たる面々がドヒョウめいた壇上に円状に並ぶ。19
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 13:31:20
    サイバネ生命維持装置に繋がれた者も多い。皆一筋縄ではいかぬ曲者ぞろい。胸中は己の保身、組織の保身、暗黒メガコーポの意向、そして永遠の野心が渦巻いている。中央にはカンヌシ。壇の下、四方にはイミテイションサクラが咲き乱れ、黒い背広を着たレッサー議員やSPらが神妙な面持ちで並ぶ。 20
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 13:34:48
    カンヌシがコールし、秘書シバタの名が呼ばれる。アガメムノンは階段を登り、偉大なるサークルに加わった。定位置につく。全員が互いの顔を見やり、頷き、胸元から一斉にハンコを取り出し、それを右手に持って示した。アガメムノンもまた、ブラック・バッファロー製の荘厳なハンコを取り出した。 21
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 13:42:00
    ファオー。厳かなショー・リードの音が響く。「戦時下、さらに知事の緊急入院。条件が揃いましたので、ネオサイタマ議会則に定められました古きプロトコルに従い、代理人のハンコと血の登録式典を執り行います」カンヌシがコールした。「ではまずブディズム界代表から承認のブラッド・ハンコを」 22
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 13:49:13
    タニダ暫定大僧正が何度も四方にオジギしてから、壇の中央へと向かった。無論この男には、タダオとセクトの息がかかっている。親指をDNA認証型バイオ樹脂皿の針で刺し、血液サンプルを数滴取る。そしてハンコの先端を血で染め、魂を吹き込むように息をかけてから……特殊マットに押印した!  23
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2015-07-06 13:57:20
    全員が息を呑み、見守った。『承認されましたドスエ』トリイ・スピーカーから、合成マイコ音声が鳴った。タニダ暫定大僧正はオジギし、汗を拭い、定位置へ戻った。次がコールされた。破滅の時計針が刻一刻と進むように、円状にハンコが押されてゆくさまを、アガメムノンは超然とした眼で見ていた。24
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