山本七平botまとめ/【日本のこれまでを支えたものは何だったのか②】輸入の「タテマエ」で他を批判し、自分は「見えざる原則」で行動するという”行き方”を相互に批判しないのが日本の原則

山本七平『日本資本主義の精神~なぜ、一生懸命働くのか』/第一章 日本の伝統と日本の資本主義/日本のこれまでを支えたものは何だったのか/「見えざる原則」にふれないのが日本の原則/17頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei
①【「見えざる原則」にふれないのが日本の原則】資本主義的外形は、確かに世界に広まっている。 これは否定できない事実である。 だが、外形が同じなら内実も同じと見てよいのであろうか。<『日本資本主義の精神』
山本七平bot @yamamoto7hei
②たとえば、華僑資本主義の世界とでも言うべき対象を、マックス・ウェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』と言ったように、プロテスタンティズムと結びつけたらどうであろうか。 こっけいであろう。
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③彼らには彼らの実に強固な伝統と倫理があるから「プロテスタンティズムの倫理と華僑資本主義の精神」などという命題は、両者の無関係を例証する以外に成り立たない。 もし、華僑社会の「見えざる原則」を探ろうとすれば、それは「中国の伝統と華僑資本主義の精神」の探究でなければならない。
山本七平bot @yamamoto7hei
④同じことは、中東にも言える。 日本では全く知られていないパレスチナの「アラブ地元資本家」を、私は多少知っているが、彼らの規範は、もちろん、欧米とも日本とも全く違う。 おそらく華僑とも違うであろう。 それはわれわれの基準から見れば、想像外の対象と言ってよい。
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⑤そしてこれは違って当然なのである。 いずれの社会であれ、その社会には伝統的な社会構造があり、それが各人の精神構造と対応する形で動いており、そこにはそれぞれの原則がある。 そして、その中にある会社も外形は同じような資本主義社会の会社でありながら、それぞれの内実は全く違っている。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑥そして、ここで忘れてならない点は、その「見えざる原則」が外部にとっては確かに「見えざる」だが、内部においては当然自明の原則であり、それを少しも隠さずに、堂々とそれで動いているということである。 ところが、この点で日本の場合は少々奇妙なのである。
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⑦前述のように、「中国の伝統と華僑資本主義の精神」という形でその社会を考えなければナンセンスなように、日本も当然に「日本の伝統と日本資本主義の精神」という形でとらえなければ、その「見えざる原則」は出てこない。
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⑧だが、困った事に、日本の場合、これは一種の「ホンネ」として、互いにそれを口にしないという事もまた「見えざる原則」になっているのだ。 そして「なっている」が故に、最初に述べた懇談会のような現象を呈するのである。 勿論、何かを研究するという意味では、その種の研究会も貴重である。
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⑨だが、この「見えざる原則」のもつ諸問題を明確に表に出さない限り、現実には何も解明できず、何も解決できないはずである。 となれば、それを明らかにすることが、先決ではないであろうか。 もちろんこれは、たんに経済だけの問題ではなく、社会全般にわたる問題である。
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⑩たとえば、確かに議会制度は輸入できる。 しかし、それによって選出される代議士と選出する選挙民を輸入することはできない。 となれば、それによって構成される議会が、その輸入先と同じように機能しなくても、当然であろう。
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⑪そして、 それを、同じように機能していない、 と批判することは子供にもできる。 その証拠は、新聞の投書欄を見れば十分である。 十四、五歳の子供が、反論の余地のない立派な「論説」を展開している。 だが、この種の「論説」は、それを百万遍繰り返しても無意味であろう。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑫というのは、その子供自身の行動もまた「見えざる原則」に従っているからである。 だがこまったことに、 この輸入の「タテマエ」で他を批判し、自分は「見えざる原則」で行動する という行き方を相互に批判しないことも、また、「見えざる原則」の一つなのである。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑬もちろん本書で、その問題のすべてを取り上げるわけではない。 それはそれで別に論ずベき問題であり、本書の主題は、いわば「見えざる原則・経済編」の探究である。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑭そして、その発端に、中小企業を素材として取り上げたのは、そこが、経済的な「非経済学的原則」ともいうべきものが堂々と通用し、しかもそれが一種の合理性をもち、それを知らず、それを無視すれば存立していけない社会だからである。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑮勿論、私自身その社会の人間で…今もその中にいる。 決して外部からの観察者でもなければ、中小企業評論家でもない。 私自身…「評論家」という奇妙な肩書を一方的に付与されたのは50歳を越えてからであり、それまでの肩書は小出版社の社員…であり、最終的には小出版社主である。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑯そしてこういう立場の人間が自己の周囲を見まわせば、いわゆる「学問の世界」から完全に見放されている、世にも不思議な現象が文字どおり至る所にあるのである。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑰だが、その微細な一点を見つめていると、結局その総計が、戦争直後のあらゆる予測をくつがえした、日本の復興と経済成長に結果していると思わざるを得ない。 事実、私の知っている印刷所、製本所などの成長は、ただただ驚異という以外にない。 そこでまず、この点を少し回顧してみよう。

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