艦これ×落語劇場「カ号入れ」
- RAKU_AKITSU
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「(コンコン)あきつ丸、いるぅ?」「ん、どうぞでありまーす」とと、カセットは止めないと……。柳朝師の宿屋の仇討ちは一休みであります。「えへへ、任務報告終わったから、遊びに来たよぉ。いまおひま?」「まだ三十分くらいは大丈夫でありますよ」
2015-07-07 15:00:00「あれ、あきつ丸、それ……使ってくれてるの?」「ああ、このカ号入れでありますか? 自分はまだ改装前なので、装備出来ないでありますからなあ……まるゆ殿に作って貰った、この袋にカ号入れてるであります。大事な宝物でありますなよ。いつも肌身離さず持ち歩いているであります」
2015-07-07 15:00:54「えへへ、嬉しいですー♡」やはり、まるゆ殿は天使なのであります。「さて、そろそろ自分は準備をせねば……」「うん、じゃあ頑張ってね。ここのところ夜遅くまで忙しそうだから、気をつけて」「ははは、大丈夫でありますよ。うむ、では、行ってまいります。(敬礼)」「はい、ご苦労様です(敬礼)」
2015-07-07 15:00:572日後……。
はあー、今日は早めに任務が終わったであります。ここのところ任務終了が深夜でしたからなあ。さてと、今夜は酒でも飲んで……ん? 自室のドアに手紙が挟まっているのであります。誰からだ? 何々……「この手紙を見たらオレの部屋に来てくれ 木曾」……って、木曾殿からでありますか!?
2015-07-09 21:18:36(廊下)……むう、何のつもりかは知らないが……流石に無視はできないのであります。しかし、こんな夜中に何でありますかなあ。ぶつぶつ……。
2015-07-09 21:24:27(コンコン)木曾殿ー、来たでありますよー。木曾殿ー? 「おう、あきつ丸か。鍵空いてるから入ってきてくれー」 (がちゃり)木曾殿ー?
2015-07-09 21:28:45木曾殿は、開け放った窓のそばに腰掛けてこちらを見ている。「悪いな、あきつ丸。急に呼び出したりして」「いや、別に用もないので構わないでありますが…何用でありますか?」「お前と呑みたいなと、思ってな。ほら」木曾殿の手には酒瓶が…って、「獺祭の磨き二割三分ではありませんか!?」「ああ」
2015-07-09 21:43:09「高かったでしょう!? うわー、良い酒をご存知でありますなあ……」「横須賀に遠征に行ってた天龍に頼んでたんだ。あきつ丸は、いける口だだたよな?」「大好物でありますよ! いやあ、僥倖なのであります〜♡」「ふっ、そうか……いま、猪口を用意しよう」
2015-07-09 21:48:27「では、乾杯」「乾杯であります! ……んむ、ん……いやあ、これは、舌触りから違うでありますなあ……♡」「ああ、美味い酒だ。当たりだな」「これは、今晩は飲み過ぎてしまいそうでありますなあ……」
2015-07-09 21:57:10(暫くして…)「いやあ〜、幸せな味でありますなあ〜♡」「ふふっ、良かったぜ」「そうでありますなあ〜、こんな良い酒滅多に飲めないでありますよ〜♡」「いや、そうじゃなくて……お前の笑顔が見れて、良かったな、ってな」「……ん?」……んん〜〜〜〜〜〜??
2015-07-09 22:15:50「俺は……初めてお前の笑顔を見られた気がする」「はは、そんな事ないでありますよぉ」「あきつ丸……」いや、な、何で自分は頬を、こう、撫でられているのでありますか……!?「不安なのか……?」 つ、つ、つと指が頬を滑って、自分の、唇をなぞるように……沿って……あ、あわわ……!
2015-07-09 22:22:23「あきつ丸……」いや、何で自分は、いつの間にかベッドに誘われて、木曾殿に押し倒されて、ふ、服がはだけさせられて……帽子も取れちゃったであります、す、すかあとの中に手が……木曾殿、何でこんなこと……まるゆ殿がいるのに、ああ、でも酒のせいで何も考えられないのであります……あ、あ……!
2015-07-09 22:36:48ま、まるゆ殿……!? 「な!? まるゆ、今日は遠征任務に出てるって……」あ、あ……「わーっ!!(どしーん)」「ぶっ!!」思いのたけ、木曾殿を押しのける。こ、こんなところまるゆ殿に見せられないのでありますぅ! どえーいと、一目散に唯一の逃げ道である窓枠へ足をかけ、外へ飛び出す……!
2015-07-09 22:43:56「あうっ」どちゃりと、水に濡れた芝生の上に墜落する。痛みから全身をしたたかに打った事が分かる。中破してしまったようだ。「に、逃げなければ……」幸い、足が折れた様子は無い。ただ、転げるように泊地近くの森の中へと逃げ込んだ。トラック島の熱帯雨林の様子は、艦娘寮からは見えないだろう。
2015-07-09 22:50:18ここまで、ここまで走れば大丈夫でありますか……。ああ、もう……死ぬかと、マジで死ぬかと思ったであります……。木曾殿は何のつもりだったのでありますか……自分は、ストレートであります、マジでビビったのでありますよ……。
2015-07-09 22:52:21しかし、慌てて飛び出してしまったのであります。まさか、忘れ物などありますまいな……。ええと、帽子は咄嗟に被ってきたでありますな? 財布やスマホも、自分のポケットに入っているであります。大切なカ号入れも……。……あれ? カ号入れも……。え、あ、あれ……?
2015-07-09 22:56:50まさか、そんな馬鹿な……。いや、待て、よく思いだすのであります……。確か、木曾殿にその袋は良いなと褒められて、カ号入れを……見せたで、ありますな。見せた後、脇の棚の上にぽんと……置いて……それきり……であります……。
2015-07-09 23:02:39いやいや! 例え木曾殿の部屋でまるゆ殿との友情の印のカ号入れを置いてきたから、それが何なのでありましょう! 自分が間違えて落としたものを木曾殿が拾った、かもしれないであります!
2015-07-09 23:06:46だから、まるゆ殿が木曾殿の部屋でカ号入れだー、と見つけて、たとえ中を開いたとしても平気であります! 中にはカ号と木曾殿からの手紙しか無かったでありますからな! その手紙には「この手紙を見たらオレの部屋に来てくれ 木曾」としか書かれてない……あっ……。
2015-07-09 23:08:27